ルフィ名言特別編Vol.96「まったく!!!!いい人生だった!!!!(ヒルルク)」
物語と名言
人はいつ死ぬか?
ヒルルクは、
「人に忘れられた時さ・・・!!!」
と自身の問いに答える。
続けて、
「おれが消えても おれの夢はかなう
病んだ国民の心も きっと救えるさ・・・!!」
と、手酌で飲み物を注ぎながら言う。
ドルトンは、涙を流しながらヒルルクに問う。
「・・・国も・・・同じだろうか・・・」
「"受け継ぐ者"がいりゃあな・・・」
ヒルルクは告げる。
「もうすぐここにバケモノがやって来る
おれの息子だ 手を出すな」
と。
そして、心の中でチョッパーに向けて伝わることのないメッセージを残す。
"安心しろよチョッパー
お前のキノコじゃ・・・おれは死なねェ"
そして、盃を高らかに掲げ、言い放った今回の名セリフ。
「まったく!!!!いい人生だった!!!!」
出典:ONE PIECE/尾田栄一郎 集英社
ヒルルクは、笑顔で飲み干し、人知れず、Dr.くれはも「あばよヤブ医者」と弔う。
そして、
"ありがとうよ
チョッパー"
と思い残し、大爆発が起きた。
ちょうど駆けつけたチョッパーの足下に、飛んできたヒルルクの帽子が落ちる。
ヒルルクは、爆発と共に、命を散らせたのだった。
名言の意味
ついにこの名言を取り上げる時がきました。
今回は、ほぼ2ページ分の内容をそのまま描くことになってしまいましたが、余計な言葉は野暮というものです。それほどまでに、この2ページは、深い内容だということです。
このセリフは、『ONE PIECE』を代表する名言でもあり、私にとってもトップ3に入るほど好きな名セリフでもあります。
この「ルフィ名言シリーズ」を始めて、ルフィの名言ではなくても、いずれ辿り着くであろうシーンの一つだと思っていましたが、Vol.96までかかりました。
この名言だけで十分過ぎるとは思いますが、二つ、神アニメ研究家として、書き残しておきたいことがあります。
受け継ぐ者がいれば、夢を叶えることはできる
ドルトンの質問に対し、"受け継ぐ者"がいれば夢を叶えることはできるし、人の心を救うこともできると答えました。この"受け継ぐ者"がいることが、とても大事だということです。ヒルルクは、30年研究し続けてやっと完成したのに、その夢を見届けることはできませんでした。でも、チョッパーという"受け継ぐ者"がいたことで、夢を託すことができ、安心して死を受け入れることができました。
かの板垣退助の言葉に、「板垣死すとも自由は死せず」とありますが、ヒルルクは、体は死んでも、意志は受け継がれ、死ぬことはない。チョッパーの中で、生き続けることを実感していたんだと思います。
ヒルルクにとって、「生きる」こととは、生まれて死ぬまでのことではなく、夢や使命と言ってもいいですが、「意志」そのものではないかと思います。または、形を成した「エネルギー」そのものと言えるのではないでしょうか。
だからこそ、自分が死んでしまっても、"受け継ぐ者"さえいれば、その意志やエネルギーが死ぬことはなく、いずれ自分ではなくても誰かの手によって実現する。その本質を、ヒルルクは分かっていたと思います。それは、自分自身が不治の病が治った経験をしたものの、それから30年後、死期が迫った今だったからこそ、分かったんだと思います。
人間誰しも、自分の手で夢や理想を実現したいものです。でも、限りある命ゆえに、叶わないかも知れません。でも、受け継ぐ者に託すことができれば、きっと「死」の恐怖はないんだろうと思います。そしてそれは、「死」を恐れたり嘆くのではなく、受け入れて向き合ってこそ、託すことができたんだと思います。
ありがとうと言い残して死ねること
ヒルルクの死ぬ間際の心の声は、「ありがとうよ チョッパー」でした。チョッパーへの感謝だったのです。そう思えたからこそ、桜を咲かせることができなくても、見届けることはできなくても、強がりでもなく、本音の言葉として、「まったく!!!!いい人生だった!!!!」と言えたんだと思います。
表面的には、ヒルルクはチョッパーが命がけで採ってきた毒キノコのスープによって、死期が早まることになりました。でも、「おれは決して、お前を撃たねェ!!」と真っ裸になって受け止めたチョッパーに対して、自分の死期が近かったことで、「許せ チョッパー・・・!!」と、チョッパーに向けて発砲して追い出しました。それでもチョッパーは、ヒルルクの病気を治す為に、命を懸けて万能薬だと思った"アミウダケ"を採って戻ってきました。それで、ヒルルクは、チョッパーの中で生き続けることができると確信したのでしょう。だからこそ、躊躇なく毒キノコのスープを飲めたんだと思います。
自分の為に命を懸けてくれた、"受け継ぐ者"のチョッパーに出会えたこと。チョッパーのおかげで、自分は忘れられることなく、チョッパーの中で生き続けることができるからこそ、
「ありがとうよ チョッパー」
と思い残すことができたんだと思います。
そのヒルルクの思いを、チョッパーは知ることはできませんが、それでいいんだと思います。チョッパーがヒルルクのことを忘れず、ヒルルクの意志を宿していたのなら、言わなくたってしっかりと受け取っているはずです。
思っていた以上に熱が入ってしまいましたが、語ろうと思えばもっと語れます(笑)
ヒルルクは死の間際、真の道楽家になったと思っています。道楽家になった今、以前よりもヒルルクのことが好きになりました。私もヒルルクのように、例え望まない死の前であっても、
「まったく!!!!いい人生だった!!!!」
と笑顔で言いたいものです。そして、
とも言いたいものですね(^^)
今回のコラムが、『ONE PIECE』ファンはもちろん、知らない方、読んだことがない方にも何かが残れば、きっとあなたの中で、ヒルルクは生き続けていくことでしょう。
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