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FIREBUG|2022年のエンターテインメント!佐藤詳悟(@sato_shogo1)

テレビ全盛の時代から、SNS全盛の時代へ

昨年同様、2021年も大物タレントのYouTubeチャンネル開設が相次いだ1年でした。嵐の二宮和也さんやHey! Say! JUMPの山田涼介さん、指原莉乃さん、坂上忍さん、宮川大輔さんなどのYouTubeチャンネル開設が代表的な事例と言えるでしょう。

ここ数年、大物タレントがYouTubeに参入する動きが目立っていますが、2022年以降はYouTubeに限らず、あらゆるSNS領域に大物タレントが参入する動きが目立つはずです

なぜなら、エンターテインメントビジネスの主戦場はテレビから“SNS”へ移り変わっているからです。これまで、エンターテインメントビジネスの中心は“テレビ”にありました。2000年〜2010年代にかけては、今よりもテレビが持つ影響力が強かったため、芸能事務所やタレントはいかに「テレビ番組やテレビCMに出演できるか」を重視してきました。実際、今まではテレビに露出すれば、認知度が上がり、ファンを増やすことができたと思います。

例えば、私が過去に所属していた吉本興業は“お笑い芸人”というIP(知的財産)をもとに、放送作家やテレビディレクターと一緒にテレビ番組をつくり、それをヒットさせることで大きく成長してきました。それは他の芸能事務所も同じです。

基本的には、「タレント✕クリエーター✕テレビ」という方程式をもとに、数々のヒットコンテンツを生み出してきました。

ただ、ここ数年でエンターテインメントビジネスを取り巻く環境は変化しています。2020年における「メディアの接触時間」は2010年と比較すると、テレビは下降線をたどっている一方、スマートフォンは急激な伸びを見せています。
※出典:博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 メディア定点調査(2021/1/29)

SNSや無料動画(YouTubeなど)を利用する頻度が増え、スマートフォンに触れる時間が加速度的に増えたことで、インターネット広告の売り上げもテレビ広告を抜きました。より多くの人に、より良質なコンテンツを届ける──これがエンターテインメントビジネスの本質です。スマートフォンが普及し、多くのユーザーがSNSを利用するようになったことで、今後タレントたちはSNSにコンテンツを投稿し、そこを起点にファンを増やしていく時代になっていくでしょう。テレビに出演して人気者になる時代は終わったということです。

今やテレビで人気に火がつくのではなく、人気に火がついたものがテレビに集まってくる。そんな構図が出来上がりつつあります。ただし、テレビがなくなるわけではありません。

SNSは人気に火を付ける着火装置ではありますが、一般的な認知度を高める装置ではありません。SNSでアプローチできる人数の上限はHIKAKIN(ヒカキン)さんのYouTubeチャンネル登録者数の1040万人くらいではないでしょうか。これは感覚値ですが、日本の全人口の3〜4割はSNSを見ていないと思うので、より多くの人に知られるためには“テレビ”というプラットフォームも使うことも重要です。

そうなると、まずはSNSでコンテンツを出してから、それがテレビに拾われてマス(大衆)に認知されていく、ということを繰り返していくことになると思います。

タレントのSNSを活用した広告開発と課金開発、そしてWEB3.0への準備を!

そんなSNS全盛の時代において、ヒットコンテンツを生み出すために大事にすべき考えは「安定して収益をあげられるビジネスモデルをつくる」ことです。そこで得た収益をヒットコンテンツを生み出すために投資する。このサイクルをつくることが大切になります。

テレビはキー局が6局しかなく、出演できる番組の枠が限られていたこともあり、競争相手は同じタレントだけでした。しかし、SNSは誰もが簡単にコンテンツを生み出せるプラットフォームのため、競争相手は素人も含め、たくさんいます。その中でヒットコンテンツを生み出すのは至難の技です。SNSに最適なコンテンツの開発手法は複雑化しており、いきなりヒットコンテンツを生み出しにいくのは難しい。ほとんど博打に近いと言えるでしょう。

では、安定して収益をあげられるビジネスモデルとは何なのか。SNS全盛の時代は、タレントのSNSを活用した広告開発と課金開発に取り組むべきでしょう。

タレントのSNSを活用した広告開発という点に関して、FIREBUGは今年から、アミューズと共同でアーティストやタレントが旅をしながら商品を紹介する、SNSを活用したプロダクトプレイスメントメニュー「TAVILOG」の提供もスタートさせています。

また、マーケティング支援事業についても好調で、昨年からFIREBUGはTwitter Japanと共同でTwitter生配信番組の制作・配信サービスの提供を注力して行っているほか、タレントYouTubeタイアップ広告も2021年も引き続き多数サポートさせていただきました。例えば、「ユニ・チャーム×指原莉乃さん」事例や「出前館×スピードワゴン井戸田さん(ハンバーグ師匠)」事例などを手がけました。

エンターテインメントビジネスの主戦場はテレビから“SNS”へと移り変わったことで、SNS向けの広告パッケージも今後増えていくはずです。上記のような、SNS向けの広告パッケージが事務所ごとにつくられていく、というイメージです。

また、課金開発という点に関しては、アミューズ、講談社と共同制作したイヤードラマ『暴き屋』がそうです。これは全7話構成になっているのですが、1話目以外は各エピソード200円課金してもらう仕組みにしています。これは、週刊少年マガジンに出さず、最初からLINEマンガで連載をスタートさせた、というのも面白いポイントでもあったと思います。

そのほかにも、BiSHのメンバーとして活躍するアイナ・ジ・エンドさんが考案した、雑巾がモチーフのキャラクター『ぞうきんドッグ』を漫画化し、アイナ・ジ・エンドさん公式Twitterで連載するというプロジェクトのプロデュースも手がけています。

ORICON NEWSでアイナ・ジ・エンドさんへ本漫画に込めた想いについてインタビューしていただきましたので、下記ご覧ください。

今までキャラクターをつくる方法はテレビや出版社と組むしか方法がありませんでしたが、その常識も今後変わっていきます。そして、そのキャラクターのグッズをネット上で販売していく動きは当たり前になっていくと思っています。

それに加えて、2022年以降のエンターテインメントビジネスにおいて注視しておかなければならないのは「Web3.0」でしょう。Web3.0とは、ブロックチェーン技術を活用した“自律分散型”のインターネットの世界を指す言葉です。

私たちが普段使っているFacebookやTwitter、Instagramなどは運営元である企業がデータなどを管理する“中央集権型”のサービスでした。コンテンツやフォロワー、収益などはすべてはプラットフォーマーに管理されていたわけです。

それがブロックチェーン技術を活用することにより、プラットフォーマー主導の経済から抜け出し、クリエイターがファンと直接つながりビジネスができる。そこがWeb3.0の面白いところだと思っています。たとえば海外では、インフルエンサーに動画メッセージを直接依頼できるサービス「Cameo」がユニコーンの仲間入りを果たしています。

Web3.0のエンターテインメントビジネスで注目しているのは「メタバース」と「NFT」です。メタバースは人々がアバターを持ち、ゲームをしたり、仕事をしたり、物を作ったり、パフォーマンスを見たりなど交流する仮想世界を指す言葉です。来年以降、アーティストがアバターをつくって仮想空間上でライブを開催したり、タレントがアバターをつくってファンとの交流イベントを開催したりする流れになっていくのではないでしょうか

もうひとつのNFTは、ブロックチェーン技術を用いてデジタルデータに代えの利かない識別情報を持たせ、希少性や唯一性を与えるというものです。いま、NFTは爆発的な勢いで盛り上がっており、さまざまな企業、クリエイターがNFTに参入しています。

例えば、すでに国内ではSKE48やももいろクローバーZなどアイドルのNFTトレカが発売されたほか、先日、音楽家の坂本龍一さんが代表曲「Merry Christmas Mr.Lawrence」のメロディーを595音に分割したNFTを販売したところ、即完売するほどの盛り上がりを見せました。来年以降、「タレント×NFT」の取り組みは間違いなく増えていくはずです。

2022年はWEB3.0を含め、ヒットコンテンツを作る場所を見定める

そうしたエンターテインメントビジネスの流れを踏まえて、2022年はSNSを活用した広告商品と課金商品の開発をより一層充実させていきたいと思います。

先述したコンテンツの他にも、2021年はバンダイ、フジテレビジョンと共同で手がけるクリープハイプの楽曲「ポリコ」から生まれたアニメーション企画「ハイパーポジティブよごれモン」を手がけたり、各ジャンルで活躍する音楽クリエイター約50名によるアンケートで選ばれた「すごい!」楽曲を表彰する「J-WAVE SPECIAL MUSIC FUN! AWARD 2021」を開催したりしました。アニメやキャラクター、漫画、音楽など、さまざまな取り組みを実施したので、さまざまな広告商品と課金商品を開発できる体制も整っています

また、WEB3.0時代のエンターテインメントビジネスのあり方を考えながら、ヒットコンテンツを作る場所を模索していく1年にしていければと思っています。FIREBUGからヒットコンテンツを生み出し、売上を大きくしていく。その売上を個人やクリエイターなどエンタメ業界にまわしていき、SNS時代における日本のエンタメ業界のエコシステムづくりに取り組んでいければと思っています。

2022年1月5日
FIREBUG 代表取締役 プロデューサー 佐藤詳悟

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