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首すじの汗 僕の海外ゲイライフ

もう何度、この街に来たことだろう。空港ビルを出るとビルに平行する大きな通りのバス停から予約済の今日のホテルに向かう。エアコンのないバスは蒸し暑い風を車内に流しながら、ダウンタウンへと向かう。
アンバサダーホテルに着く頃には、日もすっかり傾き、ホテル周辺は怪しい夜の香りを放ち始めていた。機内食も食べたので食欲はあまりなかった。軽くシャワーを浴びて、今晩の目的地を目指す。地図で確認したマッサージ屋は、歩いて行ける距離だ。私はまた、この街バンコクにいる自分を感じながら、ホテル前の路地を奥へ奥へと歩いた。
10分ちょっとで店に着いた。この店は初めてだったがマッサージ屋は何度か利用している。ドアを開けて中に入ると、マネージャーらしき男の子がにこっと笑って挨拶してくれた。私もサワディカッと挨拶し、ソファに腰を下ろした。
新しくはないが、薄暗い店内は、センスのある調度品でまとめられ、清潔感もあった。
1時間半のオイルマッサージを頼むと、奥のソファに座っている6、7人の中からボーイを選ぶように言われた。その中にナロンはいた。愛嬌を振りまくわけでもなく、何か編み物の様な物を手元に置いていた。
ボーイの中では一番中国系の顔立ちのナロンはまだ20代に見えた。その日は店の個室は空きがなく、近くのホテルに案内された。カタコトの英語を話すナロンは、はにかんだ笑顔を見せてベッドサイドの私の隣に座った。私は彼の手に自分の手をそっと重ねた。少し色黒だが、東アジア系に近い整った顔立ちをしている。オイルマッサージなので私は全裸になってベッドに横たわった。お尻あたりにバスタオルをかけたが、ナロンにすぐにはがされた。彼はバスタオルを腰に巻いているだけだ。足先からマッサージが始まる。すぐに上手なのがわかる。全くの素人同然で、ただ撫で回しているようなマッサージ師に出くわすことも、この手のマッサージ店では多い。彼のマッサージは強弱のバランスが良く、ツボの押さえも的確に思われた。気持ちがよくうとうとしかけた頃、マッサージが上半身に掛かってきた。

マッチョではないが、程よく筋肉質のきれいな体をしている。どこの出身なの?イサーン、コンケーン。タイの東北部、ラオスにほど近い地域だ。歳は32歳。両親を早くに亡くし、10代後半からバンコクに働きに出てきたらしい。イサーンはタイでも比較的貧しい農村部で、職を求めてバンコクにはたくさんのイサーン出身者が住んでいた。うつ伏せで、枕に顔をうずめていた私のすぐ前に彼が移動して、首肩付近のマッサージに入った。私はうつ伏せから少し顔を横向けにして、さり気なく彼の膝の上あたりの太ももを触ってみた。硬い筋肉の感触が指に伝わる。この後の展開を期待しつつ、私のお触りは少しずつ大胆になっていく。彼の硬くなったペニスが指先に触れると、うふっと吐息を漏らして、彼は自分の腰に巻いたタオルを取って、後ろに移動した。
彼の体がうつ伏せの私の上に重なった。優しく肩や背中にキスをしてくれる。半月ぶりの男の体を背中に感じて、私の男根も熱く大きくなっていく。私はゆっくり体を半転させて、ナロンの体の重さを感じながら向かい合った。彼の頬を両手で挟んで、自分の顔に近づける。初めてのキス。2、3回軽く唇を重ね、徐々に唇の隙間からお互いの舌が触れ合う。キスも上手だ。すぐに大胆に舌が絡まり、彼のディープキスに酔いしれて、心身共に興奮が高まっていった。
私は彼とのセックスに溺れながら、今日のナロンとの出会いを感謝し、彼との今後の濃密な関係を予感していた。

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