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2歳の娘と私。親子の絆を感じるのは、手に取ったパンだった。【子育てエッセイ】

2歳6か月のちびちーちゃん。
32歳の私。

週に1度だけ、パン屋さんでパンを買いに行っている。小麦アレルギーの弟ちびにーくんがいるから、頻繁にパンを食べることはできない。だから、週に1度だけのパンの日は私とちびちーちゃんにとって特別な日。(弟ちびにーくんは厳重体制でおにぎりを食べる)

ただ、パンを買いに行く。それだけのことなのに、私とちびちーちゃんは「親子なんだ」としみじみと実感した出来事があった。




近所のいつものパン屋さんが臨時休業だった。店内を覗き込むと、清掃業者がせっせとお掃除をしている。ちびちーちゃんに「ごめんね、今日パン屋さんはお休みみたい。」と伝えると、声を出さずにしくしくと泣き出した。よっぽどパンが食べたかったらしい。

私も私で週に1度のパンの日を楽しみにしていた。そんなわけで、パン屋さんからさほど離れていない近所のドラッグストア一へ。パン売り場一面に並んだたくさんの種類のパン。いつものパン屋さんよりもバラエティー豊富。

ドラッグストアーに到着するころにはすっかり涙が乾いたちびちーちゃんに「好きなパンを選んでいいよ」と伝えると、ちょっとだけ悩んで、それからまっすぐお目当てのパンを選んだ。


山崎製パンのスイートブール。
私が子どもの頃、大好きだったパンだ。よく母におねだりしたっけ。
ちなみにちびちーちゃんを妊娠中も何度も職場でこのパンを食べた。やたらパンが食べたくて。この甘い皮の部分が食べたくて。

ちびちーちゃんはこのパンを食べたことは一度もない。なのに、まるでこのパンを買うと最初から決めていたかのように、迷いなく、大事そうにスイートブールを手に取った。

「ママ、おなじの、たべようね」

そう言って、当たり前のように買い物カゴにふたつのスイートブールを入れた。それから、私の手をぐっと引き寄せてしゃがむように要求し、耳元で内緒話をするかのように言った。

「ママ、このぱんぱん、おいしいのよ」

あたかも食べたことがあるような口調で、だ。

私のお腹の中にいる前の記憶がぼんやりとあるちびちーちゃんのことだ。もしかしたら、お腹の中で私が何度もスイートブールを食べたことを覚えているのかもしれない。



そんな出来事があって、

ああ、私とちびちーちゃんは「親子」なんだ。

と強く思った。

見えない何かで繋がっているような、言葉にするのは難しい何か共通したものが私とちびちーちゃんの中にあるような、不思議な気持ち。仮にちびちーちゃんがどんな人混みの中にいても、きっと私はちびちーちゃんだけが浮き上がって見えるんだろうな。みたいな。

これが親子の絆というのかな。私は今、親子の絆の輪郭を感じているのかな。なんか親子の絆って、もっと、ドラマチックな出来事を通して感じるものだと思っていたよ。

でも、親子を繋ぐ絆が「パン」って、なんだか我が家らしい気もするから、今夜は旦那さんと一緒に買ってきたパンを片手に今日の出来事を語りたい。



明日もいい1日になりますように。





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