見出し画像

雨とプロ野球

小学校三年の今くらいの時期、母が職場でヤクルトスワローズのチケットをもらってきた。
姉も僕も野球にあまり興味なかったけど、せっかくだから観に行くことに。

試合当日、昼過ぎから雨が降り出した。

姉のせいだと思う。
姉は小学校の林間学校でシャワー室に雷が落ち、修学旅行の写真はほとんど傘を持っている。
初めてのアメリカ旅行は着陸する空港周辺が大雨で空港機能がマヒし別の空港へ。
二度目は濃霧で着陸不可のため、また別の空港へ。
初めてのヨーロッパ旅行当日、普通なら家から二時間で空港へ行けるはずが大雪で六時間かかった。
ガチの雨女。

話を戻して神宮球場に向かってる途中の電車の窓を横殴りの雨が叩いていた。
試合は中止だろうと思ったけど球場へ。

席は三塁側。
球場か行く途中で買ったカッパを着て席へ。
対戦チームは赤いユニフォームだったので多分、広島だと思う。
グラウンドのホームベースや土部分にビニールが被せられ、そこに水たまりが出来ていた。
カッパを着てないとずぶ濡れになるような雨だったので客席はガラガラ。
それでも熱狂的なファンが太鼓を叩いてた。

予想通り、試合中止のアナウンスが流れた。
母に帰ろうと伝えると、「せっかくだしちょっと見よう」と母はグラウンドを見ていた。

確かに雨で誰もいないグラウンドなんて、実際に来ないと見られない。
そうは言っても、雨がかなり強かったのでいつまでも雨に打たれるままはキツイ。

早く母が飽きないかなと思っていたら、ヤクルトの選手がグラウンドに出てきた。
選手たちは横一列に並び一塁側の客席に向かって帽子を脱いで一礼すると、手を繋いで前に向かって走り出し水たまりになっていたグラウンドへダイブした。

ファンは大歓声。
選手たちは三塁側にも来ると一礼後、同じように水たまりになったグラウンドへダイブ。
三塁側はお客さんの数が少なかったけど盛り上がった。
それをバックネット裏。ライト、レフト両外野席の方でもしていた。

試合が中止になったお詫びのファンサービスなんだろう。
試合が見れなかったのは残念だったけど、テレビでは見れないものが見れたのが面白かった。

帰りの電車は満員。ものすごく蒸し暑かった。
ドア近くに立ち、へたっていると途中の駅でドアが閉まる前、母は乗り降りするお客さんがいないのを確認すると僕と姉の手を掴んでホームに走り出た。
出発のベルが鳴るとまた車内にダッシュで戻る。

これを最寄り駅まで繰り返した。
駅員さん、乗り合わせた周囲のお客さん。どちらから見ても迷惑な客だったと思う。
でも、楽しかった。

試合は見れなかったけど、これが僕のプロ野球の思い出。

今日、プロ野球が開幕と知り思い出したので。

ジュースが飲みたいです('ω')ノ