【企業分析⑦】bitFlyer

今回は国内のビットコイン事業者最大手のbitFlyerについて分析します。

ちなみにこの記事を書いている2017年9月当初現在、ビットコイン高騰によって、非常に市場が盛り上がっている状態です!
※参考記事:ビットコイン価格が50万円を超え過去最高値更新
https://coinchoice.net/news/0830pricereport/

bitFlyer社の分析をする上で、前提としてビットコイン・仮想通貨市場についても分析しなければいけませんでしたので、ビットコイン自体の考察も含めています。
※ビットコインという仮想通貨自体の思想・構想が非常に面白かったです!

ビットコインに興味のある方、これから口座開設等を考えている方にも参考になれば!と思っています。

【読んで欲しい人】
↓↓のような人向けの情報です!
・対象企業の現状を、サクッとどんな状況なのか知りたい。
・ビジネスモデル・マーケティングの勉強がしたい。
・就活対策のために企業の情報を網羅的に知っておきたい。
※ビットコインについても詳しく知りたい。

【ご注意事項】
・2017年時点での情報をもとに分析、考察しています。
・情報のソースは独自でかき集めており、分析内容には一部主観も含みますので、悪しからずでお願いします。
今回も同様に、以下の流れで分析をしていきます。

■市場環境(PEST分析)※全分析ともに共通
■ビジネスモデル(売上算出式)
■自社・顧客・競合分析(3C分析)
■製品・価格・流通・広告分析(4P分析)
■5F分析
■分析から見える課題
■分析を踏まえた新規施策アイデア
それでは今回も非常に長々と失礼しますが、お付き合いくださいませ!

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▼市場環境(PEST分析)※2017年3月時点・全分析ともに共通
・Politics(政治情勢)
農協の組織改革を柱とする農業改革、労働市場の柔軟化を含む労働改革、増え続ける社会保障費を抑制するための医療・年金・介護改革など、課題は山積みな状態。
米トランプ大統領がTPP脱退を宣言。TPP脱退実現の場合、TPP前提で計画されていた農業改革が遅れ、工業品の輸出が伸びない傾向。
同じく米トランプ政権の指針で、米軍駐留撤退の可能性あり。自国防衛についての議論が活発になる。→実際のトランプ政権の動きは現状不透明なため、影響を大きく受ける可能性あり。

・Economy(経済情勢)
米大統領選後、円安傾向が続いており、輸出企業(主にメーカー)の業績回復が見込まれ、景気は緩やかに良くなる基調。
2020年オリンピックに向けて公共事業・不動産開発はじめ、消費の拡大が続く見込み。
海外からのインバウンド来訪者数・消費額も年々増加傾向あり。

・Society(社会情勢)
2016年の労基関係事件もあり、働き方改革が緩やかに浸透し、企業活動において生産性が問われる。(プレミアムフライデー・週休3日制導入企業も出てきた)
流行モノはマス(TV)とネット(SNS)のセットで生成されるようになる。

・Technology(技術情勢)
AI、IoT、VR、ドローンなど、2016年騒がれた技術を活用した新端末・サービスが続々商品化、一般に普及していく見込み。
IoT、ロボット技術を活用したスマート家電商品も続々リリース、一般に普及見込み。
ビットコイン/ブロックチェーンのような仮想通貨の技術が、他産業にも応用される可能性が出てくる。


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▼ビジネスモデル(売上算出式)
■取引所機能(買い手と売り手のマッチングプラットフォーム)
売上 = 取引手数料(取引金額に応じて0.01〜0.15%) × 取引数

■販売所機能(biFlyer自体がビットコインを販売する)
売上 = 売買手数料 × 売買取引数 
※手数料はアカウント開設から当面は無料

■その他
・日本円出金:216〜756円の手数料発生
・アカウント開設、維持費用は無償

※取引所は個人間取引となるため手数料が安く、販売所は安定供給・取引相手が特定できるメリットがあるが、手数料は高い。

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▼自社・顧客・競合分析(3C分析)
■自社(Company)
【経営理念】
株式会社bitFlyer はビットコインをより多くの人にお届けすることを目指しています。

【沿革】
※2009年:ビットコインのシステム自体が稼働開始
2014年1月:設立 販売所機能のみ提供
2015年7月:取引所機能を提供開始

【株主構成】
・SMBCベンチャーキャピタル
・みずほフィナンシャルグループ
・三菱UFJキャピタル
・第一生命
・三井住友海上キャピタル
・リクルート
・ベンチャーラボインベストメント
・SBIインベストメント
・電通デジタル
・GMOベンチャーパートナーズ
他数社

【直近業績】※株式非公開、業績非公開のため、他指標で評価
・月間取引総額
2015 年後半には 10 億円程度
→2016 年 12 月は 2,500 億円超へと急成長している。

・資金調達
2015年1月:リクルートやGMOから約1億3千万調達
2015年8月:三菱UFJキャピタル、電通デジタルなどから約5億1千万円調達
2016年4月:SBIインベストメントなどから約30億円の資金調達
資本金総額:41 億 238 万円

【経営資源】
・金
国内仮想通貨事業者の中でも最も資金力がある。

・モノ
国内取引所で初のマルチシグネチャを導入するなど、国内でセキュリティ関連に最も力を入れている。
取引所以外にもビットコイン・クラウドファンディングのfundFlyer、ブロックエクスプローラーのchainFlyer、決済サービスのbitWire等様々なビットコイン関連サービスを提供。
独自のブロックチェーン技術の開発も行っている。

■顧客(Customer)※市場に絞って考察
【市場】
※仮想通貨市場の90%程度がビットコインのため、ビットコインのみを分析対象とする
・ビットコイン枚数
プログラムで2100万枚が上限として決まっている。
(発行スピードもコントロール不可のため、インフレリスクが少ない)
2017年4月現在で、1628万枚発行済み。
発行スピードは4年に1度半減する仕組みで、2140年頃に上限に到達する見込み。

・ビットコイン取引総額推移
2016年:2兆800億程度
2017年(予測):8兆2,600億程度

・ビットコイン1枚あたりの価格推移
2012年:1,000円
2013年10月:15,000円
2014年6月:45,000円
2015年6月:35,000円 ※Mt.Gox社の資産消失で下降
2016年6月:60,000円
2017年4月:135,000円
2017年8月:500,000円

・その他(価格変動リスクについて)
短期間でも世界経済の影響による価格推移が激しい
→全体的に1btcあたりの価値は上昇傾向ではあるが、短期で大きく変動することもある
(例)
2016年8月3日:55,436円/btc (ビットコイン・ドル取引所最大手のBitfinex(ビットフィネックス:香港)がハッキングにあい、119,756BTC(6347万ドル)が盗難被害。取引停止になった)
2017年3月3日:146,956円/btc

■競合(Competitor)
・販売所 / 取引所の両機能を持つ事業者の定性分析
①bitbank
2014年5月に設立。
クレジットカードでビットコインを購入できる。
2015年7月には世界最大級の取引量をもつ中国取引所のOKCoinと提携開始。

②coincheck
2014年8月にビットコイン事業開始。
国内でいち早く信用取引を導入した取引所であり、クレジットカードによる購入も可能。

③Zaif
2014年6月に設立。
マイナス手数料という、取引を行うことによりユーザーが手数料をもらえるサービスが特徴。

・取引所機能のみ持つ事業者の定性分析
①BtcBox
2014年3月に設立。
現在稼働している国内取引所の中では最も古く、高い出来高を安定して記録してきた実績あり。

②Kraken
2011年7月にカリフォルニアで設立。
世界最大のユーロ-ビットコインの取引出来高を持つ取引所であり、2014年10月に日本に進出。
セキュリティに非常に注力。

③QUOINE
2014年5月に設立。
海外拠点の取引所でありながら日本での事業に大きく力を入れてきた経緯があり、日本円・米ドル他多数の通貨とのビットコイン取引が可能。

■国内取引高シェア(2016年7月)
1位:bitFlyer 37%
2位:BtcBox 24%
3位:QUOINE 15%
4位:Zaif 14%
5位:coincheck 9%
6位:Kraken 1%

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