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上野・喫茶古城 ___ホンモノが魅せる高級純喫茶

Since 1964 


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___なんて素敵な入り口…


嘆息が漏れるほどの重厚な店構え
初めて訪れた人々の心を掴んで離さないステンドグラスの豪奢なお出迎えに

地下へと伸びる階段を降れば、また正面には貴婦人の色鮮やかなステンドグラスが出迎える。

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映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で、
上野駅に鈴木オートの社長(堤真一)が、住み込みで働くために上京する星野六子(堀北真希)を迎えに行く描写をすぐに思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

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森鴎外、谷崎潤一郎など文豪にも親しみ深い歴史ある街___上野。

そんな上野には、日本は初めての美術学校___現東京藝術大学___が開校し、美術を学ぶ学生たちが昔から愛し、お世話になってきた喫茶店がある

【喫茶古城】さんだ。

「今でも煙草を自分で巻いて作ってる藝大の子が来るのよ」

と語るオーナーの松井京子(75歳)さんの笑顔が眩しい


Story

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創業は松井さんのお父様。
1964年の東京オリンピック開催の年に創業した古城は、
35年間、【純喫茶】として上野でお店を開けてお客さんを迎え続けた。

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(パイプを愛したお父様。素敵です)


《全て本物であること》

にこだわった、美術愛好家のお父様がこだわりぬいたそのお店は今でも形を変えず趣とともに愛され続けている。
大理石、真鍮、ガラス___随所に散りばめられた「本物」が為せる美。

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「自分で方眼紙なんかに描いてね、父は現場主義だったから、ここに宮大工さんなんかを呼んで、夜な夜なそれを囲んで、天井はこうがいいとか、床はこうしようとか、話し合ったの
父のイメージが伝わらない時は、職人さんに赤坂なんかに「これ、これを」を現物を見せに行ったりしてね」

デジタル化・ペーパーレスが当たり前になった今日、
デザイン案一つから全てPCで作ってデータでのやり取りが増えた。

しかし古城さんには、創業前から多くの人の「想い」が、「時間」が、「会話」が溶け込んで、空間を構築している。


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二連の横並びの座先は新幹線のような特急列車を彷彿とさせる。

《ロマンスシート》

と名付けられたこの座席もこだわりの一つ。カップルで来店した時に、周りを気にせずゆったりくつろげる横並びの座席は、今では親しい友達同士でも密やかな会話を楽しめるスペースになっている

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Menu

創業当初から変わらないメニューは「ミルクセーキ」と「クリームソーダ」
ミルクセーキは甘すぎず、子供の頃を思い出すような、優しい味がする。

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(ミルクセーキ: 700円)

「ほら、上野に上京する子達を零細企業の社長さんが迎えにいってね、ここにきて、それでクリームソーダなんかを奢るのよ。
その頃来てくれた集団就職の子達は「初めてこんな飲み物飲んだ!」って言ってね。それはすごい喜んだものなのよ、未だに忘れられないって言ってね」

と微笑みながら語る松井さん。

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珈琲のこだわりについて伺うと、

「(当時で一般的に)だいたい70円の珈琲が提供されるところをうちでは150円でブルーマウンテンの珈琲をお出ししてたの」

お父様のこだわりは、お店の内装だけではない。

喫茶古城では、

『女性に赤いカップを、男性に青いカップを』

お出しする伝統がある。それは今でも変わらずに提供されている。

「見た目で判断できない時はね、その人の話ぶりなんかを見てフタッフ同士で話して、その人に合うカップを出すようにしてるの」


ジェンダーに敏感な方にも優しい心遣いが伺える。


Episode

「昔はほらね、電気の量が大きくなりすぎるとすぐ停電しちゃってね、
そうするとその当時は携帯もない時代だし、喫茶店って、サラリーマンのおさぼりの場所だったでしょう?
停電したらおじさんたちが出て行こうとするのを、私たち若い(古城で働く)女の子たちがね、
『ああ!今お立ちにならないで。すぐ蝋燭を持ってきますから』

なんて声をかけると「ああ、それじゃあ仕方ないか(笑)」ってね、」


と懐かしげに語る松井さんの笑顔がとても美しい。
私もそんな時代にお店に来たかった、と思わずウキウキするようなお話。

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「その頃はねぇ、携帯もポケベルもないでしょう?呼び出しなんてないし、喫茶店は待ち合わせの場所だったの。
それが携帯が出てから打ち合わせを喫茶店でしなくなるし、
チェーン店ができてからは明るい内装のお店が増えてね…」

一時期は低迷期に陥り、松井さんも頭を悩ませたそう

でも私は、都会の喧騒や、新しいカフェではなんとなく落ち着かないという若者も増えていると思う。
素敵な空間で自分の時間を過ごしたいと思う
自分だけの時間の流れを感じて、ゆっくりくつろげる場所。
自分が大切にしたいと思える何かを、感じ取れる場所。

それが喫茶古城にはある。

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「今日ココアいっぱい出ますね、寒いからですかね」
なんて。
古城のスタッフさんの愛らしい声が厨房から聴こえる。

御歳70代後半のスタッフさんも元気にお客さんを出迎えてくれているそう。なんて素敵な場所なんでしょう!

この喫茶店がずっと残り続けるために、私たちがしっかり受け継いで守っていきたいと思う。是非喫茶店経営を希望する方は喫茶古城のママさんへご連絡してみてください!


上野に立ち寄ったり、美術館に寄った帰りにひと息、喫茶古城さんで是非過ごしてほしい。


優しいママさんと壮麗な家具丁度たちが、
優しく迎え入れてくれますよ❤︎

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*喫煙も可能です。


photo/ interview: Amo

instagram: @junkissa_and_i

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店舗情報: 喫茶古城

アクセス: 東京メトロ日比谷線「上野駅」徒歩2分
JR各線「上野駅」浅草口/ 広小路口 徒歩4分
東京メトロ銀座線「稲荷町駅」徒歩5分
京成本線「京成上野駅」徒歩7分
上野駅から286m
営業時間: 9:00-12:00
モーニング: -11:00 ランチ:11:30-14:30
定休日:日曜/祝日
tel: 03-3832-5675

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