Day21「ガバメントクラウドの課題感を俯瞰する」 @ ガバメントクラウドについて考えるAdvent Calendar 2022
この記事は、ガバメントクラウドについて考える Advent Calendar 2022のDay21「ガバメントクラウドの課題感を俯瞰する」となります。
※こちらの記事は基本的には公開情報を元にしていますが、個人的な妄想・意見も含まれておりますので、ご承知おきください。
このAdvent Calendarは、日々活動している中で課題として感じることなどをどこかで整理しなくてはいけないと思っていて、ちょうど良いタイミングだったので、全日自分が思うところを書くというスタイルにチャレンジして、どこまで続けられるかやってみたいと思います。
https://adventar.org/calendars/8293
以前、以下のツイートに多くのことをまとめてみたのですが、改めて整理していきます。
ガバメントクラウドの課題感を俯瞰する
ここまで20回に渡ってガバメントクラウドの課題感についてつらつら述べてきました。ここからは元々設定していたテーマとは異なる形で残り5回を示させていただこうと思います。まずはここまで整理してきた課題感をまとめさせていただく回とさせていただきます。
※全ての日付に課題感をセットしているわけではなく、技術の紹介をしているものや他の日に統合できるものはしていますので、歯抜けになっている日付があります。
Day1「ガバメントクラウドの仕様要件考察」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n052aa2d966a1
クラウドの選択肢が限定的
クラウドネイティブ化の手法に制約が掛かっている
国内クラウド事業者がほぼIaaSベース
ガバメントクラウドの適用範囲が不明確(ISMAPとの棲み分け)
Day2「ガバメントクラウドの中間報告を振り返る」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/nc061f3184645
単純リフトではトータルコストが上がる
マイナンバー系として1つだったものが、20業務とそれ以外で分割されるのでネットワークと運用が追加で必要になるのは当然
移行過渡期のこのような一時的コスト増を許容せずに、コスト削減をセットしてしまうので目的が曖昧になる
運用コスト3割削減を投資に当てるならトータルコスト削減が必要
2025年度までのクラウドネイティブ化に対するモチベーションと実現及び制御可否
既存システムが共同利用等により効率化されているため、ガバメントクラウドへの移行効果が限定的
Day6「海外のクラウド利用動向」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n8b7209c19603
米国は既にクラウドファーストの課題感を解決するクラウドスマートへ2019年時点で方針転換
ニーズや制約に合わせたプライベート・パブリック・ハイブリッドクラウドの使い分けが中心(クラウドは単一でなく、これらをまとめてクラウドと呼ぶ)で、使い分けの判断をする人材へ投資
Day7「経済安全保障と主権」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n69ec0dc06f05
主権に関する考え方はあれど、自国及び国際法の範疇と捉えるか、それを越えたものとして捉えるかについて、運営を握っているクラウドへの考え方の整理が必要
機密データ・重要システムとクラウドのマッピングが求められるが、日本にはないので、判断が分かれてしまう
これを関係各府省及び自治体に委ねるのでは荷が重すぎる
Day9「標準化アプリケーションの価格感予想」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/nb20a7f0296e0
2025年度までにアプリケーション利用料が安くなる・安くする理由がない
Day10「コスト合理性とは?トータルコスト費用感と算出項目の整理」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n9142e8e0ba21
ガバメントクラウド費用の自治体持ちが濃厚なため、真の費用比較が求められ、コストが上がることがそう簡単に許されない
20業務とそれ以外を合わせて運用設計することの大変さ、クラウド利用に対する障害対応・原因分析の今までの考え方を見直すなど、それによって生じるトータルコスト比較をするための項目が明確でない
Day11「セキュリティ合理性とは?」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/ndc98ac946618
クラウドはセキュリティ全体の一部でしかない
どう全体でセキュリティを担保するかの考え方必要
Day12「為替レート問題」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n0ed8f34d6a56
為替リスクを2年前から見込む必要がある
共同利用の場合、自治体間の費用計算手法をどうするか
Day13「補助金の扱いがどうなるか」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/ndd2d2759bf66
プライベートクラウドとオンプレミスの定義がないため、補助金の受給可否が不明瞭で、ベンダー側も迂闊に提案ができない
クラウドの定義として求められるものが、基幹系のシステムで本当に必要なのかということに対して、オンプレミスが補助金受給対象外であることがリンクしていないように見える
Day14「LGWANとマイナンバーのネットワーク共有の可否について考察」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n8d32b221d8e4
ガバメントクラウドへのネットワーク接続要件や住基ネット・LGWANとの非効率通信の整理が明確になっていない
Day15「共同利用方式と単独利用方式の課題感」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n5da257e202e0
20業務とそれ以外の2箇所を統合して運用する必要があるか(今までは業務ごとに個別に構築運用していたケースもあると思われるため)
データ連携目的が定められていないので、どうやってネットワーク観点の整合性が保たれるのかが明確でない
Day17「クラウド運用になると変わること(メンテナンス編)」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/nd1b63406ce99
運用項目と考え方を必要があるだけでなく、20業務と20業務以外でそれらの併用の必要があることに留意する必要がある
Day18「統合運用業者が何を求められて何をしなければならないか」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n852250683ec3
今まで1箇所だったマイナンバー系システムをどう分担するのか、統合運用するのかを考える必要がある
運用コスト3割削減においてはネットワークと運用面においては、さがるどころか上がる要素しかない
Day19「移行にまつわる課題感(ネットワーク、データなど)」の課題感
https://note.com/jn_vmware/n/n33a8ecfeaa9c
ネットワークとデータの移行については、既存環境をどれだけ再設計されてしまうかが鍵
これらの再設計・移行を1700自治体で一斉にやって間に合うか、リスクを最小化する質を高められるか、もしものときの対応に困らないか
まとめ
ここまで課題感を端的に整理すると上記のようになります。これはこれらの取り組みをゼロベースで考え直すべきか、これを前提としてどのようにするべきかを考えるかによって、アプローチ方法が異なるので、解決策を提示するのは非常に難しいところです。
これらに対する解決策となりそうなものを残りの4回ではまとめていきたいと思います(宣伝含む)。
プライベートクラウドの高度化最新トレンド
VMware Cloudによる解決策案
クラウド選択指針(クラウドスマート指針)をどう立てれば良いか
ガバメントクラウドと標準化のあるべき姿を妄想してみる
執筆後記
このようにガバメントクラウドを考えるAdvent Calendar 2022では、以下の流れで進んでいくことになると思いますので、Day20以降もお待ちいただければと思います。
ガバメントクラウドの在り方
ガバメントクラウドの整備における課題感
ガバメントクラウドの利用における課題感
ガバメントクラウドの今後について考えてみる
Twitterなどで情報発信していますので、もしよろしければ覗いてみてください。