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【幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない】 ACTは実はめっちゃシンプル! (読書メモ)

ラス・ハリスさんの
「幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない
 マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門」

この本、とてもオススメです!!
Amazonでは★4.3ですし、YouTubeでも多くの方が紹介されています。

ただ、この本……、
結構難解だと、私は思います。
そもそも「よくわからん…!」と途中で挫折してしまったり、
各章の内容は理解して納得できても、全体像が掴めないままだったり…。

本書の問題という訳ではなく、扱っている対象の性質に依るものなのかなと思います。
というのも、(1)人によって効果的な方法が異なるため、1つのことを何種類かの形で説明する必要があったり、(2)多くの人にとって全く新しい概念・体験のため、丁寧な説明が必要だったり、という具合です。

そこで、本記事では、詳細は大胆に省略して、
本書そしてACTの、考え方の【軸】だけを、シンプルに、
解説してみたいと思います。

ACTとは?

ACTとは、心理療法の一種です。
Acceptance & Commitment Therapy(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)の頭文字を取った略語で、「アクト」と読みます。

心理療法の中に「認知行動療法」というものがあります。
認知行動療法は、心理療法の中でも、エビデンスが豊富で多くの研究により効果が確認されています。ACTは、その認知行動療法の流れを汲んでおり、第3の認知行動療法と呼ばれることもあります。

The Happiness Trap(幸福の罠)

多くの人は、「The Happiness Trap(幸福の罠)」に陥っています。
("The Happiness Trap" は本書の原題です。)

幸福について勘違いをしている、ということです。

どんな勘違いかというと、
何か『幸せな状態』というものが存在する、
という勘違いです。

この『幸せな状態』とは、例えば、
自身に満ち溢れていて不安や恐怖のない状態や、
ネガティブ思考が全くなく常に愉快な状態です。

そして、この勘違いによって、こんなことが起きます。

自分は『幸せな状態』ではない
→ 自分には、何か問題があるはずだ
→ 『幸せな状態』を目指して、問題を解決しよう!

しかし、実際には、『幸せな状態』は存在しません。
つまり、いくら努力しようとも『幸せな状態』にはなれないのです。

むしろ、頑張れば頑張るほど、思い描く状態から遠のいてしまいます。
というのも、『幸せな状態』を追い求めることで、自分自身の問題点をより強く意識してしまい、嫌悪したり目を背けたりするようになるからです。

さて、『幸せな状態』が存在ないとしたら、
どうしたらよいのでしょうか…?

①大切なものに従って、行動しよう

本書(ACT)では、一つの生き方を提案しています。

それは、
自分が大切にしたいものを明確にして、それに従って行動しよう
というものです。

例を挙げて、『幸せな状態』を目指す生き方と対比してみます。

とある会社員、Aさん。
Aさんは「仕事で成功して誰からも尊敬される人になる」ことを目指しています。

この「仕事で成功して誰からも尊敬される人になる」は、『幸せな状態』に似ています。
まず、「誰からも尊敬される」は、実際にはあり得ません。また、「仕事で成功し」続ける必要がありますが、それもおおよそ無理でしょう。おそらく、Aさんは、理想と現実のギャップに苦しむことになるのではないでしょうか?

そこで、Aさんは「自分が大切にしたいもの」を考えてみました。
すると、それは「人との繋がり」でした。Aさんは、尊敬される人間になることで「人との繋がり」を得られると、無意識に考えていたようなのです。

そして、Aさんは「人との繋がり」を大切にして、行動しようと心がけるようになります。例えば、毎日の家族との会話を大切にしたり、職場での挨拶やちょっとした雑談を増やしてみたり。こうした行動によって、Aさんは日々「人との繋がり」を感じる、有意義な時間を過ごすことができるようになったのです。

ここで少し、整理してみます。

まず、自分が大切にしたいものを明確にします。
Aさんの大切にしたいことは「人との繋がり」でしたが、当然人によって異なります。「挑戦」「創造性」「好奇心」「協調性」「誠実さ」「思いやり」「信頼」「興奮」「安定」「正義」「健康」「家族」「自分らしさ」などなど…、様々です。

続いて、大切にしたいものが明確になったら、それに従って行動します。
Aさんの場合、家族との会話や職場での挨拶でした。
ここで重要なのは、これらの行動は、思ったその日から、毎日できる、ということです。何かを達成する必要も、条件が揃う日を待つ必要もないのです。

自分が大切にしたいものを明確にして、それに従って行動する。
シンプルですが、毎日を有意義に過ごせそうな感じ…しないでしょうか?

②思考や感情を、客観的に捉えよう

それでは、実践してみましょう…!と言われたら、どうでしょうか?

こんな内なる声が湧き上がってくるかもしれません。

「行動する勇気が湧かない」
「自分の大切にしたいものがわからない」
「こんな小さな行動、いくらやったって意味ない」
「面倒くさい」

人には、「思考」や「感情」があります。
これらは、人を人たらしめている素晴らしいものですが、
それと同時に、人を苦しめる存在でもあります。

例えば、「行動する勇気が湧かない」を考えてみます。
そこには、「失敗するかもしれない」「きっと変な目で見られる」という「思考」があるかもしれません。そして、「不安」や「恐怖」といった「感情」が生じていることでしょう。

このように、人が何か行動しようとする時、思考や感情がその邪魔をすることがあるのです。

それでは、思考や感情を消せばよいのでしょうか…?
そうではありません。思考や感情を消すことはほぼ不可能なため、大きな労力を要する割に効果はあまり得られません。

実は、思考や感情そのものが問題ではなく、「思考や感情に飲み込まれてしまっていること」が問題なのです。

そして、思考や感情を、客観的に捉えることで、飲み込まれた状態から抜け出したり、飲み込まれにくくするのです。それによって、思考や感情に邪魔されずに、大切にしたいことに従って行動することができるようになる、という訳です。

行動をしようとした時「失敗するかもしれない」と思うことがあります。その時、「失敗したら恥ずかしくて生きていけない…!」と本気で思っていたら、当然行動する勇気は出ません。しかし、「失敗したら謝ればいいや」とか「でも、失敗しないかもしれない」と考えることができれば、行動できる可能性は上がりそうです。
ここで、どちらの場合も「失敗するかもしれない」という「思考」を持っており、その点は共通しています。しかし、「思考との関係性」が異なります。前者では思考に飲み込まれていて、後者では思考と距離を置けているのです。

でも、思考や感情を客観的に捉えるって、どうやるの……??

そうです。そこで登場するのが、ACTのエクササイズです。
「脱フュージョン」「感情の居場所をつくる」「マインドフルな呼吸」など、さまざまあります。

この記事では、冒頭で説明した通り、これらエクササイズについては省略します。本書では丁寧にやり方が書かれていますので、興味が湧いた方はぜひ本書を読んでみてください。

おわりに

改めてまとめます。

①自分が大切にしたいものを明確にして、それに従って行動する
②思考や感情を客観的に捉える

①を実行しようとすると、思考や感情に邪魔される場合があります。そこで、②によって、思考や感情に飲み込まれないようにして、大切な行動をちゃんと実行に移していく、という構成です。

いかがだったでしょうか?

「この本、読んでみたくなった」「ACTへの理解が深まったかも」
と思っていただけたらとても嬉しいです。

「結局全然わからなかった」「間違った記載がある」
という場合には、ぜひコメントで教えていただけますと有り難いです。

最後までお読みいただきありがとうございました!
少しでも、楽しんでいただけたり、何かのお役に立てていれば幸いです。


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