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【作家の本棚】群ようこはどんな本を読んできたのか?

作家はどんな本を読んで
大きくなったのでしょう?
どんな本を読んで作家に
なったのでしょう?気になりますね。

群ようこさんの本に
『鞄に本だけつめこんで』という
愛読書を取り上げた
エッセイ集があります。

前半は群さんの思い出や体験。
後半はその前半に添った本の
紹介と感慨を述べるという
いかにも群さんらしいエッセイ集。
どれも5ページ位で、
さくさく読めます。
昭和62年発売。今は新潮文庫。
まだ群さんがちょっと毒も
はいていた頃の作品です。

ちなみに、
どんな本が紹介されてるかと、
いいますと、

(1)幸田文『父・こんなこと』
(2)梶井基次郎『愛撫』
(3)梶山季之『色魔』
(4)金子ふみ子『何が私をこうさせたか』
(5)坂口安吾『堕落論』
(6)山川方夫『街のなかの二人』
(7)久生十蘭『キャラコさん』
(8)川端康成『山の音』
(9)森田たまみ『もめん随筆』
(10)田中英光『オリンポスの果実』
(11)『寺田寅彦随筆集』
(12)谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』
(13)尾崎翠『第七官界彷徨』
(14)横光利一『火』
(15)『武士の娘』
(16)永井荷風『墨東綺譚』
(17)矢田津世子『茶粥の記』
(18)志賀直哉『網走まで』
(19)田村俊子『女作者』
(20)佐藤春夫『美しい町』
(21)中勘助『銀の匙』
(22)『三島由紀夫レター教室』
(23)野溝七生子『緑年』
(24)林芙美子『放浪記』

ラインナップはこの24作。
群さんって、若い頃、
読書の筋がいいですねえ。

大逆事件の反逆者・金子ふみ子の
自伝を読んでいたり、
川端や谷崎の晩年の逸品もある。
山川方夫や田中英光は時代的に
売れてたミーハーを抑えてる(笑)。
群さんは1954年(昭和29)生まれ。
久生十蘭と三島由紀夫が
読書欲として共立する辺りは
懐が実に深いですね。

ファンキーな趣味、定番な趣味、
それから渋い趣味も持っている。
フェミニズムに連なる本が何冊もある。

私は半分くらいしか読んでない、汗。

群さんはご自身が書いてるような
柔らかい世界観の本が好きなんだと
私は勝手に思い込んでましたが、
バックボーンにこんなに
気骨な背骨が通っていたんですね。

青春時代をどんな本で育ったか?
というのは、今の作風と
必ずしも一致はしないのですね。

いや、これくらい硬派な本も
カバーしていてこそ、
あの群さんらしいゆるい世界観が
出来上がるのでしょうか。

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