【エージェント・ウルトラ】を三幕構成で読み解く
結末まで語るので、本編を未見の方にはブラウザバックを推奨します。
一幕
プロローグ)
これは何やら普通じゃない事件に関与した普通じゃなさそうな男の物語…
1)
パニック障害で地元から出られないダメ男マイク。そんな彼と何故か付き合ってる美女フィービー。一方でCIAのラセターにはワイズマン殺害計画について匿名のタレコミあり。ラセターの後任イェーツは、ワイズマンの後継計画であるタフガイ計画を正式認可させるためにタフガイを使ってワイズマン(マイク)を消そうとしている。
2)
ラセターは先にこっそりマイクに会って、催眠術を解いてマイクの能力を解放する。やがてタフガイが2人現れるも、マイクは能力を発揮してスプーンとカップヌードルで2人を素早く殺害。フィービーが駆け付けた所で地元警察が現れて2人は現行犯逮捕される。
二幕
3)
マイクの発動を知ったイェーツはCIA部隊を派遣して、感染症のフェイクニュースで街を封鎖。さらに警察署にクレインとラフターの2人のタフガイを送り込むも、マイクがこれらを撃退。
4)
マイクとフィービーはローズの家に隠れるが、そこに再びタフガイが2人派遣されてローズと友人を殺害。マイクとフィービーはタフガイを撃退するも、マイクはフィービーの素性がCIAだと知って自分の人生が偽物だったと絶望する。
5)
マイクとフィービーは口論しているところをラフターに襲われて、フィービーは生捕りにされる。マイクはラセターに救出されて、ラセターから自身の過去と特殊能力について聞かされる。
6)
マイクは帰宅するが、そこでもタフガイ2人に襲われて、ラセターの助力も会ってこれを撃退する。イェーツの上司クルーガーはワイズマン殺害作戦の暴走を知って、直ちに作戦中止して大部隊を解散させるも、イェーツは直属の部下であるタフガイだけを連れてワイズマン殺害作戦を続行する。
三幕
7)
マイクはショッピングモールに突撃して、残りのタフガイ10人前後を全滅させる。最後に残ったラフターとは停戦して、ラフターは姿を晦ます。マイクはフィービーにプロポーズしてOKを貰うも、ショッピングモールの大爆破を受けて再び召集していたCIA大部隊に2人は身柄を拘束される。
8)
雨の中でクルーガーがイェーツとラセターに事情聴取する。クルーガーはイェーツを殺してタフガイ計画を抹消したが、ラセターは…?
エピローグ)
半年後フィリピンで任務につくマイクとフィービーをラセターが指揮している。マイクは一人で中華系マフィアを皆殺しにしてしまうのだった。
FIN
▼解説・感想:
予算は28ミリオンドルなので定義ではB級映画に入ると思います。しかし個人的にはかなり良い映画だと思いました。
CGを使ったVFXをほとんど使っていないところに非常に好感を持てます。
ラストのプロポーズのシーンがすごく良かったです。ジェシーアイゼンバーグとクリスティンスチュワートという絶世の美男美女が、顔を怪我と血でグチャグチャにした状態でアレはずるいですよ!そしたら電気ショックであっさり制圧されるのも笑えました。同じタイミングで捕まるダグラスも合わせて上空からの凝ったカメラワークで、それも素敵だと思いました。
劇中でCIAがフェイクニュースで街を封鎖した時に、サルとセックスして感染したという、1990年代にHIVがアフリカから人間に感染したのはサルとセックスした黒人ゲイがアメリカに来たからだというひどい人種差別のジョークを元にしたセリフがあって、私も不謹慎だなーと思いつつ笑ったのですが、日本語字幕では消されていて勿体無いと感じました。字数を減らすためなのか、レーティングを下げるためなのか、目的はよく判りませんが。
ライバルの描き方が定番ですけど、非常に良かったと思いました。最後にラフターがこっそり消えていて、続編展開したときに絶対に帰ってきてピンチの主人公を助けるやつでしょ、これ!少年漫画みたいで最高ですよ。
ビルプルマンが出てくると迫力が出ますね。やはりスター俳優というのは必要です。そういうところに豪華俳優を使っているところが絶妙に上手いと感じました。
おそらく実現しなかったのだと思いますが、シリーズ物のプロローグとして最高の映画でした。既存フランチャイズの続編かリブートでしか成功できないハリウッドの中で、本作のようなフレッシュなスタートは観ていて心が晴れるものです。商業的にももっと成功して欲しかった!
(了)
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