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他人の不幸は蜜の味

スーパーで会計待ちで並んでたら前にいた夫婦が、

「あれ、決めてくれた?」
『まだ』

何のことか分からないけど奥さんが旦那さんに訊いている。

「あっちは仕事なんだから待たすの悪いでしょ。早く決めてよ」
『分かってるよ。でも今、忙しいんだって』
「私、寝てからゲームする余裕あんのに?」

会話がきな臭くなってきたのでスマホをいじる振りして2人を見過ぎないよう聞き耳立ててると、

「ゲームさ。課金してるよね?」
『してないよ』

旦那さんの否定に

「プレイステーションに課金する5000円分のカード。ゴミ箱に捨てたあったんだけど」

旦那さんを見ながら奥さんが畳みかける。
横顔が見えたけど少しキレ気味。旦那さんは後頭部しか見えずカードの下りから無言に。
耐え切れなくなってスマホの画面を見ながら左手で右手をつねって笑いを堪えた。

「ねぇ?」

奥さんの問いに無言を貫く旦那さん。
そこに女の子二人がやって来て、

「ママの好きなアイスあったよー」
「ホント?じゃあパパの分と4個。持ってきてくれる?」

奥さんは子供には笑顔になり、子供は「はーい」とアイスを取りに。
子供がいなくなると、また旦那さんを睨む。
コントみたいで面白かったけど、笑っちゃいけないので辛かった。

「今日、〇〇さん、仕事だからどっちにするか決めて連絡しといて」

そう言った後、

「課金のお金どうしたのか。夜、訊くから」

良くないとは思いつつ一部始終、盗み聞きしてしまった。
旦那さんにとって今日は1分1秒がとてつもなく長く感じてるんじゃないんだろうか。
夜、絶対、勝てない裁判が待ってるとか地獄としか思えない。
子供が持ってきたアイスが最後の晩餐なのかなとか色々、想像が膨らんでしまう。

“ 他人の不幸は蜜の味 ”

この言葉って、こういう時に使うのかなと思った今日の出来事。

ジュースが飲みたいです('ω')ノ