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電波戦隊スイハンジャー

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神も仏も小人も天使も異星人も暴れるヒーロー戦隊もの
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#泰範

電波戦隊スイハンジャー#23

第三章・電波さんがゆく、グリーン正嗣の踏絵分水嶺1

白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ  若山牧水

夏が来るたびに、何か素敵なことが起こるかもしれないと子供の頃から期待していた。

開けた窓の向こうから聞こえる蝉の声がかまびすしい。

近藤光彦は自室の窓を閉めようとし、庭の百日紅の薄紅にはっと見とれて数十秒手を止める、そんな少年だった。何年前からだろうか?夏休み前が暗く、心重

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電波戦隊スイハンジャー#31

第三章・電波さんがゆく、グリーン正嗣の踏絵弘法大師の大秘術1

五円玉が消えた上空に、古代服を着たちび女神「ひこ」が出現した。

ひこは棒アイス「ブラックモンブラン」の最後の一口を食べたところだった。

「あ~ん、またハズレだにゃ…ん?これは『めがみしょーかん(女神召喚)!!』きららねたーん!」

ひこがきららホワイトを見つけ、飛んでくる。

「ひこちゃーん。アイテムちょーだいっ。グリーンとシルバ

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電波戦隊スイハンジャー#36

電波戦隊スイハンジャー#36

第三章・電波さんがゆく、グリーン正嗣の踏絵鉄太郎の孫3

「父さん、私は高野山に入ります」

暗い本堂の中で、二本の蝋燭の灯りだけが正座した正嗣の顔を照らしている。

その目には強い意志の光を宿していた。

正嗣の父、正義は息子の決意を受け取りひとつうなずいた。

「そうか、住職になる決心がついたか」

「はい」

「教職の方はどうする」

「今受け持っている子供たちを送り出したら退職します」

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電波戦隊スイハンジャー#46

第三章・電波さんがゆく、グリーン正嗣の踏絵エピローグ、夢の都

2013年7月16日の午前中に、サキュパスに破壊されたHondaスーパーカブの代わりの新品スクーターが泰安寺に届けられた。

もちろんササニシキブルー勝沼悟のポケットマネーでである。

住職、七城正義は新しいスーパーカブに「たんぽぽ2号」と命名した。

「七城先生のお父さんってちょいちょい面白いキャラですねー。愛車に『たんぽぽ』って名

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電波戦隊スイハンジャー#61

第4章・荒ぶる神、シルバー&ピンクの共闘ミレニアムベイビーズ2

8月1日午前零時。

京都市内、八坂神社の140メートル上空で白い閃光が起こり、それは幾筋の稲妻になって都の空を覆った。

さらに俯瞰すると京都市内全体を覆った透明な長方形の蓋の内側の一点から穴が開き、全体に稲妻のひび割れが血管のように走って蓋がまるごと砕け、破片が伽藍のように崩れ去ったように見えただろう。

「どっこいしょ…っと」

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電波戦隊スイハンジャー#153

電波戦隊スイハンジャー#153

第8章 Overjoyed、榎本葉子の旋律観音5

スタッフルームの中は店内と比べて簡素な作りで、奥に布張りの二人掛けソファが配置してある。

ソファにはすでにエプロンを外した清盛が寝そべっていて、なぜか蝶ネクタイとシャツのボタンを上から3つ外して胸元を見せている。

2本目の煙草をテーブル上の灰皿にぎゅっと押しつけて、清盛は蓮太郎を品定めするように見つめた。

男でも女でも魅了してしまう清

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