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トラブルの多いトラベラー、熊本市電と熊本電鉄をくまなく乗り潰す

トラブル巻き込まれ体質の限界旅行民が九州へ初上陸した旅行記その3。前回は大分と別府を観光した後に豊肥本線を鈍行列車で横断し、熊本駅に着いたところまでを書いた。

今回はその続きで熊本市内の観光からスタート。熊本には路面電車の熊本市電のほかに郊外へ伸びる私鉄の熊本電鉄も走っており、地方都市としてはそれなりに充実した鉄道網を有している。今回はそれらの路線をくまなく乗り潰すことに挑戦。

市電乗りつぶし

JR の熊本駅はそれなりに規模の大きな駅だが、周辺は「綺麗に整備された玄関口」といった感じで人通りはあまり多くない。歴史的な旧市街から見れば国鉄の駅がかなり街外れに設置される典型パターンだ。現代においても発展している繁華街は熊本城と白川に挟まれたエリアとなっており、熊本駅からアクセスするには市電やバスを使わないと苦しい距離だ。

さっそく市電の1日乗車券を購入し乗りつぶし開始……といきたいところだが、熊本駅前の電停は終点ではないためここから中心部へ向かってしまうと乗りつぶし的には非効率。そんなわけで2電停歩いて終点の田崎橋へ。

中心部の通町筋で一旦下車。少し周囲をぶらぶらしてから熊本城へ向かう。

熊本城観光

というわけでさっそく入城……といきたかったのだが、Google マップの案内に騙されてだいぶ時間をロスしてしまった。熊本駅から熊本城までのルートを検索すると東側からぐるっと周っていく道を案内されるのだが、これは完全に間違っていた。正解は南側の行幸橋を渡って行幸坂を登っていくルートだ。正直これは修正してほしい……。

そんなこんなで最終入園ギリギリの時間に滑り込むことに。城巡り RTA スタート!!まずは天守閣を正面から撮影。

大急ぎで天守閣を上り、市街を展望。

背の高い建物も多いが、城自体が高い位置に建てられているため景色はけっこう良い。

その後は内部の展示を全部見る実績解除ゲーム。文字を読んでいる時間がなかったので、とりあえず片っ端から写真に収めて完走した。

天守閣以外の建物に目を向けると、震災の爪痕が大きく残っているものも。2016 年の熊本地震からだいぶ時は経っているものの、復旧はまだ道半ばという感じだ。

ところで、熊本城の入園料金はそれなりの観光地価格だが、市電の1日乗車券があると団体料金(2割引)になるという特典がある。市電での移動が多い旅程を組む場合はぜひ活用したいところだ。

私ももちろん割引を利用した……はずなのだが、受付のおじいちゃんがよく理解していなかったのか正規料金を取られてしまった。しかもキャッシュレスだったので宿に戻ってレシート確認してから気づくという悲劇。翌日になってから一応連絡してみたものの、日をまたぐと返金もできないらしい。なんてこったい\(^o^)/

キャッシュレス決済だからこそ、レシートはちゃんとその場で確認しないといかんな……。まあ私が余分に払ったお金は石垣の復旧作業に充ててくれ。

市電乗りつぶし再開

そんなこんなで再び市電に乗って最東端の健軍町へ。市の中心部からはやや離れているものの、電停周辺はけっこう栄えており驚いた。夕方のラッシュ時間帯では上下線どちらの方向も各電停でそれなりの乗降があり、市民の足として広く使われているようだ。

ちなみに沿線の熊本県庁にはルフィ像がある。ルフィ以外の像も県内各所に散らばっているらしいのでワンピースファンは聖地巡礼してみると面白いかもしれない。

健軍町から再び中心部の方へ戻り、本日の乗り鉄活動は終了。市電は熊本駅方面の A 系統以外に上熊本方面の B 系統があり、こちらは旅程の都合で翌日にまわすことにした。

公式サイトよりキャプチャ

市内散策

というわけで中心部をぶらぶら。前々回の宮崎では地方都市の割には栄えている印象を受けたが、繁華街の規模・人の多さ共に熊本の方が圧倒的に格上な感じだ。九州におけるヒエラルキーがひしひしと感じられる。

城下町ということで繁華街もキレイな碁盤の目になっており、中には屋根瓦の付いた面白い電話ボックスもあった。

個人的にビビッときたのがこの建物。わちゃわちゃと突き出す袖看板と無骨な室外機、そして経年劣化で汚れた壁と窓、なかなかの高得点である。

繁華街のすぐ近くにはサクラマチクマモトというショッピングモールもある。伝統的なアーケード商店街と近代的なショッピングモールが隣接しているのはなかなか面白い光景。

翌日

で、翌日。まずは熊電の撮影を行うため、撮影スポットまでバスで移動する。前述したサクラマチクマモトにはバスターミナルが併設されており、熊本市内の各所へ向かう路線の結束点となっている。

……が、桜町バスターミナルから乗車するのは完全に失敗だった。というのもこのバスターミナル、土地勘が全く無い旅行客向けに作られているわけではないため、Google マップで案内されたバスの乗り口へたどり着く難易度が非常に高いのだ。Google マップではバスターミナルの何番乗り口へ行けばよいのかは案内されず、各バスの系統番号が最初に示されているものの最終的な行き先が一目ではわからない表示になっている。

一方でバスターミナルは「〇〇方面の乗り口は△△番」といった案内で、系統番号はその乗り口まで行かないと確認できない設計になっている。

そんなわけで、Google マップで案内されたバスの行き先を確認バスターミナルの何番乗り口かを探し出す(この作業がけっこう大変)→乗り口へ行って系統番号を照合する……というとんでもなく手間のかかる作業を強いられた。Google マップの案内・バスターミナルの表示ともにユーザー体験として非常にイケてないのでどうにか改善してほしいところだ。

利用者側の対策としては、単にバスターミナルを利用せず途中のバス停で乗車すれば良い話である。とはいえ無数のバスがぞろぞろと集結している様子はけっこう面白いので、自信がある方はぜひ挑戦してみてほしい。

ちなみにバスターミナル付近は路面電車も走っているため、わちゃわちゃ発着するバスと路面電車の共演が見られる。なかなかアツい光景だ。

バスターミナル内で迷子になっていたため、想定よりもだいぶ遅い時間に目的のバス停に到着。ここから撮影スポットへ歩いていくが、すでに踏切がなっている……。あっ。

元都営地下鉄の 6000 形。それにしても左右に住宅の迫ったすごく狭い場所を通過していくな。

撮り鉄活動

で、ようやく撮影スポットに到着。熊電の併用軌道区間だ。

次にやってきたのは元東京メトロの 03 形

路面電車のノリで一般規格の車両が通過するのは不思議な光景だ。

並走する軽自動車と比較するとサイズ感の違いがよくわかる。

折り返し列車。基本は終点の御代志まで直通するが、朝の1本だけは北熊本で折り返す運用になっているようだ。

できれば 6000 形のようなゴツい車両が通過するのを見たいが……。

藤崎宮前からの折り返しを見送り、さらに別の便を待つ……が、またしても 03 形!しかし併用軌道ならではの良い写真が撮れた。

時間的に余裕がないため今回はこれで撤退。

市電乗りつぶし再び再開

宿をチェックアウトして荷物を預けた後、前日に残していた B 系統の乗りつぶしに向かう。

上熊本行きに乗車。

B 系統は A 系統や2系統合流後の路線と比べると幅の狭い道路を通り、ごく一部ではあるが専用軌道もあるなど車窓が変化に富んでおり面白い。あっという間に上熊本に到着。

電停を出るとすぐに JR の上熊本駅に接続する。

……が、JR は華麗にスルー。向かったのは熊電の上熊本駅だ。JR に比べてなんともローカルな駅である。

やってきたのは 01 形。銀座線の現行車両である 1000 系の真っ黄色車体にくまモンという派手なラッピングをしている。

熊電乗りつぶし

というわけで上熊本から熊電の乗りつぶしスタート。上熊本方面の列車は北熊本とのシャトル運用がメインで、基本的に北熊本で藤崎宮前方面、御代志方面の列車に接続する。

ちなみに北熊本には車庫も併設されており、引退した列車の博物館状態となっている。

静鉄の車両って熊電に譲渡されていたのか……知らなかった。

御代志行きの列車が到着。

で、サクッと御代志まで往復。ちょこちょこ乗降があるものの車内は空いており、ゆったりと走る様子がまさしく地方私鉄という感じ。終点の御代志は絶賛改良工事中のようで、広いバスロータリーと開発中の空き地が広がっていた。

そして気になるのが、先ほど撮影していた藤崎宮前方面の併用軌道。車内からはこんな感じで民家の門前を通り抜けていく。

うわあああスレスレすぎる!地元民にとっては日常的な光景になっているから何とも思わないのだろうが、部外者としてはなかなかの恐怖。

古びた自販機と郵便ポストの眼前を通過。エモい。

そんなこんなで藤崎宮前に到着し、無事に熊電の全線完乗を達成。藤崎宮前は繁華街の北の外れに位置しており、中心部までは少しだけ歩く必要がある。市電縮小前はここまで路線が通っていたらしいのだが……。

熊本駅へ向かう

中心部に戻ってからはお昼を済ませ、荷物をピックアップしに宿へ立ち寄る……のだが、なぜか入口の自動ドアがうんともすんとも言わない。荷物は 13 時頃に取りに来ると伝えていたはずだが、忘れてお昼休みでも取っているのだろうか。

熊本駅を出る便の発車時刻もせまる中どうしようかと右往左往していると、中からスタッフさんの気配を察知。カウンター側の窓ガラスをノックしたところ気づいてもらえたようで、どうにか荷物を回収することができた。いやあ危なかったな……スタッフさん窓際にいなかったら詰んでたかも

しかし危機が去ったかと言うとそうでもない。時間がだいぶ押しており、熊本駅でうまく接続する路面電車にはタッチの差で間に合わない状況だ。「いやいや、なんでそんな限界旅行してるのよ」と思うかもしれないが、実は宿に戻る前に Google マップで工事中の橋を案内され、迂回するのに余分な時間がかかったという背景がある。マジで熊本来てから Google マップがメンヘラすぎる。

しかし今回は Google マップに助けられた。熊本駅までのルートを再検索したところ、路面電車の3分後に至近のバス停を出るバスがあり、これなら間に合うとのことだ。この状況で定時性に欠けるバスに乗るのはリスキーな選択肢だったが、もし市電が先に見えたら電停にダッシュすれば良いだろうという発想で押し切った。

で、結果的にはバスの方が定時通りに到着。市電と同じルートを通るが乗降客が全然おらず、バス停を次々にすっ飛ばして行った

一方で、すれ違う路面電車を見るとけっこうな乗車がある。一般的にはバスの方が路面電車よりも加減速の性能に優れるため、同じルートを通る場合はバスの方が有利だ。このバスは桜町バスターミナルに寄り道したにも関わらず、熊本駅直前の電停で私が乗り損ねた便を捉えた

コーナーで追い抜いて……

先に熊本駅バス停へゴールイン!路面電車もギリギリ追いついてきたが、最後の青信号に間に合わずバスがゴールするのをただ間近で眺める形となった

しかしこうなってくると路面電車の存在意義が危ぶまれる気がするな……。モータリゼーションの進展によって全国各地で路面電車が縮小されたというのも納得がいく。ただ熊本では路面電車がそれなりの乗客を運んでいるのに対してバスはスカスカだったため、何か路面電車を利用するインセンティブがあるのだろう。

そんなこんなで無事に熊本駅に到着したところでけっこうな分量になってきたため今回はここで終わりとしたい。それにしても今回の熊本滞在は史上最大のトラブル回数だった……なんでこんなに巻き込まれるのだろうか。

といったところで今回はここまで。次回は福岡観光について取り扱う。

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