お友達先生にならない。
教師であれば、生徒と仲良くなりたいと思ったこともあると思います。
しかし、そのような仲良し状態で楽しく過ごせるのは、短期間かつ責任が少ない教育実習ぐらいまででしょう。
本当の教師の仕事というのは、そんな容易いものではありません。
基本的には1年間という単位で関係性を見ないといけないのです。
お友達先生をやっていれば、最初の頃は楽しいでしょう。
生徒も話しかけてくるし、先生の人気もあるかもしれません。
しかし、時が経つにつれて、担当するクラスや授業の秩序は乱れていくでしょう。
よほど、生徒たち自身が自律しているような学校でないと秩序は保てないでしょう。
そして、教師がそれを改善しようと、何かを伝えても、彼らにとっては「お友達」のような存在からの言葉なので、強くは響かないでしょう。
時には反発・反抗する生徒もいるでしょう。
教師は焦り、さらに厳しい指導をするようになります。
生徒はさらに反発・反抗し、教師と生徒の関係性も悪くなっていくでしょう。
最悪の場合、学級崩壊という状況を味わうことにもなります。
これが「お友達先生」の辿る典型的なパターンです。
それを初任の私は経験をしたのです。
その頃の話はまた別の記事で書きたいとは思います。
さて、「お友達先生」にはならないためにはどうすればいいのでしょうか。
最もわかりやすい手法は「適度な距離を保つ」ということです。
生徒は心理的な距離を近づけようとすることもあります。
例えば「タメ口」です。
※小学校低学年などの場合は敬語の習慣がないので、この例示にはあてはまらないかもしれません。ご了承ください。
もし生徒が「タメ口」を乱発するようであれば、指摘することが重要です。
ただ、気が弱い教員であれば、会話を打ち切って、その場を離れるというように、明らかに「タメ口会話に対して嫌な気持ちである」ということを暗に伝えるということもありだと思います。それで相手は察することもあります。
それでも「タメ口」を使い続けるようであれば、生徒を個別で呼んで、指摘する方が段階を踏んで場を整えているので、指導もしやすくなります。
このタメ口を許さないというのは、「適度な距離を保つ」ということ、つまり「教師と生徒という立場を認識をさせておく」ということの一つでもあります。
友達に敬語で話す生徒はなかなかいないと思います。
他にも「教師と生徒」という関係性において不適切な言動をしてきた場合は指摘するか、すぐに距離を置くことです。もちろん、挨拶や必要なことについてはきちんと接します。しかし、安易に心理的な距離を近づけないということです。
このことによって、基本的に生徒も察するでしょう。
察することができなければ、改めて個別で指導、状況によっては(全体の前で不適切な言動をするなど)、全体の前で指導することもあり得るでしょう。
とにかく、「お友達先生」になりやすい生徒からの日常の言動について、ヘラヘラと許容しないということです。
ただ、1年間冷たく接するということではありません。
褒めるべきところは大いに褒めて、楽しむところは生徒と楽しむことも重要です。
ただし、それらは「教師と生徒」という適切な関係性の上で行われることです。
年度当初から「お友達先生」にならないように努めていれば、生徒たちも教師との適切な関係性がしっかりと定着し、適切な言動で接してくることができるようになるはずです。
もし、「お友達先生」になれば、一緒の立場、もしくは下の立場と思われる可能性もあります。(※もちろん人間としての価値は教師も生徒も同じですよ。)
「お友達先生」にならないというのは、クラスや授業の秩序を保つという意味でもとても大切ですが、多くの生徒は教師に尊厳をもっておいてほしいとも潜在的に思っていると感じています。
そういう教師の言葉には説得力が増します。
時と場合によっては、距離感が近い方が生徒が悩みを話しやすかったりする状況もあります。その距離感は時と場合によって臨機応変に調整しつつ、「お友達先生」にならないような適切な距離感を保つことが大切です。
それが教師としての大切なあり方の一つだと思っています。
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