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小説「中目黒の街角で」(鎗ヶ崎の交差点第二稿)

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この小説は東京の城南地区(渋谷、中目黒、三宿)を舞台にDJを夢見たどこにでもいる男と彼の十年間の恋愛を描いています。そして高校生ブームの中で十代を過ごし、ロストジェネレーションと…
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記事一覧

小説「中目黒の街角で」あらすじ

「私たちは違ったんだよ」彼女が冷たく言った最後の言葉を僕は忘れることができないでいる。 …

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 最終話

 知花と別れた後の僕はどうしようもなかった。知花と心太の顔を思い浮かべては毎日喪失感と後…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第43話

 別居することになったのは夫との仲が改善したのが原因だった。  改善したのに別居するとい…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第42話

 また桜の季節がやって来た。  僕と知花の公表できない関係は一年を過ぎても何も変わらない…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第41話

 山崎君との時間はとても大切だったし、幸せだった。だけど冷静になり、自分の将来を考えた時…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第40話

「年末年始はどうするの?」  関係を続けて一年。僕らはまた年末を迎えた。今年はきっと一緒…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第39話

「友達のイベントに一緒に行ってくれない?」  土曜の夜。知花の誘いで僕達はタクシーで深夜の六本木に向かっていた。昔からの知人がクラブでイベントを開き、それに顔を出したいと言われたのだ。 「こんな夜中にタクシーで六本木に行くなんて、私達、悪い子だよね」  悪戯に笑いながら言った知花はとてもはしゃいでいた。僕もこの夜はただ二人で楽しむことだけを考えていた。  クラブに入ると独特のラテンのリズムが身体を包んだ。知花は再会する前からカリブのダンスを習っていて、その影響でラム酒

小説「中目黒の街角で」 第38話

 夫と上手くいかないながらも山崎君との時間があったおかげで、私の心と生活は安定していった…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第37話

 一月には僕の誕生日があって、知花が家に来て祝ってくれた。彼女はいつか僕が何気なく新しい…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第36話

 毎週末会って無邪気に笑って。大人らしく夜の街でお酒や食事の話をして抱き合って。結婚も子…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第35話

「私のお父さんとお母さん離婚してるから大家族とか苦手で」    十年ぶりに夜を過ごした日…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第34話

「正月、どうするんだよ?」  ぶっきらぼうな口調で夫に聞かれた時、身体が震えて何も答えら…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第33話

 会社を退職して一ヶ月間の有休消化に入ると僕は毎日のように知花の店に向かった。夜中に会う…

SONE
4年前
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小説「中目黒の街角で」 第32話

 京都から帰ってきて山崎君から「会おう」と連絡があった時、迷いはなかった。全てを受け入れて抱きしめてくれた彼への想いを止める事は出来なかったから。  駒沢通り沿いのガードレールに立っている山崎君が見えた時、その安心感に身体を委ねそうになった自分を制する必要があるほど、私は山崎君を求めていた。でもこの街で、中目黒の街で思いのままに振舞うことは許されないと自分を諌めた。 「お疲れ様」 「ねえどこに行くの?」  すると彼は優しい笑みを浮かべて言った。 「秘密」  二人でタクシ