見出し画像

みんなおなじ、「かあさん」だった。

何度も借りては読んでいる一冊がある。
いや買えよ。

一田憲子さんの『かあさんの暮らしマネジメント 仕事、家事、人生をラクに楽しくまわすコツ』だ。


先に言うと、決してこれを読んだからって、仕事も家事も人生も「ラク」にはならない。
そんなんでなったら苦労しない。

この本に出てくる「かあさん」たちも、ラクに生きてるんじゃない。
波乱万丈、山あり谷ありだ。

この本は、働き方に悩み、育児に困り、あらゆる人生の困難にぶつかった「かあさん」たちが、「じゃあどうすれば、自分がご機嫌でいられるのか」という目的を達成するために、あれこれ動いてやってみて、今に至るまでの「生き方」がまとめられている一冊だ。


以前紹介した『ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく』と同じように、8名の「かあさん」のくらしを一田さんがインタビューし、その工夫をまとめてくださっている。

だから、時間がない人や、「かあさん」たちがどんな工夫をされたのかだけを読みたい人は、各人の「まとめ」のページだけを読めばいい。


でも、わたしはこの一冊をハウツー本のように使うのはもったいないと思う。

ぜひ、それぞれの「かあさん」の悩みや本音の部分を読んでほしい。
そして、自分と重なる部分を見つけてほしい。


・一日を100%使い切らない


わたしが特に共感したのは、「りょうこ」さんだ。
「一日を100%使い切らないのが、自分を潤すコツ」という考え方に、自分と重なる部分をかんじた。

私たちはつい、「もうちょっとがんばれる」と欲張りになり、自分の持ち時間以上の「やるべきこと」を1日に詰め込んで、自分を消耗させてしまいます。でも、りょうこさんのマネジメント術ではいつも、10%か20%の「おつり」を残しておくのです。そうすれば、こっちでオーバーした時間をカバーするという、フレキシビリティが生まれ、さらには、子供の話に耳を傾けたり、ご主人と「夜のおやつタイム」を過ごしたりと、「おつり」の時間で自分を潤すことができる…

同書、p.50


わたしもつい、「今日はこれやろう!」とできもしないことをリストアップして、達成できないことが多い。

「どれかひとつでいいからやろう」
そう思っていても、いざやりだすと、優先順位が見えていなくて、あれこれ手をつけ、中途半端。
そして、一日の終わりに何も達成できていない自分に落ち込む。

それは、自分の容量以上のことをしようとしていたからだ。
100%、いや120%を自分に求めていた。
そんなの、できるわけないじゃんね。

でも、心のどこかでは、できない自分を情けなく思ってしまっていた。
努力不足、容量が悪い、今日もなにもできなかった、とね。


「りょうこ」さんは、家族との時間を最優先するため、働き方を変え、家事をすべて細かくルーティン化した。
わたしは、そこまでできるか自信がない。
でも、この「優先順位」を決めるというのは、すごく大事なことだと学んだ。

というのも、わたしはまだ、子どもがいる状況で働いたことがない。

育休から復帰したとき、「以前のようにバリバリ仕事したい!」と思えるのか、それとも「子どもたちや夫と、少しでも一緒にいたい」と思うのか。
まだ、わからない。
そのとき、優先順位を迷わないように、「りょうこ」さんの考え方を思い出したい。


・努力ではどうにもならない「子育て」


もうひとつ。
たびたび登場する「子育て」への本音。


たとえば「宮崎優子」さんは、子育ては「努力ではどうにもならないことがある」と知った。

日ごろからどんなに健康に気を遣ってご飯を作っても、子どもはやっぱり風邪をひくし、入院になったら、計画していた仕事なんて全部休み。

そういう「努力ではどうにもならないこと」が、子育てだ。
そう自分が理解しておくことが、宮崎さんのマネジメントの基本だそう。



・・・わかる、わかります。
年末年始すべてを、アデノウィルスに奪われたわたしが強くうなずく。

おかあさんは、10個したいことがあっても、5個できればいいほうです。だったら、5個だけは絶対にできるようにしっかり向き合う。
(中略)
その都度、その都度、何を「一番」と選ぶか、それが言える準備をしておく。それが私にとってのマネジメントかな。

同書、p.90

宮崎さんもまた、「優先順位」。
自分にとって何が大事か、そしてそれを「自分」で決めて選ぶこと。

他の方も言っておられるのだが、この「自分で決める」という考え方こそ、「自分をご機嫌にすること」の土台にあるような気がする。


また、「藤田ゆみ」さんも、「子育ては、がんばっても乗り切れなかった」と言う経験を語っておられる。

だれにも相談できず、ずっと一人で悩んできた藤田さん。
ようやく自分の努力ではどうにもならないと気づき、人に頼っていくことを身につけられたそうだ。
  

うーん。
これはわたしも思うところあり。

「人に頼る」が苦手な私および夫。
なのに、共働きで、両実家も遠いときている。

これから仕事に復帰したとき、どこのだれにどう頼るのか。
いまから、作戦会議をしておかなければ。


・みんなおなじ、「かあさん」だった。


この本を読んで思うこと。
それは、登場する8名もわたしも、みんなおなじ「かあさん」なんだということだ。

仕事も家族構成も、何もかも境遇の違う8名。
そして、わたし。
どの「かあさん」も、家族のために家をまわし、夫や子どもと愛おしい時間を過ごそうと考え、そのために自分の生き方を考え、変えたのだ。

一田さんはそれを、「マネジメント」と称されている。一田さんは、この「マネジメント」という言葉を、こんなふうに定義している。

今ある資産=自分が持っている宝物を見極め、分析、改善、調整をしながら組み立て直し、目的のためにいちばんいい方法を考えること」

同書、冒頭より


「自分が持っている宝物」を見極める。

つまり、いい暮らしを実現するために、何かを買い足したり、お金を稼いだりするのではなく、持っているもので「どう生きるか」を考えるということだ。

その「どう生きるか」も、世間の目とか価値観とかに揺さぶられず、自分自身で「こうしよう、こうしたい」と決める。

そして、それにより「自分自身がご機嫌に」暮らす。
 

こう考えると、「暮らしのマネジメント」は、当たり前だけど難しく、できそうでできないけど、生きる上でなによりも大切な考え方のようにおもえる。
「自分を大切にする生き方」とでもいおうか。

かあさんの「暮らしマネジメント」。 

「これから、どんなふうに生きていきたいか」、「何を優先するか」を考えるときの指針として、この考えを心に留めておこう。


ちなみに、家事の工夫や料理のコツなどのちょっとしたワザもたくさん載っている。
ふつうに参考になるので、それだけ読みたい方も、ぜひお手に取ってみては。

この記事が参加している募集

家事の工夫

これからの家族のかたち

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?