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【創作】死刑囚作家は、クリエイターとして認められるだろうか?

最近の作家、文学者は政治や社会的な
アクションを起こさなくなりました。
検察人事法案へのTwitterデモでも、
作家が参加してるとは耳にしなかった。

政治的になるべきだとか、
最近の作家を非難するつもりでは
ありませんよ。

エッセーや小説で
政治的な発言をしてるのは
高橋源一郎さんくらいでしょうか。

永山則夫という死刑囚が
獄中で書いた、自伝的小説
『無知の涙』は名作と言われ、
今も河出文庫で出ています。
私はたまに手に取り、
死刑囚の小説を買うのは
どうなんだろうか?と毎回悩みながら、
結局、買うのは躊躇われるんです。

永山則夫は、極貧の家庭で育ち、
学校にも行けず、文字も読めない
少年でしたが、拳銃を手にいれた事から、
4人の何の罪もない人を
無差別に殺害した未成年として
今も犯罪史に名を刻んでる。
獄中で改心し、文字を学び、
文学に目覚め、ドストエフスキーらを
読破し、自ら作品を発表しました。

1971年発売の自伝小説『無知の涙』は
とりわけ、ベストセラーとなり、
印税は、被害者遺族に支払うと
されました。

ところが、その後、1990年、
永山則夫が日本文芸家協会に推薦され、
入会する運びになった時、
協会の理事らが入会に反対しました。

それに怒ったのが、
筒井康隆、中上健次、柄谷行人ら。
書いた人が死刑囚であれ、
作品自体は、生きた文学であり、芸術だ。
だから、書いた作家は文学者だ、
と、当時カリスマだった
中上健次や柄谷行人、筒井康隆は、
協会に抗議し、協会を辞めたのです。

これは当時、大きな衝撃でした。
確かに、殺人犯を入会させるのは
どうだろうか?
しかし『無知の涙』は優れた芸術作品。
文学界の頂点にいた中上健次、
思想家の寵児、柄谷行人、
独創的な人気作家、筒井康隆。
どうも反対してる方が核心をついて、
理屈もまっとうな気がした。

文学とは何か?作家とは何か?
殺人犯であれ、人の魂を揺さぶるなら
それは芸術であり、文学ではないか?

中上健次や柄谷行人は
その後、1991年、中東の湾岸戦争で
自衛隊派遣に反対する抗議声明を出し、
賛否で国は真っ二つに。
非常に刺激的なアクションを
とる人たちがいたんですね。
良いか悪いかは又、別の話ですが…。

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