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マインドフルネスの本を久しぶりに読み返して思ったこと。「何もない空間」を意識すると言うこと。

note投稿52回目である。
今日はたまたま家の本棚を整理していたら、
医師で瞑想講師でもあるジャン・チョーズン・ベイズさんの「『今、ここ』に意識を集中する練習」(日本実業出版社)
と言うマインドフルネスに関する本を見つけて、
久しぶりに読み返したら面白かったので、気になった部分を少しだけシェアしたいと思う。

まずこの本の特徴は、53個の練習を通じてマインドフルネスを体感していくと言う形式を取っていることだ。

さらに今までのマインドフルネスの本との違いを明確に打ち出していることも面白い。

これまでの本は、「座禅をしなさい」「日記を書こう」など「あれをやりなさい、これをやろう」と、読者が今までにやったこともないことに時間を取らせようとしていた。

でも、やったこともないことに時間をかけるのは、忙しいから無理となりがちだ。

一方、この本は「『身の周りの音』に耳を澄ます」や「『お腹の空き具合』を意識するなど、これまでに「やっていること」をもとに、視点を変えて注意を向けるので実践しやすい。
(p.3)

上で指摘されているように、マインドフルネスをやってみたいなぁと本を買ってみると、呼吸法や瞑想のやり方など、
マインドフルネスの「やり方」が書いてある本が多いように感じる。
しかし仕事帰りで疲れて寝てしまったりとか、朝もバタバタしていて時間が取れないなど、新たな時間を日常の中に作ると言うのは中々難しい。

その点この本は、マインドフルネスのための特別な時間を作らなくて良いので、とても取り入れやすい。
強いて言うならば、「マインドフルネスを行うための本」ではなく、「日常のマインドフルネスに気づかせてくれる本」だと言える。

53個の練習全てとても興味深いし、気づきが多いのだが、1番心に引っかかたのが次の練習だ。

「何もない空間」を意識する。

どんな練習?
特定の対象ではなく、その「周りの空間」を意識することを、ひんぱんに行います。
たとえば、鏡に映る自分の頭の周りのスペースを見ます。
部屋のなかでは、家具とか人などの目に見えるものではなく、「何もない空間」に意識を向けます。
(p.134)

まず初めてにこの練習をやってみて思ったのが、
普段「周りの空間」「何もない空間」に目を向けることが無いので、それらに目を向けるのは意外に難しいと言うことだ。

普通に見ていると間違いなく対象を見てしまうので、意識的に視点を動かして見なければいけない。
そのため意識が「周りの空間」を見ることに集中するので、気分を変えたい時や気持ちを切り替える必要がある時に効果的だと思った。

練習を何回かやってみて、「あーもっと周りを見れるように練習しなければ!」と思って本を読み進めると、
更に面白い指摘が書いてあった。

深い教訓
人のアイデンティティは、モノと深く結びついています。
「私は書物を集めている」「私は最新のテレビやオーディオ機器をもっている」「うちの壁には高価な絵画がかかっている」「私は猫を5匹飼っている」などというように、モノの存在が自己意識を高めているのです。
…それらの背後の空間、部屋や建物や窓の外の景色の大部分を占める空っぽの空間に意識を向けることはめったにありません。
しかし、そういう空間に意識を移すと、心がホッとできるのです。
(p.136)

この指摘は自分には、新しい気づきだった。

私たちは普段モノや人に囲まれて生活している。
そして、それらを無意識のうちに自分のものであると思い込んで、それらが無くなったり、自分の思い通りにいかなくなると途端に悲しくなったり、全てを否定されたように感じてしまう。

「持っている」ことにばかり目がいってしまうと、
それらが自分の前から無くなった時に、「失った」という考えに襲われてしまう。
そして一度失ったと思ってしまうと、もう2度と失わないように余計執着が強くなってしまう。

そうなって自分が苦しまないために大事な考え方は2つあると思う。

一つは、人やモノを「持っている」ことと自分自身の価値は繋がっていないと気づくこと。
つまり、どんなに凄い高価なモノを持っていても自分の価値が上がるわけでないし、
どんなにお金が無くても、自分の価値が下がるわけではないと想像することが大切だと思う。

二つめは、この練習のテーマであるが「持っている」モノの後ろの空間に目を向けることだ。
例えば、大学受験でどうしても受かりたい、また受からなければならない大学があるとする。

受験勉強中は、その大学に受かることが全てであり、
大学に落ちることは自分自身の存在価値を脅かすことのようにも感じてしまう。

しかし冷静に考えれば、その大学にもし行かなくても、人生の選択肢はいくつもある。
専門学校に行っても良いし、海外に行っても良いし、就職したって良い。

つまり、ある大学に行かないと行けない!の裏には様々な可能性がある。

上にあげた

そういう空間(=空っぽの空間)に意識を移すと、心がホッとできるのです。

と言う言葉の意味は、きっと目の前の出来事の裏側にある空っぽの空間には、無限の可能性が常にあって、
その可能性が常に相反してあると気づいていれば、つらいときや気持ちが追い込まれているときも少し余裕が生まれるよ、と言うことを言っているのだと思う。

人間はやはり、明るい未来があるんだ!と言う確信が持てた時に、初めて前を向けると感じる。

目の前が真っ暗だと思っても、常にその裏には無限の可能性が広がっている。
辛ければ逃げていい。
前に進めなかったら、脇道に逸れていい。

ダメな時はいい意味で、逃げてみる。
なぜならダメの裏には、空っぽの空間が広がっているから。

そんなことを気付かされた本だった。

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