見出し画像

ニイマリコさん・シマダマユミさん──ビートルズ映画の◯◯◯◯に注目するのは瞑想の効果?!

インドで瞑想をするビートルズの姿をとらえたドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』。その公開を記念して、ビートルズと同じ「超越瞑想(TM)」を学んだミュージシャン・ニイマリコさんと、TRASH-UP!! RECORDS代表・シマダマユミさんに、映画の感想や瞑想についてのお話をうかがいました。

まさに『Eight Days A Week』

──映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』をご覧になっていかがでしたか。

マユミさん:すごく楽しかったです。リシケシュに行ってみたくなりましたね。研究家のマーク・ルイソンの表情がビートルズが好きな気持ちが溢れてキラキラと輝いていて、「自分も同じように追体験がしてみたい」と思いました。リンチ監督も前のめりでサルツマン監督にリシケシュのことを質問していて、みんな興味津々になるよねって(笑)。

ニイさん:メンバーで一番好きなのがジョージ・ハリスンなので、ジョージのひたむきさ、末っ子っぽい姿勢に胸を打たれました。一生懸命シタールを練習しているところとか、良かったです。この作品はビートルズのバンド・ストーリーの『インドの巻』という感じですね。20代のバンドマンとしての彼らと、スターとして祭り上げられている彼らとの間にはギャップがあったと思うんですけど、そのストレス解消にTMが合ってたんだな、と。そしてインドで休暇をとって、良い時間を過ごして、曲がいっぱいできたりして、その後解散して個に戻っていく、というのが渋いです。ロマンティックなものを感じました。
  
マユミさん:作品を作っていた様子とかそれをみんなで聴いたりしていたことが描かれていて、ふわっとインドに行って帰ってきたということではなくて、彼らにとって必要なことだったんだな、と感じました。あと、監督は施設に入れてもらえるまでよくがんばって待っていたな、と思います。自分だったらすぐに諦めて帰っちゃうだろうなあ…。

ニイさん:8日間待ったというのがまさに『Eight Days A Week』でしたよね。

映画の中の◯◯◯◯が良い!

ニイさん:途中で出てくるイラストもすごく良かったです。教科書の絵みたいな感じで、目がぱちっとしてキラキラして。あのタッチ、動きも大好きですね。

マユミさん:わたしもイラストが出てきたとき、「あっ、絵なんだ!」って驚きました。良いイラストですよね。

──お二人ともイラストに注目されたんですね。イラストのご感想ははじめてです。

ニイさん:味わい深いイラストです。自分も音楽やバンドをやっているので、映画の中のバンド内の人間関係が生々しく感じる部分もあるんですけど(笑)、そんなときにあのイラストが出てくると現実逃避させてくれるんです。ちょっとクスッとできて。

──もしかしたら、イラストに注目するのはTMの効果もあるかもしれないですね。TMをすると物事の構造をとらえるのがよりスムーズになる傾向があります。そのあたりはいかがですか。

ニイさん:確かに映画を観るとき、その構造も見ているかもしれないです。特にドキュメンタリー映画は、監督の描きたいこと、伝えたいことをわかるには、構造を読み解かないといけませんから。

マユミさん:はっきりとは意識していなかったんですけど、言われてみればそうかもしれないですね。

ニイさん:ジョンがシニカルなギャグを言って、みんなが「ワハハハ」って笑うところがイラストのシーンでありましたけど、けっこうギリギリなことを言ってるな、と思いました。ジョンのそういうところ、本当か嘘かギャグか嫌味かわからないことを言う、ダブルミーニングを並走させるようなところって、実際に近くにいたらこわいだろうなって思うんです。その一方でジョージは「シタール聴いてくれ」みたいなひたむきな感じだったり、そんなメンバーのキャラクターの対比もよかったです。『Ob-La-Di, Ob-La-Da』のシーンも良かった。こんなふうにスターが身近に感じられると、ファンとしての視点だけでなく、より人間としてのことを考えたくなります。

マユミさん:この後に『Get Back』を観たんですけど、リシケシュに行ったことも会話に出てくるし、ますます人間らしくて、身近に思えました。本作でイラストだった部分もより想像が膨らんだし、「彼らもバンドなんだな」「バンドやってるな」って感じて。

ニイさん:バンドですよね。バンドって、そうとしか言いようのない不思議な人間関係が出来上がるので。

マユミさん:あれだけバラバラの個性と才能を持った人たちが、何日間か一緒に同じ場所でTMしていたというのはすごいな、と思います。

ビートルズもTMしてリラックスしていたんだなって

──ところで、今日はインタビューの前にグループ瞑想をおこないましたけど、体験はいかがでしたか。

ニイさん:良い感じでした。今朝は早起きをしたので寝不足だったんです。だからTMしたら眠くなるかと思ったんですけど、一人でやってる時よりもシャキッとする、その立ち上がりが早い気がしました。

マユミさん:一人よりグループが良いですね。対面のグループ瞑想はひさしぶりだったんですけど、すごくリラックスできました。オンラインのグループ瞑想が好きでよく参加しているんですけど、毎回眠くなります。でも寝るとスッキリするんですよね。オンラインでも十分気持ち良いです。

ニイさん:TMを学んだときに、コースの中で「眠くなったら眠ってもいい」と聞いたときはホッとしました。わたしもよく眠ってしまいます。

マユミさん:TMは努力しなくて良いし、考えが出てきても良いので続けられています。

──TMをはじめてから、ビートルズの印象がそれまでと変わったりしたことはありましたか。

マユミさん:わたしはTMを学んだとき、「ビートルズやビーチ・ボーイズと自分が同じことができるんだ!」って思ってうれしかったんです。彼らが瞑想を学んでいたことは知っていたからもともと瞑想には興味があったんですが、実際に同じことをしているのがうれしいし、彼らの存在を身近に感じられるようになりました。自分がTMをしてリラックスしたときに、「ビートルズもTMしてリラックスしてから作業していたのかな」と想像したりして。

ニイさん:わたしは最初に『The Beatles』(通称:ホワイト・アルバム)を知ったとき、ベスト盤かと勘違いしてたんです。赤盤、白盤、青盤みたいな、「二枚組だしお得だな」なんて思って(笑)。はじめて聴いたのは15、6歳の頃だったんですけど「良い曲がいっぱい入っているけど支離滅裂でなんなのかよくわからないアルバム」みたいな解説を読んだりしました。でもわたしは「ただ素朴に作ったアルバムなんじゃないかな」って思っていたんです。映画の中でバンガロー・ビルのエピソードとか、「彼らはただ身近な出来事や感じたことを歌にしていた」という話があったので、「そうだよね」って思いました。彼らはTMでリラックスすることによって、よりオープンな感じになっていって、それでホワイト・アルバムみたいな作品ができたのかなと。ちなみに『While My Guitar Gently Weeps』が一番好きです。

「天国は自分の中にある」=自分をしっかり持つこと

──お仕事やクリエイティヴな面でTMの効果を感じることはありますか。

ニイさん:わたしの場合はTMをはじめてすぐに生活でいろいろな変化がありました。職場が変わって、住まいも変わって、ストレスはそれなりにありましたが、以前より落ち込んだり悩んだりはしてないです(笑)。一番驚いたのが、悪夢をほとんど見なくなった、すぐ眠れるようになったこと。ライヴも具体的な、良い感想を言っていただけることが増えた気がします。最近では、あるミュージシャンの方から「あなたは『悲しい』を悲しいまま出せるのがすばらしい」と言われたのがうれしかったです。あと、尊敬するボビー先生の自伝(『ボビー・ギレスピー自伝 Tenement Kid』イースト・プレス刊)の書評を書かせてもらって、トークショーにも登壇させてもらいました。エッセイの連載のご依頼が来たり、新しい風が吹き始めたな?って感じです。

マユミさん:以前は仕事でやることリストがたまってくると混乱していたんですけど、TMをはじめてからはすぐに順番を整理できるようになった気がします。デスクワークの日はふだん延々と作業を続けてしまいがちなんですが、「TMしよう」と思うことで仕事に区切りをつけられるようになったので、そういう意味でもやって良かったですね。あと、人との関係で「無理しなくていいや」と楽に思えるようになって、苦手な人と自然に距離が置けるようになりました。受けたストレスを前ほど引きずらなくなったかもしれないです。

ニイさん:ジョンが「天国は自分の中にある」って言っていましたけど、その「天国」を見つけることは結局「自分をしっかり持つ」っていうことなのかなと。自分ではTMをしてから、余計なストレスをオフることができるようになってきたかもと思います。歌う時も声がするーっと出るようになったり、良い集中力が使えている気がします。私の音楽は暗い感じに聴こえるかもしれませんが、やってる自分はすごくポジティブなんです。以前はふだんの自分と作っている曲のギャップについて人から指摘されたりすると、焦ったりしていたんですけど、最近はそういうこともあまり気にならなくなりました。どっちも自分、どっちも天国です(笑)。


この記事が参加している募集

#私のストレス解消法

11,406件