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【農業】ニューイングランドの酪農協同組合と小規模酪農

こんにちは、新小樽少年です!
大学3年生の2月や3月は就職活動で忙しいといわれていたので、
どのくらい忙しいのかと想像していたのですが、
予想を超えて、めちゃくちゃ暇ですね。

私は「接客業」で生きていきたいと考えているので、
他の人と少し違うのかもしれません。
オフィスワークの方が儲かるのかもしれませんが、
特別お金を出費することはないし、
将来は海外で暮らしたいな~とか考えているので、
日本で就職活動を頑張ってもな~というのが、
正直な立場なんですよね。

私は「他人に言われてネヨネヨするくらいなら、面白いと思うことを1番にしていたい」という性格なので他の人と少しづれていてもおかしくないかもしれません。

それはさておき!(笑)
今回のテーマも【農業】です!!
この記事は連載記事の第3回目になります。
なのでもし第1回、第2回をお読みでない方は是非お読みください!!
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前回のおさらい

前回はニューイングランドのマサチューセッツ州における収入のうち、
25%近く直接収入があり、都市近郊農業を運営しており、
貧困層収入格差が拡大しているというアメリカの問題から、
ローカルフードシステム」について述べました。

「ローカルフードシステム」は、
食料の消費者と生産者の距離を縮めることであり、
その利点は環境コスト人的コストの削減という点にあります。

そしていくつか事例を挙げ、
貧困層への食料供給自然保護活動青少年たちへの教育の場
というような役割も果たしていると述べました。

そして今回は小規模家族農場擁護を一体的に進める取り組みを紹介します。

アメリカ酪農における産地移動と経営規模拡大

ニューイングランドとは、北から南へメイン州、ニューハンプシャー州、
バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州から構成される地方のことである。

ニューイングランド

(画像引用:BrewNote/ニューイングランドIPAとは?

ニューイングランドでは「北東部諸州酪農協定」が存在する。
これは飲用乳価格とは別に16.94ドル/100ポンド最低価格を定めたもの。
後にこの協定は全国化される。

アメリカの生乳量は上昇傾向で、その背景は農業の大規模化が存在する。
(第1回、第2回の記事参照)

画像2

(村田:2019を参考に筆者作成)
農業の大規模化は小さな農家を大きな農家に取り込むことで、
農地の集積化を図ることをいう。
この地域で起きていることとして、
①酪農協の合併
②乳業メーカーからの加工工場の買収による乳製品加工事業
③多様な販売ルートの開発

これらの共通項は「収益の拡大」という点にある。

アグリマーク:加工事業型酪農協

アグリマークとは875人の組合員から成る酪農協同組合のこと。
独自のブランドや乳製品の販売を行っている。
乳製品加工により利潤が大きく、積極的な投資を行っている。
その結果、粉乳製造施設に投資することで集乳量増加している。
自社加工割合は7割で、利潤は組合員に配当される。

画像3

食品安全・環境問題への取り組み
rBST(牛成長ホルモン)、アニマルウェルフェア、
水質汚染、藻類の異常発生
に関する問い合わせが多い。
rBSTには使用を禁止しており、
子牛の飼育に関しては親牛とは別に飼育している。
理由は子牛が傷つけられることを避けるためである。
環境汚染に関しては特別に問題はないが、説明責任は常に求められる。

アグリマークの地域・社会への貢献活動として、
地域のイベントの際には、資金提供チーズを寄付することで貢献。
2012年にはBコーポレーション認証も取得している。
Bコーポレーション認証とは企業の「公益」への貢献に対する認証
このほかには地域の協同組合間協働を推進しており、
ここから全国の様々な協同組合と情報交換議論を行っている。

組合員農場

入荷が低水準の中で、農家は別の収入源を確保している。
林業やメープルシロップ採取、牧草の栽培と販売、民宿以外にも、
肉牛の肥育を行う農場が現れた。

(1)搾乳ロボットの導入で搾乳頭数を増やすA農場
搾乳頭数は108頭、乳牛飼養(後継乳牛)頭数250頭。
非農家出身経営主と雇用2名で農場を運営している。

搾乳ロボットを導入することで65頭を24時間搾乳でき、
人件費や人的労働力をカットすることができる。
牛には電子タグがつけられており、
搾乳の判断も農場に設置されたIDゲートが判断する。
これに加え、乳量の計測・記録が行われ、
牛の健康状態ならびに生乳の色や伝導性も計測される。

ロボットの導入により、少人数で営農が成功している事例の1つである。

(2)生乳の宅配や牛肉の個人販売に取り組むB農場
家族経営、搾乳頭数130頭、総飼養頭数270頭、肉用牛10頭。
経営主、妻、息子、2名のフルタイム、多くのパート

個人向けの牛乳販売を行っている。150戸。
アグリマークに払い下げた後、買い戻して出荷。
販売額はアグリマークへの生乳出荷額に匹敵
肉牛も現在飼育中、収入の9割生乳・牛乳販売によるもの。

まとめ

アグリマークは独自ブランドのチーズに注力しており、
その傍ら、地域貢献地域農家との距離を縮小を進めている。
組合員農家では搾乳ロボットによる労働力の削減、
飲用乳販売への参入など、
小規模酪農経営の新たな動きを見てきた。

しかしアグリマークにおける環境問題地域との関係
搾乳ロボットやそのコストなどに見られる農業経営上の課題
小規模酪農家の多角化経営は労働力減少傾向に対して妥当な選択か、
などの疑問の余地は残るように思える。

農業における労働力不足の問題は世界的な問題とみてわかる。
しかしこれらの世界の事例を見ることで、
自国の農業に対して変革をもたらすことは不可能ではない
ここからは根拠やその事例に共通する前提条件を明らかにし、
経営の選択肢として考慮する必要がある。

次回はマサチューセッツ州の都市近郊農場と保全地役権を取り上げます。

参考文献・HP

Wikipedia「ニューイングランド」(2020/03/10 オンライン)

BrewNote「ニューイングランドIPAとは?」(2020/03/10 オンライン)

村田武「新自由主義グローバリズムと家族農業経営」筑波書房、2019年


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