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「おとなになっても、迷っていい」と励ましてくれた一冊



一田憲子さんを知ったのは、『大人になってやめたこと』という本から。


お恥ずかしながら、それまで一田憲子さんについて存じ上げなかったが、本屋で並んでいる本を眺めているとき、ふとこの一冊が何度も目に入り、訴えてきたのだ。
「あなたこの本、きっと好きよ」って。笑

何度も気にするくらいなら、買ってみよう。
そう思って購入。
ここから、一田憲子さんの考え方やくらし方、生き方にすっかりハマってしまった。


一田憲子さんは、フリーライター。
いろいろな方のおへそ(=習慣)を取り上げる「暮らしのおへそ」や、「大人になったら着たい服」をはじめ、「天然生活」など暮らしにまつわるさまざまな場所で執筆されている。
書籍もいろいろ読ませていただいたし、ブログ「外の音、内の香」も携帯のホーム画面にお気に入り済み。(無料で読めるのでおすすめです。)


1964年生まれの、60歳手前だそうだ。
でも、60歳手前にはみえない。
いきいきと若々しく、たくましい。
でも、ギラギラと派手なかんじではなく、穏やかでかわいらしい一面も。
そんなお姿がとてもすてきな方だ。



わたしが一田憲子さんを好きなわけ。
それは、おこがましくも「自分と似ている」と思ったからだ。
30代の私が、人生の大先輩であり、最前線で活躍されているかたに「似ている」ってなんやねん、とおもうが。

『大人になってやめたこと』を読んだとき、一田さんの性格や考え方がどれも自分に重なって、すごく「わかる~!」とおもったのだ。


たとえば。
この『大人になってやめたこと』は題名のとおり、一田さんが50歳を過ぎたころからやめたことがいろいろ書いてある。
そのなかの、『「わかってからやる」をやめる。』には、こんなことが。

「わかってからやる」というセオリーを一旦白紙に戻してみると、人生への向き合い方が変わってきます。「わからない」けれど一歩を踏み出すためには、いくつも道がある中で「ここ!」と一本に決めなければなりません。(中略)
当然「間違えたらどうしよう?」と不安だし、怖い。でも、ずっと「わからない」と立ち止まったままだと、永遠にわかりません。つまり、「正しいか」「間違いか」を判別する唯一の方法が、一歩を踏み出す、ということ。

一田紀子『大人になってやめたこと』、p.24-25


わたしも「わかってからやりたい」派。しっかり準備して、形から入って、なるべく失敗しないように、慎重に慎重に…。
そして、途中でこけて、「もういや~ ;  ; 」と続かなくなるタイプだ。

だから、一田さんのような大先輩でも、まだ「正解」は見つかっていなくて、不安になりながら一歩踏み出しているんだ、ということに、なんだか勇気をもらった。
「迷っていいんだ」と安心した、とでもいうのか。


ほかにも、『独り占めをやめる』では、仕事を仲間に任せるほうが、楽だし新しい世界がひらけることに気づいた一田さんのこんな言葉が。

受験戦争や就職活動などを経て、私の中には知らず知らずのうちに、「人よりいい学校に行き、いい会社に就職する」ことや、「人より先にゴールを切ること」、「人より幸せにならなくちゃ」という思いがこびりついていたのだと思います。(中略)でも、どうやらそうではないらしいと気づいたのは、ごく最近のことです。
(中略)「一人で幸せになる」より「みんなで幸せになる」方が、100倍も「幸せ度」が高くなる、ということでした。

同書、p.52

わかるなあ、と。
わたしも一人で抱え込んで、結局イライラしたり、追い込まれたりすることが多い。
でもこれって、「一人でやった方が早い!」「自分の方ができる!」という思いこみにより、自分を追い詰め、世界を狭くしているのだ。

一田さんも気づいたように、私ももっと「みんなで」を意識したほうが、ハッピーになれるかもしれない。
まずは、夫に家事をもうすこし、お願いしようかしら。笑


まだまだあるけど、あとひとつ。
それは、私が最も共感した『付き合いをやめる』
最前線で活躍されている一田さんでも、大勢の集まりは苦手だそう。

いつも、多くの友達に囲まれ、どんどん人とつながって人脈を広げ、楽しそうに過ごしている人がいます。私は不器用なので、なかなか心が開けず、さらには「隠れ頑固者」なので、どんな人とでも気が合うわけではありません。そんな自分ななんて自分勝手で頑ななんだろう…と思っていましたが、

同書、p.56


わたしも一田さんとおなじで、社交的になれず、集まりに誘われるたびに、「行きたくないな~。でも行かないとよくないかなあ…。」と、あれこれ悩む自分が嫌いだった。

でも、一田さんも「心がワクワクと動かない限りは」行かない、と決めたと書いておられて、またもや「それでいいんだ」と安心した。
もちろん、行ってみて新しい出会いに喜びをかんじることも多い。
だけど、そうではない集まりに、気のない顔で出席することはないのだ。
一田さんから、「断る勇気」をもらった気がした。



こんなふうに、「やめたこと」について読んでいると、一田さんの、真面目で頑固で、完璧主義なのに、めんどくさがりで飽き性で、影響されやすい性格が、ひしひしと伝わってくる。
読むごとに、「ああ、それって私も感じたことあるなあ」とか、「一田さんでも、そう思うことってあるんですね」とか、勝手に共感して、勝手に励まされた。


なにより、自分の親とまではいかなくとも、倍近い年齢のかたでも、こんなふうに悩んだり、迷ったりして生きているんだ・・・と、しみじみ思った。
何歳になっても、生きることに「正解」はなくて、どんなことも迷い、右往左往しながら、着実に一歩ずついくしかないんだと。

この本を読んで、「大のおとなでも、こんなふうに迷っていいんだよ」と、一田さんが背中を押してくれたような気分になれた。
頑張らなきゃ、と張りつめていた心が、すこし和らいだような。





わたしもこれから、40歳、50歳と年を重ねていく。
たぶん、まだまだ悩むことも迷うことも多いし、いやな自分の性格や考え方と向き合わないといけない日も多いだろう。

でも、一田さんのように悩みながらも、前向きに、自分らしく生きていきたいなあ、とおもう。
一田さんをみていると、歳を重ねていくことに、わくわくするのだ。


一田さんの考えや暮らしぶりは、書籍や雑誌、ブログのほかに、以前好きな動画のひとつに挙げた『北欧、暮らしの道具店』でも知ることができる。

わたしも、一田さんのご活躍を追いかけつつ、自身の暮らしや生き方を、ゆっくり見つめ、ととのえていきたい。
すてきな書籍もまだまだあるので、そちらもまた紹介したいな。

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