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時計ばっちりクリアシートの作り方

今回から学習理解がゆっくりな「ゆっくりちゃん」のために,学習支援の具体的方法や自力解決を促す補助具を紹介していきたいと思います。

はじめに,お断りしておきたいことは,ここで紹介する方法は,一斉授業での指導法についていくのがやっとの子供に,こんな方法を試したらうまくいったという実践例であって,唯一無二の「正しい指導法」ではないということです。
子供によって理解の進度や認知の特性は千差万別なので,「こんなやり方もあるんだ~😄」ぐらいの軽い気持ちで読み飛ばしていただき,あとは子供や教員の実態に合わせてカスタマイズしていただければいいと思います。

第1回目は,2年生の算数で多くの子がつまずく「時刻と時間」です。特に,1年生の時からやっている「時刻」は理解できても,〇時〇分から△時△分までの間を示す「時間」でつまずく子が続出します。

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なぜこの単元はつまずきやすいのでしょう。考えられる理由として,

1・時間(時刻と時刻の間)という概念が理解しづらい
2・文字盤を5・10・15・20・・・と5とびで数えるのが苦手

ということが考えられます。
理由1について,時間とは小学校で習う初めての「目に見えない数量」なのです。それまでの算数は,個数や人数など目に見える数量なので比較的理解しやすいのですが,2年生になっていきなり目に見えない数量「時間」について扱うのはなかなかハードルが高いです。
にもかかわらず,生活に必要だからなのか,いくつかの教科書では4月段階でこの単元を学習します。
2年生の4月で算数についていけない子が続出します😅。

理由2文字盤を5・10・15・・と数える「5とびよみ」でつまずく子は,おそらく1年生の時計の読み方でもつまずいたのではないでしょうか。
しかも,今度は12以外の時点から5・10・15・・・と数えていかなくてはいけないのでなかなか高難度です。

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1年生の授業では,上のような補助具をよく使います。
これは文字盤の上に赤い数字で「分」が示されていて,この時刻が10時40分であることが容易によめます。


しかし,「時間」となるととたんに難しくなります。たとえば,
「10時40分から20分後の時刻は?」とか
「10時40分から20分前の時刻は?」などと問われると,とたんに赤い数字がじゃまになってきます。時間を取り扱う際は,長針のある位置から「5・10・15・・・」と数えていけないのです。
しかも「20分後」の場合は時計回りに,「20分前」の場合は反時計回りに!
これは,普段から相当時計に慣れ親しんでいる子でないと難しいですよね。

そこでこんな補助具を自作しました。テッテレー♪(ドラえもん風)
名付けて「時計ばっちりクリアシート」です!

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クリアファイルに0~55の数字を5とびに書いたラベルを貼っただけのものです。
これをさっきの時計にあてはめると・・・・

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10時40分の20分後が一目瞭然で分かります。
分からなければ,長針を回せばいいんです。

カリカリカリカリ・・・・

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11時!正解~!
・・・というわけです。
しかも,このシートの裏側には,反時計回りの数字も貼っているので,

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たとえば「10時40分の20分前」もすぐにわかります!

指導者の中には,こうした補助具を使うと,「らくらくシートがないと時間がよめなくなる」とか「子供が考えなくなる」とか言う方もいるかもしれません。
しかし,このシートで時間について学習した子は大人になるまでこのシートが必要だと思いますか?
おそらく,しばらくしたら何もなくても「5・10・15・・・」と数えられるようになり,自分で「長針が半分回転したら30分」などと法則性を発見してより高度な解決ができるようになると考えます。
ゆっくりちゃんたちに,小学2年生の段階で算数に苦手意識を持たすことなく,こうした補助具でハードルを楽に乗り越えられるような支援方法を考えていきたいと思います。

「時計ばっちりクリアシート」の作り方はyoutubeでも紹介しています。
ぜひ!ご視聴&いいね&チャンネル登録もお願いします!
https://www.youtube.com/watch?v=pci-Q4KoRmI

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