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「働く」と「生きる」を考える:ブルシット・ジョブ、ほか6冊【7月の読書記録】

こんにちは、デザイナーのイワイです!
1週間過ぎてしまいましたが、恒例の読書記録の7月分です。

タイトルですが、これからは1番面白かった本と今月読んだ本のザックリしたテーマで括ろうと思います。(とはいえほぼ全冊面白かったから、非常に迷った……)

『「働く」と「生きる」を考える』なんて大仰なタイトルを掲げていますが、実際マジでそんな本ばっか読んでました。同じく「働く」と「生きる」を考えている人の手助けになれば幸いです。

本のタイトルを書いた理由は、その方が沢山の人に読んでもらえそうだからってだけです!早速行きましょう!

「有益に働く」を考える - ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の論理

著:デヴィッド・グレーバー

めちゃくちゃ面白かったです。面白すぎて読む前にこれに対してどういう考えを自分が持っていたかを覚えていません。

この本はタイトルの通り「ブルシット・ジョブ = クソどうでもいい仕事」について語られています。「クソどうでもいい仕事」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、無駄な会議や、なくならないFAX、徹夜残業、などかと思いますが(実際僕がそうでした)、この本で述べられているブルシット・ジョブは、それよりも遥かに酷いレベルの話をしています

(余談ですが、先に上げたものも、ブルシット・ジョブの一部として登場してきます)

本書では、ブルシット・ジョブを『被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないと感じている』と定義している。(いくつかの変遷はあるものの。)

そしてこのブルシット・ジョブは、働いている本人に精神的な暴力を与えており、かつそれは増殖し続けている。という内容になります。

マジで僕が説明するより読んだほうが実感が湧くと思うので読んでほしいのですが、僕が一番面白いなと思うのは、ブルシット・ジョブの定義の最後の『取り繕わなければならないと感じている』の部分です。皆さんも自分の仕事をくだらないと思う反面、社会と相対する時に「自分の仕事がいかに素晴らしいか」を自信満々に語っているのではないのではないでしょうか(ホワイトカラーに就いている方は特に)。一度でもそう思ったことがある方は読んでみると楽しめると思います。

因みに本書では、ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)とシット・ジョブ(社会には必要ではあるが、賃金が安く労働環境の悪い仕事)が区別されています。そして概してクソどうでもいい仕事のほうが賃金がいいと述べられています。信頼に足りますね。


「テクノロジーと生きる」を考える - コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーがともに生きる社会へ

著:緒方壽人

めっっちゃめちゃ面白かった。ブルシット・ジョブと同率一位です。

本書は、デザイン・イノベーション・ファームであるtakramのメンバーである緒方壽人氏の著書になります。思想家/文明批評家のイヴァン・イリイチという方が提唱した、「コンヴィヴィアリティ(自立共生)」を足がかりに、人間とテクノロジーの共生を探るという内容になっています。

「コンヴィヴィアル」は「自立共生」という言葉で定義されていますが、そこには、人間が人間の本来性を損なうことなく、他者や自然との関係性の中で自由な状態を享受し、創造性を最大限発揮できる状態であることや、自立と他律のバランスが取れているというニュアンスが含まれています。

逆を考えるとわかりやすいのですが、それは「道具に人間が依存し、操作され、従属している」状態になります。

現在、人間とテクノロジーはそうなっていないだろうか。人間が使っていて心地よい「カーム・テクノロジー」は、人間から主体性を奪っていないだろうか。では「コンヴィヴィアル・テクノロジー」はどのように実現していくのだろうか。そんなことを、テクノロジー・情報とモノ・デザイン・自然・人間という観点で論じています。

最後の方には、実際に実践している方とのインタビューもあるので、実社会にも通じる学びもあるのではないかと思います。


「豊かに生きる」を考える - 暇と退屈の倫理学

著:國分 功一郎

これも同率一位です。めちゃんこ面白かった……為になる所も非常に多いのですが、これに限っては是非実際に読むことをオススメします。以下は本文の「結論」で書かれていることの引用です。

以下、これまでに得られた成果をまとめ直し、<暇と退屈の倫理学>が向かう二つの方向性を結論として提示する。ただし、それら二つの結論は、本書を通読するという過程を経てはじめて意味を持つ

はい。著者がこう仰っているので、結論についてはここでは何も書きません。ジェットコースターに乗る楽しさはジェットコースターに乗った人に感想をいくら聞いてみても分からず、乗った人にしか分かりませんからね。

とはいえ、何も書かない訳にはいかないので、個人的に印象的だった部分を紹介します。

ツイッターにも書きましたが、僕が一番興味のあり、面白いと感じた部分はココでした。

最近自分の中で、「消費者の価値観をイタズラにハックすることで儲けようとする行為」に疑問があり、それに対して、「暇の搾取」と「消費社会」という観点で論述と結論を述べているのはとても為になりました。

あと、今思ったのですが、本書では「消費 = 物ではなく記号・観念を受け取るゲームで、終わりがない」でなく、「浪費 = 物を受け取り、終わりのある気晴らしを楽しむこと」が、暇の搾取に対する解決策として提示されているのですが(結論言っちゃったよ。ごめんね國分さん。)、これってデザインの文脈でよく言われている「モノからコトへ」に対応してしまっているのではないでしょうか。モノでは売れないから、人は体験であるコトを求める様になる、という旨の話ですが、この思想がそもそも、労働者の暇を資本主義によって搾取する構造を作り出しているのかも……?

いま思ったことなので薄っぺらいことかも知れませんが、大事な考えかもと思って書きました。是非皆さん本書を読んでみてください。議論しましょう。


なげ〜!まだ半分も行ってないじゃん!!!


「未来を生きる」を考える - 未来は予測するものではなく創造するものである――考える自由を取り戻すための〈SF思考〉

著:樋口恭介

これも面白かった。。面白いし、なんというか、同じ社会を生きる人の書いている文章として、とても勇気を貰う部分がとても多かったです。

本書は現役ITコンサルタント兼SF小説作家の樋口恭介氏による、SFによる新規事業開発手法「SFプロトタイピング」の実践書……と思いきや、全ての社会人に未来を考えさせるための大啓発書だと思ってます。

僕は先のブルシット・ジョブと本書を同時に読んでしまい、完全に頭がおかしくなってしまいました。気分は完全にレッドピルを飲んだ感じでしたね。

本書は一貫して、「未来」と「自由」について語られています。そのエッセンスがまえがきに凝縮されているので、ぜひ書店等でまえがきだけでも読んでみてください。とても勇気を貰えるはずです。

純粋に、自分が「本当にほしいと思える未来」を思い描く自由を取り戻すこと。そう。本書は、わたしが、あなたが、わたしたちが、「本当にほしい未来」に向かって、考える自由を取り戻すための本なのです。


「自分を見つけ生きる」を考える - 東京藝大美術学部 究極の思考

著:増村岳史

アート思考を勉強したい延長で読んだこの本ですが、藝大を軸に「受験時に何を考え」「藝大に入り何を学び実行し」「社会に出てからその経験がどう活かされていくか」という流れで内容が展開され、アート思考を実践している人材がどういう経験を基に何を考えどう実践しているかがよく分かる本でした。面白かった。めちゃくちゃ藝大に入りたくなった。

結構エピソード的な記述が多く要約するのが難しいので、この辺にします。あともうずっと書いてて疲れてきちゃった。読んでみてね!


「悩みながら生きる」を考える - tattva(タットヴァ)vol.1

本というか、雑誌っぽい感じなのですが。

「ポストコロナのビジネス&カルチャーブック」として創刊されたtattvaの第一弾です。「なやむをなやむのはきっといいこと」という特集が組まれつつ、台湾のデジタル大臣としても有名なオードリータン氏の記事もあったりで盛り沢山です。

購入したきっかけは、名越康文さんという精神科医の「悩みとのちょうどいい距離のとり方」という特集です。優しい文体で、「いいことで悩んでほしい」や「悩みが尽きないのはトラブル処理が仕事だから」というような、自分の悩みと一歩距離をおいて考えられる内容が心に刺さって購入しました。

あと装丁もめっちゃ可愛くて最高なのでそれだけでも十分価値アリだと思います!


「未来と働く」を考える - SFプロトタイピング SFからイノベーションを生み出す新戦略

監修・編著:宮本道人 / 編著:難波優輝, 大澤博隆

こちらもSFプロトタイピングの本!
実際にSFプロトタイピングを実践している方々の対談形式の本になります。前述の「未来は予測するものではなく創造するものである」の著者である樋口恭介氏もタン団に参加されています。

読んだのがかなり前って言うのと、対話形式というのもあってちゃんとオススメ出来るポイントがパッと出ないのですが、「未来は〜」を読んでからこちらを読むと理解度が上がって良いかも知れません。

あ、とはいえSFプロトタイピングをどのようにビジネスとして成立させているかということを多角的な視点で語られているのはとても良いかも知れません。ビジネス的な評価項目とかも論考として語られていました。


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はい、今月分は以上になります。量もさながら、自分でもかなり思考しながら書いている部分があったり、まだ咀嚼しきれていない部分があったりで、めちゃくちゃ体力使ってしまいました。ヘトヘトです。これからステーキ食べに行こうかな。

とはいえこの記事で読書記録は4ヶ月目なので、3日坊主克服ですね!めでたい!まだまだ読みたい本たくさんあるので、引き続き頑張っていこうと思います!

また、皆さんからのオススメの本も随時募集しています!基本リモートワークで雑談に飢えてるので、連絡してくれるとめっちゃ喜びます!!はじめましての人も大歓迎です💪💪💪

それではまた来月お会いしましょう〜

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