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新潟県津南市の縄文体験実習館、なじょもん訪問! ~原始布の縄文探訪~

先日、新潟県の津南町にある縄文の体験実習館・なじょもんに行ってきました。なじょもんには、津南町で発掘された火焔型土器をはじめ、数多くの土器が展示されています。もちろん入館料は無料。
こちらでは、数千年前の火焔式土器を近くで見れると聞き、以前から行ってみたいと思っていました。

・なじょもんの紹介

「なじょもん」は、津南町の「なじょも」という方言と「縄文」を組み合わせた造語。「なじょも」は「どうぞ」「どうか」という意味の方言で、愛称には「なじょも来てくんねかい(どうぞ、どうぞ来てください)」という意味も込められているそうです。

なじょもんの外観です。とても立派! おトイレもきれいでした。
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燃えさかる炎をかたどったような、独特のフォルムが魅力的な火焔式土器。
こちらは、なじょもんの手前にある農産物直売所の駐車場にあった、火焔式土器のレプリカです。

・火焔式土器は信濃川流域でおもに見つかっている?!~なじょもんの縄文ムラ~

「火焰型土器」は秋田、福島、長野、富山、群馬、栃木の各県でも見つかっていますが、火焰型土器の出土は新潟が最多なんだそうです。
火焔式土器は、新潟県を流れる信濃川流域で見つかっています。おもに信濃川上・中流域周辺の、津南町から三条市で集中して見つかっているとか?!火焔式土器があったということは、古代、このあたりに縄文のクニがあったということ。新潟県は日本で一番、神社が多い県ですが、火焔式土器の出土数も日本一なんですね。

なじょもんの外にある、縄文ムラです。竪穴住居7棟を復元しています。
ほかにも、縄文時代の大切な食物だった、モチキビ・モチアワなどを栽培しており、なじょもんの売店で売っていました。
周辺の縄文遺跡の案内板もありました。
ナウマンゾウをかたどってつくられたのかな?
縄文ムラは広く、天気も良かったので良い散歩になりました。
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なじょもんのすぐ裏は、信濃川(しなのがわ)です。

古代から川は人間が住む大切な場所。川の水は飲料水であり、作物を作るにも欠かせません。そして川は荷物を運ぶ流通の道でもありました。
今から約5000年前に栄えた信濃川流域の、火焔式土器をつくった縄文人たち・・。どんな暮らしをしていたのでしょうか?

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こちらは、近くの「沖の原遺跡」で出土した、出土品です。

なじょもんの外では、考古学の研究者らしき人たちが、近くの、沖の原遺跡から発掘された出土品を、水で洗っていました。沖の原遺跡は、約5000年前の縄文遺跡です。

なじょもんの館内では、約3000年前くらいの火焔式土器が展示されていました。ただ館内は少し薄暗く、カメラのフラッシュがNGだったこともあり、うまく写真が取れず断念。
火焔式土器はガラスケースに入っておらず、至近距離で見ることができました。残念ながら、直接、土器にさわるのはNGなので、鼻を近づけて、火焔式土器の匂いを嗅いでみましたが、ほぼ無臭・・。かすかに土の匂いがしたような??
でも土の匂いは、数千年前も、現代も同じ匂いなんですね・・。何だか不思議な感じでした。

・なじょもんの売店で売っている幻の古代布、アンギン!約5000年前の縄文衣服の源流?!

そして何より面白かったのが、なじょもんの売店! 縄文時代から栽培されていた植物のアンギン(編布)をはじめ、縄文ゆかりの商品がいろいろあります。アンギンは苧麻(ちょま)や、カラムシと呼ばれる、現代の衣服の源流。編布(あんぎん)という漢字で表され、自然植物から採取した繊維をもとに、縄文時代から日本にあった技法で紡がれた布をさします。別名、カラムシです。
広辞苑によれば、カラムシの「むし」は朝鮮語 mosi(苧)の転か、あるいはアイヌ語 mose(蕁麻)から、来ているとされています。
アンギンは、日本では約5000年前から栽培されている、幻の古代布で、現在も新潟や東北で栽培されています。


縄文体験実習館の「なじょもん」では、アイヌ刺繍や、アイヌの花ゴザ編みの教室も開かれているとか?! アイヌと関わりのない土地で、アイヌ文化が継承されたとは考えにくいので、古代、この地域にアイヌの人たちがいた可能性が高いです。
ほかにも、勾玉づくりや、あんぎん編の教室も開かれているので、近所だったら、私も参加したいです!

〈農と縄文の体験実習館 なじょもん〉
〒949-8201 新潟県中魚沼郡津南町大字下船渡乙
  
    

・なじょもんの売店で販売されている幻の古代布、アンギン!

なじょもんの売店では、縄文ゆかりの商品がたくさん!特に目をひいたのが、縄文からの布、アンギンです。
地元の「ならんごし会」という、アンギン編の保存活動をしているお姉さまたちが、縄文時代と同じ材料で、縄文と同じ織り方で、心をこめてつくっています。

売店で売っていた、アンギンの手作りしおり。
しおりの青い部分も、藍を手染めした、アンギンです。
アンギンのの繊維です。縄文の人たちは、これを手で裂いて、糸にし、紡いで布にしました。
商品のうしろ側には、あんぎんの説明がありました。
アンギン編をして、藍染でそめたもの。
古代より、藍染は魔除けであり、虫よけの効果もありました。
今でも衣服ケースに藍染の布を入れると、防虫になるそうです。

約5000年前、縄文のクニがあった信濃川流域で栽培されたアンギンという植物。それを縄文時代から伝わる手編みのやり方で紡いた、幻の布の原型。いわばアンギンは原始布の一つ。
そしてアンギン編は縄文からの編み方ですが、この地域では明治時代まで日常的に使用されていました。いわばアンギン編は、縄文由来でありながら、かなり実用的なもののようです。

こちらの売店は、縄文ファンにとって、とても興味深かったです。
ちなみに上記の商品すべて購入しました。新潟は遠くてなかなか行けないので、たまに購入した商品を自宅で眺めて、縄文に思いをはせたりしています。


下記は、なじょもんのアンギンについての、ことりっぷの特集です。なじょもんの売店で売っている、アンギン商品。それらを手作りしている、地元の「ならんごしの会」について詳しく書かれています。
ものすごく手間暇をかけて、縄文からの織り方でつくっているそうです。

https://co-trip.jp/article/9472/

ただ、なじょもんは、展示している火焔式土器の数は少ないので、もっと火焔式土器を見たい場合は、十日市の馬高縄文館か、十日市博物館がおすすめです。
十日市博物館は「縄文を世界に!」がモットーに、常設展だけでなく、特別展でも縄文時代の出土品を展示しているようです。
私が行った際は、日本中の土偶を一同に集めた、土偶の企画展示でした。
新潟はほかにもたくさん、縄文ゆかりの場所があるので、また行ってみたいです。


こちらは以前、十日市博物館で開催された、全国の土偶特別展。
そこで展示されていた、長野県茅野(ちの)市出土の仮面のビーナスです。
なぜ仮面なのか?縄文の謎は深まるばかりです。

本だけでなく、実際に現地に行ったりして調べていますが、わからないことが多いです。だからこそ魅かれる縄文ミステリー!縄文の謎解きははじまったばかりです。(*ᴗˬᴗ)⁾⁾💕ペコリン