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「勉強しなさい」と言わない母親 ータイガーマザーと真逆の育児ー

2011年出版の本である。アメリカに住む中国人大学教授である母親が、中国式のビシバシ猛烈スパルタエリート教育を施して、2人の娘を一流大学へ合格させ、音楽の世界でも優秀な人材に育てあげた子育てサクセスストーリーだ。

子供の人生の旗振り役として過激に邁進する。何時間でも音楽のレッスンを続けたり、娘が嫌だと訴えても、心の傷とかそんなのはお構いなしに母親のを意志を通す姿勢といい、凄まじい。アメリカでは一昔前このような教育ママを「タイガーマザー」といったようだ。


その当時、たまたま手にした書籍だったが、私には到底真似出来ないと舌を巻いた作品であった。私はタイガーマザーとは真逆の存在である。

なぜなら、私は息子に「勉強しなさい」と絶対言わないようにしてきた。


私には「勉強は親が尻を叩いても、結局勉強をするのは子供自身であること」や「勉強することを負担に思うと、独学で知の世界を切り開いていけないのではないか」という持論がある。

幼児教育や小学生には親が導いて、基礎の勉強スタイルを身に着けさせるのが最優先だという意見もあると思う。それについては賛否両論あると思うし、子どもの性格や適性も多分にあると思われる。だが私は、宿題などの課題をやり遂げているならば、一定の学力があるならばそれで良しとした。エリート教育は、出来る環境の人や志高き親御さんにお任せするしかない。


私はというと、親としての一般的な努力の範囲で、彼の興味のある分野は応援してきたつもりだ。(それは良い専門家の師を見つけることであったり、専門の書籍や学びに必要なものを与える、といった程度だが)

彼が興味を持つ分野は、小学生の頃からパソコンや電子機器、プログラミング、車、電車、生物、歴史、社会情勢など幅広く、今のところなかなかの博学うんちく野郎に育っている。


そして何より一番重要視してきたのが、交友関係やコミュニケーション能力だった。


毎週家には息子の友人がたくさん集まっていたし、友人たちと数えきれない程のお泊まり会(親友の祖父母の家にまで)をしてきたし、長期休みには親友の家族に海に川に秘境巡りにと連れていってもらったりと、息子は家族ぐるみで、地域で、可愛がってもらってきた。

私は、息子にとって良き友人や仲間たちと過ごす時間は「人生の宝である」と考え、それが何より息子の人生に影響を与え、彼の人生の基礎を作り、大人になった時に最大限プラスの方向に転じるものと信じた。だから何よりも息子の最優先事項として、友人たちと出来る限り一緒の時間を過ごすよう努めてきた。

息子は勉強しなさいと言われず、野に親しみ、良き友人たちとまるで子犬のようにジャレ合って、笑顔いっぱいで育ってきた田舎育ちである。

さて息子はどんな大人になるだろうか。エリート教育では生み出されないであろう一味違った面白い人材になり、自分の力で味わい深き人生を切り開いて、友人たちと支え合いながら共に歩んでいくことを期待している。

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