ルフィ名言特別編Vol.91「許せ チョッパー・・・!!!(Dr.ヒルルク)」
物語と名言
「この国は今病気なんだ」
国について、憂うドルトンと、王の支配を肯定する幹部の会話の裏で、Dr.ヒルルクはチョッパーにそう語っていた。お互い追われる身同士と皮肉りながら、
「恨むなよ、人間を」
と言う。国民も王も政府もそう。人の子ことは今病んでいる。
Dr.ヒルルクがやろうとしていることは、医者として国を救うということだった。
ヒルルクは語る。
遠い西の国に一人の大泥棒がいた。しかし、"不治の病"にかかっていて、誰一人治すことができないほど重い病を心臓に抱えていた。
死の宣告をされ、苛立ち荒れるその男は、通りかかったある山で、見たこともない息をのむ程美しい風景を見た。それが
「桜」
だった。山いっぱいの鮮やかな桜を見た。その感動によって、病は治るという奇跡が起こったのだ。
この世に治せない病気はない。誰がなんと言おうとも、医者としてこの国を救う。だから、ヒルルクは、全ての病気に『ドクロ』を掲げた。
ドクロの旗は、"信念の象徴"。この旗を掲げ、海賊のように戦うと。そして、いつか海に出ろとチョッパーに言う。お前の悩みがいかに小せェか。この島がどれだけ小さいか。
Dr.ヒルルクの治療に付き添うチョッパー。そこで、ドラム王国公認の医者、イッシー20が、万病に効くと言われるキノコを探しに行ったとの話を聞く。
ヤブ医者っぷりは相変わらず追われ続け、守備隊に追われた時に、傷だらけのチョッパーを囮にヒルルクが逃げると、家で大喧嘩をする。
「おれ ケンカしたの初めてだ・・・」
そう言うチョッパーにヒルルクは
「・・・そうだろうな。相手が必要だ。・・・
じゃ、こう言うのも初めてだろ・・・
プレゼントと・・・仲直り・・・」
と、帽子を投げ渡す。初めてのケンカと仲直りを経験し、初めてのプレゼントをもらったチョッパーはまた泣きそうになると、「ヘッポコトナカイ」と馬鹿にすると、また大げんか。
それから、人に追われ、実験に失敗し、一年の月日を過ごして二人の絆は深まっていく。
そこでヒルルクは、
「じゃ・・・達者でな・・・。退院おめでとう」
と背中越しに言う。戸惑うチョッパーだったが、
「おめェはこれから好きに生きるといい。さァ出てけ。おれァ研究で忙しいんだ」
とチョッパを追い出す。
追い出されたチョッパーは、涙ながらに訴える。
「おれ友達なんかいないし!!!行くとこないんだよ!!!ドクター!!!
ドクター!!!
ドクター!!!」
すると、「ドシーーン!!」と言う音がして、「チョッパー・・・!!」と扉を開けると、
「見てドクター!!!ケガした」
と、血を流しながら笑顔で言うチョッパーに向けて、ヒルルクは発砲する。
「・・・・・・どうして?ドクター・・・・・・!!!!」
頬をかすめて血と涙を流すチョッパーに対して、ヒルルクは更に発砲する。
「いけ!!!海へでも何処へでも!!!
二度とここへ帰ってくるな!!!」
泣き叫びながら走り去るチョッパーの姿を見送り、泣きながら言うヒルルクの今回の名セリフ。
「許せ チョッパー・・・・・・!!!」
名言の意味
個人的に、『ONE PIECE』の中でもトップ5に入る好きなシーンで、好きな名セリフです。この台詞の裏には、Vol.89「おれは決して、お前を撃たねェ!!!!」という名セリフの対照となるものです。
トナカイからも人間からも追い出されたチョッパーに対し、雪の中真っ裸になって「おれは決して、お前を撃たねェ!!!!」と言ったのに、怪我も完治したチョッパーに対し、ヒルルクはチョッパーを撃ちました。唯一信頼していた人から撃たれたチョッパーの気持ちと、そうまでして追い出したヒルルクの気持ちを察すると、涙を禁じえません。
今回は、いつものように余計なことは言いません(笑)
むしろ、それは野暮だと言える、それほどまでにこの言葉は、ヒルルクとチョッパーの思いを、切なくも儚く表現しています。そして、この後に訪れる悲劇と別れがより感傷的なものになるのです。
後からでないとわからないこともある
と言いつつ一つだけ(笑)
この時のチョッパーには、ヒルルクの真意はわからなかったでしょう。しかし、人生には、往々にしてそう言う時があるものです。その時にはわからないことでも、後から真意に気付くことが必要です。後のストーリーに関わることなので、敢えてここでは言及しませんが、物事には、その時には理解できないことも、受け入れられないこともあります。しかし、そういう出来事こそ、いつか向き合った時に、予想だにしない真意が隠されているものです。それが「愛」だったり、自分の人生を大きく変えるようなものだったりします。
大切な人との嫌な思い出ほど、向き合うことが必要なのかもしれませんね。
画像出典:ONE PIECE/尾田栄一郎 集英社
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