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江楠くれこ
2023年7月2日 07:14
そこにカフェがあることに気付いたのはつい先週の事だ。これまでにも何度か来たことがある場所のはずなのに、今の今までその小ぢんまりとした家屋がカフェであることに気付かなかった。小窓から店の中を覗くと、壁面を覆うように書棚が並んでおり、壁には古びたレコードや写真がセンス良く飾られている。いわゆる隠れ家的な店と言ったところだろうか。趣のある木の扉を押し開け足を踏み入れると、常連客と思しき客がマスターと
2023年7月14日 17:25
※土佐弁に詳しい方にご監修いただけると助かります。「ここがおかしいよ」というのがあったらぜひコメント欄にお書き下さい。節子九「随分と色っぽくなっちゅうねや。」そう言いながら節子の身体を触る勇に沸き立つ嫌悪感を抑えきれず、全身の毛が総毛立だった。なぜ今更になって、こんなところで再会してしまったのだろう。「あの後上京したんだけんがよ、言葉も上手ないし、やっぱり地元がええ思って戻っ
2023年7月15日 08:28
四日目二「ひとまず、壷については竹下さんに直接教えて貰うのが一番手っ取り早いみたいですね……。」怜の隣に座る裕太の傍らに不安気な顔で佇みながら、裕太の方を指差す彼に。「……あなたが持っているそうです。」「へ?」裕太は何がなんだか分からないという様子で怜を見つめた。それもやむを得ない話だ。「すみません、ちょっと親に確認してみます。」そう言うと裕太はスマートフォンを取り出して