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丹野創輔さん「瞑想は自分の状態を良くして、自由な発想を目覚めさせてくれる」

インドで瞑想をするビートルズの姿をとらえたドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』。昨年10月には池袋シネマ・ロサで伊藤銀次さんのトーク付き上映が行われました。今回登場するのは、その上映がきっかけで超越瞑想(TM)を受講されたミュージシャン・丹野創輔(たんの・そうすけ)さん。実際にTMをはじめてのご感想をうかがいました。

ジョージ・ハリスンの言葉に惹かれて

──映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』をご覧になっていかがでしたか。

創輔さん:単純に「瞑想ってとても面白そうだな」と思いました。僕はジョージ・ハリスンが好きなんですけど、映画の中でTMをはじめて6週間くらいのジョージが「瞑想はすごく良い。ドラッグよりすごい」と言っていて。僕はドラッグをやったことはないんですけど、妙に「そうか!」と思ったんです。ジョージの表情が本気だったし、自分も忙しくて頭が疲れていたので「瞑想は良さそうだな」と思いました。

──たしかに、映画は表情から伝わるものがありますね。上映後のトークイベントはいかがでしたか。

創輔さん:伊藤銀次さんのことはもちろん知っていたので、「こういう方も瞑想をしているんだな」と思いました。「TMをはじめる前はなかなか曲が出来なくて苦労することもあったのに、TMをはじめてからは自然に作れるようになった」というお話が印象的でした。曲が出来ない時も気楽でいられるようになって、そうしているとスッと無理なく曲が出てくるようになったとおっしゃっていて、それはすばらしいことだし、そんなふうに気持ちをコントロールできたらとても良いことだな、と思いました。「脳の働きを良くしていくことはやり方を学べば出来ないことではないだろう」と思ったのでTMに興味を持ちました。

物事に取り組むのが楽しみに

──そして今年の1月に実際にTMを学ばれましたね。

創輔さん:すごく良い感じで、思った以上に自然に自分の生活に入ってきてくれました。コース中の4日間も楽しくて、まるで楽しく旅行をして一生モノの素敵なお土産を持ち帰ったような感じでした。TMはとても簡単な方法ですけど、本や動画などでは学べないものだということがよくわかりました。簡単だけれど、プロに学ぶことに意味があるものだと。

TMは1日2回20分ずつおこなっているんですけど、やっぱり定期的に脳を休めているとすごく良いです。スケジュールの都合で睡眠不足になってしまったような日も、スッとすごく調子が良くて。TMをはじめる前は体よりも頭が疲れていて、「あれをやって、これをやって」という状態だったんです。TMをはじめたらやることが整理出来るようになって、効率良く作業が進められるようになり、「明日はこれをやろう」と物事に取り組むのが楽しみに感じられるようになりました。

──それは良いですね。瞑想中の体験はいかがですか。

創輔さん:瞑想そのものも気持ちが良くて楽しいです。僕はお風呂やサウナに入るのが好きなんですけど、TMをはじめる前にTMの体験談を聞いた時は、「サウナみたいだな」と思っていたんです。実際にはじめてみると、TMとサウナは通じるところもあり、違うところもありました。昨年はサウナでは追いつかないくらい疲れていたんですけど、TMをはじめたら休まりました。そして、好きなサウナも前よりもさらに気持ちが良くなりました。しっかり頭が休まっているので感覚が研ぎ澄まされているのかな、と思います。サウナは外からの刺激、TMは内側の体験ですけど、僕は両方好きです。瞑想というと重く捉える人もいるかもしれないですけど、もっと気楽に実践する人が増えていったら世の中が穏やかになるんじゃないかな、と思ったりしますね。

するするっと気に入った曲が出来た!

──音楽面での効果はいかがでしょうか。

創輔さん:忙しいときにはやりたいことであっても思うように作業が進まないこともあるのですが、先日するするっと気に入った曲が出来ました。そして、少し置いておいたら「こういうアレンジがいいかな」とアレンジも思いついたりして。今まで作ったのとはちがう感じの曲で、気に入っています。ライヴは最近ギタリストとして加入したバンド(THE BARIUM PILLZ)で1回あったんですけど、演奏中にも余裕がありますね。頭が整理されているので、落ち着いて、周りも感じながら演奏出来る気がします。

撮影:David McGinty (@themadchameleon)

──お料理をするのもお好きだそうですね。

創輔さん:料理って自分に余裕がないと仕上がりに影響が出てしまうと思うんです。バタバタしているとそれが出てしまう、感情が入るような気がします。最近はTMをして気持ちが落ち着いているので、数日前に作ったうどんのつゆがいつもよりもとてもおいしく出来ました。家族も「いつもおいしいけど、今回のは特においしい」ととても喜んでくれました。

TMは自由な発想を目覚めさせてくれる

──ジョージ・ハリスンやスティーヴ・ジョーンズと言ったご自分の好きなアーティストと同じ瞑想をおこなってみて、思うことはありますか。

創輔さん: 僕はいつもロックのことを考えていて、幸いなことにロックのことだけで暮らしています。前から楽しいことばかりしていますけど、TMをはじめてからその楽しさが深くなった気がしています。今、僕はTMをはじめて3週間なので、映画の中のジョージの半分くらいですよね。ジョージは「瞑想はドラッグよりすごい!」と言っていましたけど、僕だと「瞑想はサウナとは違う効果がある!」になりますね。楽しくTMができているのはジョージのおかげです。好きなアーティストが実践しているTMを自分もやってみたのは、「好きなアーティストの好きな音楽を聴いてみたい」というのと同じ感覚でした。そんなふうにみんな気楽にやってくれたら良いですよね。

TMはいろいろな人に役立つものだと思いますが、ロックミュージシャンにはすごく合う、しっくりくるような気がするんです。ロックの魅力って理屈じゃ測れないものがありますよね。ちょっと規則からはみ出す面白いものがあったり、自由な魅力があると思っています。自由度の高さ、自由だからこそむずかしい部分があったり。TMは自由な発想を目覚めさせる手助けになる、背中を押してくれるという感覚があります。TM中にも枠のない自由さを感じているので、そういうことからかもしれません。今までになかったはみ出すようなもの、そういうことをやりたい人にとって、自分の底力を上げてくれる、自分の純粋度を上げるためになってくれる感じがします。まだはじめてから3週間ですけど。

──スティーヴ・ジョーンズの自伝(『ロンリー・ボーイ』イースト・プレス刊)の中に「グループ瞑想は良い」というくだりがありました。

創輔さん:僕もグループ瞑想の方が好きです。オンラインのグループ瞑想会に参加したんですけど、一人の時よりも圧倒的に良い感じがしました。言語化しにくいんですけど、深い感じ、あたたかい感じというか。以前、PANTAさんやDEAD BOYSといった好きなミュージシャンと一緒に演奏した機会があってうれしかったんですけど、同じようにいつかスティーヴ・ジョーンズと一緒に瞑想できたら良いですね。

自分を良い状態にして、人に良い影響を与えていきたい

──最後に、今後の展望を聞かせてください。

創輔さん:「歳をとると時間が過ぎるのが早い」と言う話を聞くことがありますけど、脳の働きを良くしていくことで、時間の使い方や気持ちの持ち方も自分でコントロールしていたいな、と思っています。俳優の秋野太作さんのインタビューで「瞑想をして脳の掃除をするとかえって時間が出来る」というお話がありましたが、僕もTMをはじめてから一日が長くなった感じがしています。

自分が良い状態でいるというのは大事なことですね。いろいろな人と関わって行く中で、良いものを受け取り、発信していたいと思います。TMをしていると、たとえ何か失礼なことを言われたりしたとしても、あまり気にしないでいられそうです。僕の好きな音楽の先輩、一番の師匠はマルコシアス・バンプのアキマツネオさんなんですが、本当にいつもポジティブな気を発している人なんです。僕は10代の時に本当に良い影響をもらったので、自分もそうありたいです。そういった面でもTMをすることが助けになるように思っています。