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【文学】役に立たない…からこそ凄い?

役に立つか?立たないか?問題の
代表的な作家、内田百間さん。
この作家ほど、自己啓発や実用書と
正反対な人もいない…のではないかしら?

明治生まれで、1971年に亡くなった
怒りんぼうで気難しいおじいさん。
…というキャラでした。
実像は、わかりませんが。

この作家ほど、
国語の教科書から縁遠い人はいない。

夏目漱石のお弟子さんながら
芥川龍之介とは違い、
作家としては泣かず飛ばず期が長かった。

ドイツ語の先生をしながら、
書いていった作品の内容は
まるで「不要不急」の典型みたい(笑)。

鉄道好きな旅エッセイや、
奇妙な短編ファンタジーや
猫を拾って飼うエッセイ、
また、借金の取り立てを
追い返す波乱な晩年を
ありのまま綴った借金エッセイで
独特の地位を得ました。

正統派文学から外れ、
教科書や文学年表には縁遠い作家。

でも、この作家のエッセイや
短編ファンタジーを
ちょっとつまみ食いすると、
好きになる人は一生読み続けます。
やめられない、止まらない♪

内田百間のエッセイは
何の役に立つか?と言われたら
答えるのは難しいですね。

自己啓発やビジネス書とは
正反対にある何か、ですね。

人はなぜ内田百間を読むのでしょうか?

道端の小石に、
お前はなぜそこにいるの?
と問いかけるのにも似てる(笑)。

それを考えながら、
内田百間の短編を読むのも
悪くないかもしれない。

「異端作家」の系譜として、
夢野久作や澁澤龍彦らがいますが、
内田百間はそれほど
奇抜な異端でもありません。
シンプルに、へんな人!(笑)

でも、この世には、確かに内田百間がある。
ちくま文庫では、内田百間全集が
ずらり20数巻、出てるんですから。

この世には、人間にとって
何かの足しになることばかりではなく、
正統派にも異端にもならない
グレーな存在がある、という…
内田百間はそんな真実を、
教えてくれているのかも
しれないですね。

石ころのような人。 変な人(笑)。
でもやめられない人。

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