【創作長編小説】謎姫、世界を救うっ! 第20話
第20話 涙
扉付きのアンティークの本棚に、ずらりと並ぶ本。
その中の、特別な一角。
まったく同じ文言を刻んだ背表紙が、きちんと行儀よく三冊ずつ並んでいた。
一冊は、ページを自由にめくるために。もう一冊は、閉じた状態を眺めるために。そしてさらにもう一冊、保管用。
そんな同タイトルの本が、三冊ずつ、何種類か並べられている。すべて、それらは同じ作者名だった。
銀のフレームの眼鏡の男が、本棚の前に立ち、自分で決めた美しいルールに一人うなずく。
間違えないよう本の並び