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2021年2月の記事一覧

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑰

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑰

せっかくなのでここでもう少し具体例を出しておきましょう。

例えば、右WG自身がリターンをもらうのもよく見る光景です。(図8-20)

この右WGは、フリーランの方向そのままワイドに押しやられてしまうようなヤワであってはいけません。オフサイドラインでの駆け引きに勝ち、すぐに内側に振り向いてゴールに向かう、走力と敏捷性などを含めた能力が求められます。

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑯

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑯

近日発売予定の「専門家のサッカー解説書 密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進」の出版を記念して、その全文を数回に分けて当サイトで先行配信をします。

発売日までの期間限定となりますのでお早めにご閲覧ください。

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いずれにしても、このようなサッカーを目指すとき最終列から最前列までの縦の距離が短くなりがちだということは理屈でわかると思います。(図8-10)

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑮

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑮

・角

サッカー経験のある方ならおそらく一度は聞いたことや使ったことがあるだろう言葉に「三人目の動き」というものがあります。

指導経験もプレー経験もどちらもない方でも、テレビでプレー観戦をするサッカーファンの方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

形自体は必ずしも三角になる必要はありませんが、相手の守備ベクトルを操作して別の場所でボールを受ける、という考えはこれと同じです。

言い

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑭

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑭

「三角形の頂点にボールを当てることによって相手の意識をそこに向けさせ、そのせいでその選手がマークを担当している選手を見られなくする」とは実に局所的かつ具体度の高い考えのように聞こえかねないですが、相手の守備ベクトル、つまり「ここにボールを追いやろう」という能動的なものから「ここが危ないからしっかり守ろう」という受動的なものまでを含めた、守備の意図や警戒心を操作して動かし、その動かした場所とは異なる

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑬

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑬

・守備ベクトルの操作

これまでの解説で、サポートはボールを受ける(持っている)選手の背後ではなく、見えている方向にポジショニングしてほしいという当たり前のことが整理できました。

そのサポートする選手が2人いれば、その形がボールを受けた(持った)選手を頂点とした順三角形になるという考えです。

当然このサポートは頂点の選手がリリースのために大きな動作を必要としない、またはそれほど技術を必要としな

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑫

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑫

・形と角度の取り扱い

これまでに分かったことを整理すると、パスを受ける選手は自分が見えている方向にパスコースを多く確保しておいた方がいい、ということになります。

これは単発で終わるものではなく、その次のパスを受けることになる選手やさらにその次のパスを受けることになる選手、と想定されたフィニッシュ(シュート)まで続きます。

このパスコースを大雑把に具象化したのものの一つが「三角形」であります。

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑪

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑪

右WGが自分を頂点とした順三角形の残りの2人に折り返しのパスを送ったとき、そもそものRBから右WGへのパスが2列前の高さに送るものであるため、1列低い場所へ送る折り返しのパスは元のRBから見ると「2列-1列=1列」高いところになります。(図5-13)

2歩進んで1歩下がる。

ビルドアップが進むということです。

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑩

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑩

答えは単純明快です。

見えている側の三角形になったときです。

ゆえに配給側のDFたちにはゲート間(図では両CM間)などを通す精度の高いパススキルが求められるし、受ける側のMFたちにはポジショニングの能力や素早いターンの能力が求められます。(図5-9)

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑨

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑨

・三角形とダイヤモンド

サッカーをやったことのある人、教えたことのある人ならまず間違いなく聞いたことがあるサッカー用語に「三角形」というものがあります。

選手のポジショニングの位置関係を線で結んだときに生まれる形です。

一般的にはこの三角形を多く作りやすいフォーメーションの方がポゼッションフットボールには適していると言われていますが、これをただの暗記で“覚えて”思考停止してしまってはいけませ

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑧

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑧

もしここでGKにもプレスにくるのであれば、それのおかげで空いたところにつける(フリーになった選手にパスを送る)か(図4-22)あるいはGKが危ないと感じるのならそこが「切る」タイミングです。(図4-23)

当たり前のことですが、GKはほとんどの状況において「回避」のためのバックパスができない場所にポジショニングしています。

ということはGKが前方に安心してパスできるコースが見えていないのであれ

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑦

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑦

守備の第一優先事項はゴールを守ることになるので、当然危ないときは「意図したところにパスを誘導し、その場所でボールを奪う」などと悠長なことは言っていられず、まず自分たちのゴールからボールを遠ざけることを目標にした守備を構築することになります。

つまり先ほどから挙げている「基本」の考えはこれになります。

「危ないとき」の基準の多くは相手がボールを持っている場所で設定することができます。

それを高

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑥

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑥

例えばCMへのスローインからディフェンスラインの裏にペネトレーション(突破)のボールを送りたいとき、そのままCMからボールをリリースした場合(①)と左FWを経由した場合(②)、CB経由の場合(③)、GK経由の場合(④)では成功率が変わります。(図4-8)

言うまでもなく、パスの距離が短い順に成功しやすくなります。②①③④の順です。

理由も言わずもがな、ボールの移動距離が短いということはボールの

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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑤

密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑤

・GKとDFの段差

さて、「スローインのとき」の説明がやっと終わったところで「GKとDFユニットの高さに段差がないとき」の説明に移りましょう。

これは別巻「GK、DFからのプレー①」(詳しくはこちら)でも解説しましたが、同じ高さに選手を配置しすぎると相手はより少ない人数の守備配置をすることができてしまいます。

1人で2つ以上のパスコースをケアするポジショニングができるからです。(図4-1)

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