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「俺たち何?え?」チーム友達がこんなにもバズる4つのエッセンス

ゴールデンウィークって
国民全員が国の許可を得て長期間休む
という見事に昭和的な感覚なんだなと
終わってから気づきました。
休みたい時に休んでいいんですよ
そこに伴うあれこれを引き受けさえできたら
あなたはいつでも自由です。

こんにちは。
チームコエダスのじゅんです。
今日は人々の心を掴むとは何か
という話をしようと思います。
何故なら

あのムーブメントが終わらない

から。

みなさんはこのムーブメントに
のってますか?
知ってますか?
契ってますか?え?

知らない人の為に

「チーム友達」は2ヶ月前に
この千葉雄喜さんという一般人が
突然アップした動画がバズったもの、、、
ではなく、
数年前に突然「引退」を宣言した元ラッパーKOHHが
本名で復活し、最初にあげたPVです。
KOHHと言えば、宇多田ヒカルが心酔してコラボをオファーしたり、
マライア・キャリーに何故か客演を頼まれるという
ちょっとよくわからないけど凄い人として
日本のHiphopで唯一世界中で名を馳せていた人でした。


そのKOHHが久しぶりに曲を出した事でファンが盛り上がったんですが、
この曲のあまりに中毒性のある感じが「さすがKOHH」なだけでなく
そのラブ&ピースな世界観も受けて
他のラッパー達が自分たちバージョンを作り出しました。
本人も、この言葉を最初に使っていたJindoggと関西バージョンを作ったり
東海バージョン、そしてこの後恐らく出てくる舐達麻バージョンがあったり
公式Remixも作りつつ、各地のオリジナル版も歓迎しています。

この女性ラッパー版結構いい

ダンス界隈でも大盛りあがり


Hiphopのファンを中心に
この中毒性のあるノリと「チーム友達」という謎ワードが
流行し始めるわけですが
このムーブメントが他のバズリと違うのが、、、

台北

台湾からもう一つ

中国
ちなみに中国はHiphopが実質禁止されているので、国内ではほとんど聴かれなくなっている。それを海外向けのYoutubeでやっている彼らもかっこいい。

韓国
てかこの人のバービー人形感すごい

香港

マレーシア

と、アジア中にムーブメントが広がっており、
多分まだまだ止まらない。
今いろんなところでビデオ作られている事想像すると面白い


一体何なのか?

たまにこういう「よくわからないけど流行り始める事」
というのは起こる。
昔で言えば
マカレナとか
マイアヒとか
パイナッポーアッポーペンとか
よくわからない謎の、一見「くだらない」ものが流行る。
これは、何なのだろうか?

流行のエッセンス:時代の空気

ヒット作は時代を反映する、
とは長く言われている。
この記事にある通り、言葉の使い方や曲調に
時代性は必ず反映されており、
違和感があるものは品質と関わらず広がらない。

高度経済成長期には
ポジティブな気運と共にロマンチックな恋愛曲が盛り上がり
景気後退で自己内省的になったり
ゆとり世代による自己受容的なムードが生まれたり。

現在はメディアの構造上「日本中が聞くヒット曲」
というものは起こりづらいが、
YOASOBIの席巻など、
現代を映し出す曲調、モチーフは時代を象徴している。

その中でこの「チーム友達」が持つエッセンスと何か?
1つは「繋がりの再興」であると考える。
コロナを経験する事で象徴的になった「孤独」「分断」に対し
回復期にある今が、人々の「必要感」に刺さった可能性。
また、ネット社会による孤独への救済でもあり、
ロシアやイスラエルなど、戦争が激化する時代において
この「俺達は友達だよな」という感覚は
現代の行方に不安と違和感を持つ人々に刺さるメッセージとなった。

Youtubeのコメント。ここに既に時代が表現されている。

エッセンスとは何か?

当たり前ですが、
元KOHHこと千葉さんはそんな事全く考えてない
インタビューでも、
「鶴橋でお好み焼きを食べた後、スタジオに入って録音した」
そして出来た歌詞が

お好み焼き 食う鶴橋 腹いっぱい 飯は美味い

チーム友達の歌詞

本人が「日記みたいなもん」と言う通り
彼自身は別に
時代背景を考えて表現した訳でも何でもない。

しかし、
時代を捉えて表現できるアーティストと、
そうでないアーティストは確実にいて
KOHHのようなタイプは
確実にその「嗅覚」によってヒットしてきたラッパーである。
トラップと言われる当時アメリカで流行りだした
Hiphopの新しい音楽スタイルを
日本語でうまく表現しきり、
日本の音楽シーン全体へ影響を与えている

https://realsound.jp/2019/07/post-385768.html

彼にこの記事のような話をしても
「何それ?」で終わるだろう。
別に勉強し、音楽理論を構築し表現しているわけでもなく
彼のように、感覚で無意識的に表現するアーティストだからこそ
非連続的な変化は生み出される。


CRR Global 「家族のあり方」が問われているwithコロナ時代 〜3つの現実レベルから見た現代の家族〜

プロセス指向心理学を創設したアーノルド・ミンデルは
物理学から分析心理学へ転向した事で
物理と心理の共通構造として
3つの現実レベルがあると表現している。

上記で言う「音楽理論」いわゆる言語化されるものが
表面に出る「合意的現実レベル」であるが、
これらは、乱暴に言うと「後付け」である。
起きた現象に対して後から説明を考えたものであり、
学者や解説者がイノベーターにも起業家にもならない事は
それを証明している。
合意的現実レベルで誰もが説明できるようでは
それは既に過去の振り返りにしかならない。
未来を作るものは
まだ言語化もされていないドリーミング

そして顕在意識にも上がっていない
「何かそんな気がする」という
エッセンスレベルの表現
によって成される。

スマートフォン革命においてよく言われた事だが
「顧客の要望を全て聞いた端末」は
日本メーカーがこぞって作っていた
機能モリモリのガラケーであり、
それら全てを駆逐したiPhoneがしたのは
「こういう物があったらCoolじゃないか」
という、Steveの妄想を中心としたものでした。
これがまさにエッセンス。

そしてこのエッセンスレベルは
集団で伝播・共有されると言われている。


流行のエッセンス:Low Context

このチーム友達を含め
パイナッポーアッポーペンなどが
世界を席巻する理由はもう一つある。
それは
異常なまでにLow Contextである
という事。
Low Contextとはつまり
「誰でもわかる」事だ。
子供でもお年寄りでも
日本人でもマレーシア人でも
スタンフォード卒でも中卒でも
貧乏でも金持ちでも
とにかく誰でも「チーム友達」の意味は理解できる。
いや、理解はしてなくても「なんかわかる」

これがLow Contextの凄さであり
世界中のヒット作はもれなくLow Contextである。

逆にHigh Contextとはどんなものか?
わかる人にしかわからないものである。
僕の好きなスタンダップ・コメディなどは
特定の知識があるから笑えるものの一つだし
映画で言えばノーランなんかは
「好きな人は超好き」な世界だが
老若男女が理解できない為
興行成績ではコナンに勝てないという事が起こる。
日本は歴史的に国内文化が熟成されやすいので
High Contextな文化と言われている為
外国に理解されづらい部分も多い。
「何故そんなに謝っているんだい?」とか

僕は自分がHigh Context大好き人間である事を知って
「ああ、ヒット作出せない人間なのかも」と密かにコンプレックスもある。
実は日本中や世界中で人気である、
◯◯や☓☓が全然楽しくなかったりする。
例えばで言うと、
正直最初は

チームラボが超嫌いだった。

嫌い、あー嫌い

あれをアートと呼ぶのも「ゴミのような感性だ」と思っていたし
ゲーム屋としては、CGの低品質に「いやせめてもっとこだわって」
と思ったり、まあとにかくイライラしていた。
しかし、あれは誰が見ても明らかな「大ヒット」であり、
最近では海外から日本へ旅行する目的地にもなっている。
もはや寺やアニメではなく、チームラボを見に来る。
その現実を冷静に見た時に、
このLow Contextである事がいかに大事かが身にしみた。
アートと言っても、現代アートは理屈が多いし
ゴッホやモネにしたって美術史や時代背景を知っていない人には
「絵の具で描いた花の絵」でしかない。
それを、「なんか綺麗」「なんか面白い」という
それこそ誰でも共有できる感覚を伝える事で
多くの人にとって「新しい何か」になった。
そこには説明はいらない。

チーム友達も、
元々Jindoggがそういう意味で使っていないという事実とは
全く関係なく、
「俺達友達だよな!楽しいよな!」という
非常にLow Contextかつ、
誰もが共感できるエッセンスが伝わり
日本人でなくても共感でき、盛り上がれるメッセージになったのだ。

流行のエッセンス:フォーマット

皆さんは、上にたくさん貼った動画を幾つかみただろうか?
見た人にだけわかる秘密がある
共通する表現「フォーマット」の存在である。

楽曲で言えば、まず全員が同じ曲を使う。
Hiphopでトラックと言われる、ラップ以外の部分は
サビも含めて同じ音源が使われるが、
Hiphop以外ではこれは著作権問題になる。
当たり前、というかもしれないが、逆に言うと
Hiphopには著作権問題に関して大きな例外が存在する。
それは「サンプリング」文化によって成り立っている音楽であり
他人の曲を自分の表現に使うのは「むしろ真っ当」な行為である。
権利問題こそ、Youtubeのリファレンスによってクリアしているが
それ関係無しに、アレンジも弾き直しもせずにそのまま使っていいのが
制作側のハードルをめっちゃ下げており、
それが現代の拡散性にあっている為、Hiphopは現在世界の主流にいる。
サビまでそのままでいいので、
やる事といったら自分のパートで「友達」についてラップするだけ。

この「作るのが簡単」を究極化させたのがTikTokでもある。
奇しくもアメリカ生まれのHiphopと
Hiphopが禁止されている中国生まれのTikTokは
語感だけでなく、時代性において完璧な相性。

このムーブメントは、音楽だけでは成立しなかった事は明らか。
動画の雰囲気は、絶対に外せない。
音楽と共に動画にも多くのフォーマットがあり、
それこそがヒットの隠れた秘密である。

1,ひきで始まる
2,友達たちが楽しそうに飲食店前に集合している
3,その場所をGoogle Mapで出す
4,とにかくはしゃぎながらラップする
5,みんな楽しそうに終わる
と形が決まっているのである。

フォーマット化とはつまり、
「形を作ってあげる事で、考えないといけない事を減らしている」
コンビニのマニュアルみたいなものだ。
それに則って作れば
同じようなものが出来上がるので
作る側にとってのLow Contextと言える。

流行のエッセンス:ノーリスク

最後はおまけ的に、
「流行ることにブロックが無い」
という意味では、
表現のリスクの無さも大きい。
この「チーム友達」というメッセージも
みんなではしゃいでいる、という図も
誰も嫌悪したり、否定する要素が無い。
現代の若者はリスクに敏感な為
これは非常に大きな要素だ。

もしこれが
「◯◯は陰謀」とか
「たいま合法」とか
「◯◯人は去れ」とかだと
流行らない。当たり前だが。
現在炎上商法も普通になりつつあるが
多くの人が「参加」するムーブメントには
リスクが無い事も非常に重要
である。
声高らかに主張しても構わないからこそ
街なかで大声出せるわけである。


人の心はいつも求めている

人は、お腹いっぱいなら
美味しいご飯の写真を見たくはならない。
幸せならインスタグラムで他人を羨む必要はない。
しかし、
心はいつも、何かを求めている。
それをほんの一部でも埋めてくれるものに
人は心酔し、お金や時間を費やす

ヒットとは社会が必要だが足りていなかったもの
を表現しているのかもしれない。
今のあなたが、求めているものはなんでしょうか?

最後に
偶然同じタイミングで出来上がっただけで
この文章ともチーム友達とも全然関係ないが
「最高の仲間作りたいよね!」という
想いだけは一緒な、
コエダスのBestTeamというプログラム紹介動画を載せて
終わりにしたいと思います。
今日もコエダスあなたを応援しています。
じゅんでした。


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