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【読書記録#6】『ライティングの哲学』(千葉 雅也, 山内 朋樹, 読書猿, 瀬下 翔太 (著))

本書『ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論』 (星海社新書) ( 千葉 雅也 (著),山内 朋樹 (著),読書猿 (著),瀬下 翔太 (著))には、「書くことを一生の仕事としながらも、書けない悩みを抱えた4人が、新たな執筆術を模索する過程」が座談会形式で書かれている。

本書は3部構成で、「座談会その1 挫折と苦しみの執筆論」、「執筆実践:「座談会を経てからの書き方の変化」を8000文字前後で各々が執筆」、「座談会その2 快方と解放への執筆論」に大きく分かれている。

書けない苦悩を乗り越えるために著者達の挑戦の過程を知ることができ、また、書き慣れている方々でも、真っ白なWord画面に軽快に文章を書いていくのは心理的なハードルが高いということを知ることができた。「書けない」に対処する方法として、twitterなどを活用して走り書き的なメモを多数用意しておくなど、著者達のデジタルツールの利用方法などは参考になった。いかにして「書かないで書く」という状態に持ち込んでいくかなど、興味深い話題が多かった。

私は技術系の職種なので「論文」に接する機会は比較的多いが、これまで「論文」と「小説」の違いをどのように捉えればよいのか定まっていなかった。この点に関して、本書では千葉氏が『論文的に内容を凝縮して小説を書こうとすると、無駄を削っているようで内容(ある種のリアリティや複雑な内容性など)を削ってしまう』というコメントをしており、長年抱えていた疑問に対して答えを頂いた気持ちになれた。これからは小説の中の「文章のバランス」も楽しむことができそうである。

また、文章を仕上げる上で「〆切」の効用がいかに大きいかを知ることができた。「〆切」の期日があるからこそ、文章の完成度をある意味で「諦める」ことができるのだそうだ。本書を通して、「〆切」に葛藤する著者達の心情の一端を生々しく感じることができたからこそ、これから本を読む際は真摯に読んでいかなければならないという気持ちになれた。本書に書かれているような様々な著者達の苦悩を乗り越えて生み出された”文章”はとても尊いものだと思った。「書けなさ」を解消するために、著者達がお互いに刺激し合いながら解決の糸口を果敢に探っていく姿には、なんだか勇気を頂いた。

最後に著者の先生方に感謝するとともに、本書を生み出して頂いた編集者の方々に感謝致します。「書けない悩み」への接し方を知ることができました。ありがとうございました。

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