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【ドラマ】『新宿野戦病院』で宮藤官九郎は、命の平等をどう謳う?

今季、唯一観続けているドラマ
『新宿野戦病院』。
脚本は、宮藤官九郎さん。
春クールでは
『不適切にも程がある』で
時代意識の狂おしさを描いて
話題を集めましたが、
今回の病院ドラマは、
何を言いたいんだろうか?

おそらくは、
人間の命は平等であってくれ!
というメッセージな気がします。

政治家とホームレスの命に
差はないのだ、平等なのだ!と、
アメリカ軍医(主演・小池栄子)が
目を怒らせて大病院で訴える場面は
迫力がありました。

ギャラ飲み女子と豪華ディナーを
食べる美容整形医(仲野太賀)。
でもふとしたきっかけで知り合った
歌舞伎町NPOボランティア女子(橋本愛)と 
出会ったことで、今までの
浮かれた自分に嫌気がさし、
人間のあり様に初めて疑問を持ち、
駆け出す場面が印象的でした。

現代日本社会では、
人間はどうも平等ではない、らしい。
という前提を、
いきなり、「不平等です」と
ぶつけるではなく、
宮藤官九郎はまず、
どうやら僕らの社会は今、
平等ではないらしい???
という絶妙な意味合いから 
問いかけてくる。

硬派な社会問題追求ドラマ、
ではないところが、
たぶん、宮藤官九郎のシナリオの
絶妙さなんですね。

最初から決めつけた、
「社会は不平等です!」
「取り壊し、革命を起こしましょう」
というのなら、
その世界に入りづらいですよね!

1960年代、1970年代なら
まだそれで良かったんでしょうけれど。

宮藤官九郎は、
『不適切にも程がある』でも
時代意識、時代感覚を
よく理解していましたが、
今回の『新宿野戦病院』でも
時代感覚の理解がすごいのでしょう。

『不適切にも程がある』では
学校やテレビ局でしたが、
平等かどうかを問うには
『新宿野戦病院』では
まさに病院が舞台です。
平等かどうかを問うに
こんなにダイレクトな舞台はない。
はたして、最終回まで
あと数話ありますが、
宮藤官九郎はどんなドラマを拵え、
どんなメッセージを伝えてくれるだろう。

まだまだ目が離せない。

前作にあたる『季節のない街』を
ディズニープラスで
早くみたいのですが、
そちらも、テーマは人間賛歌らしい。
原作があの山本周五郎の小説だから。

宮藤官九郎は、今まさに
新しいステージに覚醒しようと
してる最中なのかしら?

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