『藁にもすがる獣たち』

タイトルからしてヤバそうな雰囲気が漂う韓国映画『藁にもすがる獣たち』。見てみると、切羽詰った4人の男女の間で大金が詰まっているバッグが巧妙に入り乱れ、思い切ったアクションや手に汗握る逃走劇などスリリングな展開のクライム・サスペンスに仕上がっている!

 

 

大金を巡るオフビートな人間模様と交差や、そこでいきなり起こる惨劇など、まるで『ブラッド・シンプル』や『ファーゴ』といったコーエン兄弟の作品のような展開だが、どうやら原作の曽根圭介がコーエン兄弟の作品をモデルにして作った原作らしく、それが見事に新鋭のキム・ヨンフンの手によって映画化されたのが本作である。

 

危険な策ばかり思いつく飲食店の女経営者、その女経営者の借金を抱えてしまった出国審査官、ホテルのサウナでバイトをするボンクラ、夫のDVに苦しむホステスにそのホステスに惚れ危険な作戦を企てる不法滞在者、凶暴な金貸しに見るからにヤバそうな金貸しの用心棒、他人にタカる図々しい刑事など、出てくる登場人物のほとんどがろくでなしや危険人物で、そんかろくでなし共がWWEの時間差バトルロイヤル「ロイヤルランブル」のように入り乱れ、惨劇が起き、文字通りのサバイバルを展開する。

 

まさしく、藁にもすがるように借金で追い詰められた男女があの手この手の策や嘘で切り抜ける。その嘘やヤバい策が生み出すスリリングさが心地よく、切羽詰まった人間を見事に描いている。その合間に『ノー・カントリー』のアントン・シガーのようなおかしなおかっぱ頭&入れ墨だらけの見るからにヤバそうな男がろくでなしを追い詰める。

それと、どことは言えないが時系列をずらした巧妙な脚本になっていて、そこの面白さも見事である。

 

 

金に纏わる切羽詰まったクライム・サスペンスは万国共通なので、日本版でもアメリカ版でもアレンジできそうたが、不思議と韓国映画らしく見えるクライム・サスペンスの傑作。コーエン兄弟meetsパク・チャヌクと言いたい。ヤバい韓国映画が好きな人は絶対必見!

 

 

評価:★★★★★

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