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密集エリアでのポゼッションと適切なタイミングの前進⑭

「三角形の頂点にボールを当てることによって相手の意識をそこに向けさせ、そのせいでその選手がマークを担当している選手を見られなくする」とは実に局所的かつ具体度の高い考えのように聞こえかねないですが、相手の守備ベクトル、つまり「ここにボールを追いやろう」という能動的なものから「ここが危ないからしっかり守ろう」という受動的なものまでを含めた、守備の意図や警戒心を操作して動かし、その動かした場所とは異なるところにボールを配給する術については拙著「専門家のサッカー解説書 MFのゴールスコアリングポジションへの入り方②」(詳しくはこちら)でも解説したとおり多々あります。

言い方を変えれば、“三角形”の考え方は攻撃におけるもっとも重要な原理原則の一つ、「スペースをつくりスペースを使う」概念において、そのスペースを、ボールを動かすことよってつくり出す方法の一つにすぎないということです。

「使いたいスペースに人(相手選手)がいて邪魔だな、どかしたいな」と思ったとき、理想の順に、人(相手選手)の物理的なポジション、足の向き(体の向き)、顔の向き(視線)、重心、意識、をボールにひきつけることを目標にしてその最初のパスを送るわけですが、この種の手法の超ロングセラーに「ワンツー」があります。

縦に抜けるワンツーも横にかわすワンツーも、この「ベクトル操作」の一種であり、基本中の基本でもあります。

折り返すボールを受けなおす「ワン」の選手を3人目と考えたとき、2人で三角形を作っていると考えることもできます。

折り返すボールの排出先の予約状態です。(図7-11)

そしてこの考え(ワンツーやワンツーの延長上にある三角形やダイヤモンドの考え)はビルドアップにおいてもペネトレーションにおいても当然重要なものになります。

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