生徒が授業に遅れてくることに対する対応。

まず、「朝の登校における遅刻」と「授業に遅れる」ことについては、異なる見方をする必要がある。

朝の遅刻は「家庭レベル」の原因がある場合がる。
それは家庭環境や家庭の教育力、生徒の身体的・精神的な健康状態が原因であることがある。この場合は、そのような根深い原因を把握して、適切な改善方法を見出していくことが重要だ。

今回のテーマである「生徒が授業に遅れる」ということは、もう少し浅い理由であることが多い。
例えば、授業の間の時間に友達と遊んでいて授業に遅れたとか、移動教室だけど移動し始めることが遅かったなどが考えられる。

このような状況に対する対応方法は時期と状況などによって、大きく分けて二通りの対応方法がある。

一つ目は年度当初などの初期段階や、クラスの秩序が保たれている状態などだ。
この場合、予防策として、きちんと遅れていない時に時々クラス全体を褒めることで「授業に遅れないことは良いことだ」と認識させることだ。

ただ、もし遅刻者が少し出てきた場合は、早めに全体の前で遅刻は良くないことであって、もしやむを得ない事情で遅れる場合は教員に事前に伝わるように手配しておく(友達に伝えてもらうなど)という手立てを行うようにと伝えておこう。
その時に、遅れてくる原因がわかっているのであれば、具体的な改善策も提示しておくといい。

つまり、クラスに対して「遅刻に対してはきちんと指導する」ということを示しておくことで、生徒たちに適度な意識を持たせることができる。

このようなことを1年間の初期段階の適切なタイミングで示せると、後はラクになる。

大変なのは次のパターンだ。
それは、もうすでに授業遅れが多くの生徒に見られるような、秩序が崩れてしまっている段階だ。

このようなパータンで、全体の大勢に対して指導するのは弱い。
どういうことか。

それは指導される側の人数が多いと、生徒たちの責任が分散されてしまい、指導の効果が薄まってしまうということだ。
「他の人も言われているからいいや」みたいな意識を生んでしまう。

だから、この場合は荒治療になるが、厳しい指導場面を見せることだ。
例えば、前段階として、「もし次授業に連絡もなく、ひどく遅れた場合は厳しく指導しますからね」と予告しておきます。

そうして、次の授業で遅れた場合は、一番最後に遅れて来た生徒が席に座る前に止めます。
そして、全体に顔を上げて真剣に話を聴くような姿勢をとらせます。
そして教室に静かな状態ができるまで待ちます。
つまり、教室に緊張感をつくるのです。

その上で、一番最後に遅れてきた生徒に対して

「前回、ひどく遅れたら指導すると伝えましたよね。今日はあなたが一番最後に遅れてきました。(沈黙)それはきちんと授業に間に合っている生徒たちに迷惑です。(返事) 理解したら席についてください。」

といって、間に合っている生徒たちを肯定しながら、一番最後に遅れてきた生徒に注意の言葉をかけます。このような言い回しをすることで、きちんと間に合っている子たちの反発などが起きないようにします。

(※もし誰かに連絡していた場合などは、きちんと教員に伝えなかった生徒に注意をするが、遅れてきた生徒が嘘を言ってた場合などは「次回からは直接言いにくるようにと共通認識をもたせて、次の遅れて来た時に持ち越すのもありです。引き分けになりうる指導は上手く避けましょう)

このように指導する生徒を絞って指導することによって、遅刻した場合の指導の緊張感が増します。

小学校・中学校の時期の全体の前での適切な指導(不適切な行為に対する指導など)というのは、必要だと考えています。

なぜなら集団生活の中でその指導内容についての認識が浸透していくからです。

これを一人ひとり個別でやっていたら、大変です。
「人の振り見て、我が振りなおせ」ということです。

ただ、生徒の心理状況や中学生の上級生、高校生などの場合は全体の前で叱るというのは羞恥心を強く感じることがあるため、少し方法を変えてもいいかもしれません。

例えば、一番最後に遅れてきた生徒がいたのなら、全員が座った時に話を聴く状態にさせて、静かな状態をつくって緊張感をつくります。

「最後に入ってきた人が1分ほど遅れてきました。(沈黙)
とても遅いと思います。授業者としてとてもやりにくいです。
そして、きちんと間に合って座っている生徒たちに対しても迷惑です。
遅れてきた人はそのことをしっかり自覚して次回から間に合うようにしなさい。(沈黙)
反対意見がある人は手を挙げてください。(沈黙)
いないということは全員で共通認識ということになりますからね。
次遅れてきたらしばらく座れませんからね。」
ということで、次なる厳しい指導の予告をしておくといいと思います。

このようにして、個人の名前を出さずに、個人を視覚的に注目させずに緊張感のある指導ができます。

以上のような厳しい指導は本当にひどい授業遅れを改善したい場合のものです。

もし、ある程度秩序が定着している場合であれば、ちょっとした優しい声かけで改善されるはずです。

そのあたりの状況というのはしっかり見極めてくださいね。

まとめとして
授業遅れについては、初期段階で予防をするために全体を褒める機会や全体に認識させる場面をつくっておくといいでしょう。
ただ、秩序が崩れていて、授業遅れが多い場合は間に合っている生徒は褒めつつ、ひどく遅れてきた生徒に絞って、適切かつ緊張感のある指導をしましょう。
そしてしっかり全員が間に合うようにしていきましょう。
指導の緊張感を体感すれば、次から遅れてくる生徒は少なくなるはずです。

今回は厳しめの指導でしたが、このような厳しい指導は学年などの発達段階も考慮して、しっかりと行われることも時には必要だと思っています。


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