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テレワークでは、「上司からの積極的な情報開示」こそが大切

 在宅ワークは、オフィスでの仕事をまるごとそのままオンラインに移し替えただけではうまく機能しない。リアルとオンラインではコミュニケーション環境が大きく異なるので、意識的に「リモート環境に最適化」されたマネジメント、そしてメンバーへのケアが必要だ。

 うまく機能しないまま放置していると、最悪の場合、会社内の人間関係が崩壊してしまうことにもなりかねない。

 すでに、長期化するリモート環境によって会社とメンバーの間に不信感が生まれ、両者の間に深い溝ができてしまった企業も出はじめている。その結果、在宅で働くメンバーの中には体調やメンタルの調子を崩してしまったケースもある。非常に憂うべき事態だ。



お互いの情報を開示することの大切さ

 会社内の人間関係の不和という不幸を生み出さないためにも、オフィス環境で仕事をしていたときのようなお互いの関係性を、オンラインならではの形で再構築する必要がある。そしてその最も大切な要素が、お互いのコミュニケーションを増やし、リモート環境でもしっかりと「つながっている」という感覚を持つことだ。

 つながっているという安心感を持てないと、人間はどうしても孤独になり、そして不安にさいなまれてしまう。だからたとえお互いに離れた環境下で働いていても、会社の仲間がいま何をやっていて、何を考えているのかを知っていることはとても大切だ。


 しかし、そのコミュニケーションのやり方を間違ってしまうと、悪い結果に陥ることがある。たとえば最近、メディアにも取り上げられていて問題になっているのが、「会社による一方的な勤務監視ツールの導入」だ。

 メンバーを信用することなく、「サボってないだろうな」という観点で、作業を中断していないか、きちんと席に座っているかなどを常に監視するツール。そのように会社から「一方的に見られている」環境下では、メンバーの心理的不安は増し、モチベーションを大きく下げてしまう。



情報開示は「上司のほうから」が大切

 このように、下から上へと一方的に「情報を開示させる」という姿勢では、メンバーからの不信感が増すばかりで良い職場環境にならない。一方的な厳しい監視というのは通常でも問題だが、リモート環境だと、感情的な意味でより悪い方向へと増幅されてしまう。

 オフィス環境にいるときは、お互いの顔もわかるし、仕事をしている姿も見られるので、それだけで情報の交換は無意識のうちにかなりの程度行われている。非言語による、視覚などからくるコミュニケーションの総量は膨大だ。

 しかし、リモート環境にいると視覚からくる情報はほぼ遮断されてしまう。zoomなどのビデオ会議で顔を合わせているだけでは全く足りない。そこで上司は、もっと部下の「勤務実態」を知ろうとし、「頻繁に報告を上げるように」とせかす。上記のような監視ツールは、その悪い一例と言えるだろう。

 

 メンバーはこのように監視される一方、こちらからは上司の動きは見えないままだ。上司はそのことに気づかない。人間は勝手なもので、自分のことは、他の人にはわかってもらってるだろうという思い込みがある。そしてその思い込みがマネジメントに持ち込まれてしまうと、部下へだけ一方的に情報開示を要求するという、不幸で非対称な状況が生まれてしまうのだ。

 だからこそ、上司はまず、「自分の方から積極的に情報を開示する」という行動を取らなければならない。上司が情報を開示すると、部下もチームの仕事の全体像を把握しやすくなる。上司の動きや考えを知ってるという安心感も生まれる。

 このとき大切なのは、上司は、自分が失敗したことなども、できるだけ隠さずに素直に開示するということだ。上司のその姿勢がメンバーからの信頼を産むし、チーム全体で助け合っていこうという雰囲気も醸成される。


 上司が情報を開示すると、部下も開示しやすくなる。そこから積極的な情報の共有と、お互いのサポート関係が生まれる。また、距離が縮まり、階層がフラットになっていくイメージを持てると、自然な会話や交流も増える。リモート環境において、この雰囲気づくりはとても重要だ。

 理想的なのは、メールでの一方的な報告や指示というスタイルではなく、チャットツールをベースとした、同時多発的な会話のイメージだ。こうすることにより、オンラインでも、オフィスでは普段からあったような活発な「雑談」が生まれる余地がある。

 雑談は非常に重要だ。オフィス環境とリモートでの違いの大きな要素のひとつは、この「雑談」がなくなってしまうということ。雑談から生まれる情報交換や新しいアイデアは、企業組織として言うまでもなくとても貴重だ。上司が積極的に情報を開示し、組織がフラット化することにより、このような良い空気が醸成される。


 「強制的リモート環境」に向き合い、これまで通りに組織マネジメントを続けていくことはとても大変だ。しかし裏を返せば、この危機的な状況を機に、組織文化を良い方向に変えていくという試みも可能だ。

 この状況をどう乗り越え、会社をどう変えるかによって、この後の次の時代で飛躍できるかどうかが決まってくる。


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