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ドミニカ移住 #7 : ロッシとの出会い、平日の午後

このnoteは、当時 文化人類学や地域研究を学ぶ大学3年生(21歳)だった私が、小さいころからの夢だった海外でのフィールドワークを行うため、野球が盛んなドミニカ共和国(以下、ドミニカ)に移住した合計約10か月の記憶を綴ったものです。

グラウンド上の情報屋?

___________2018.5.29

 少年たちが野球を練習している間、その横で水やジュース、ちょっとしたスナック菓子を売っているおばちゃんがいた。40代ぐらいと思われる彼女は毎日ここに来ているようで、よく姿を見かける。野球の練習をする少年たちは、のどが渇いたり小腹が減ったりするといつもこのおばちゃんから飲み物や小さなお菓子を購入し、その場で口に運ぶ(でたゴミはその場に捨てられることも多い)。その日は、彼女のそばに夫とみられる男性と15~18歳ぐらいの少年が座っており、暇そうな様子で言葉を交わしていた。

 毎日来ているなら、ここのことに詳しいかもしれないと思った私は、暇そうにしている彼らにとりあえず話しかけてみた。すると、彼らも最近私がここへ通っていることを知ってくれていたようで、例によって名前やここへ来た目的を尋ねられる。私はだいぶ言い慣れてきたそれらの質問に答え、デイビッドやウェリントンと一緒に住んでいることも話した。比較的穏やかそうな男性とは違い、おばちゃんの方は明るくハキハキとした口調で話すため、言葉を理解するのが難しかった。

 彼ら(特におばちゃん)はその後の調査期間中も、イポドロモにいる選手たちの名前や関係性、イポドロモで起きた出来事を私に教えてくれる重要な存在になった。


平日午後の過ごし方

 イポドロモで少年たちにからかわれ、少し落ち込んだ気分でペンションに帰る。彼らと分かり合える日が来る気がせずに、参与観察なんて無理なんじゃないか、とりあえずスペイン語学校にでも通った方が良いのかもしれない、そんな思いが一気に押し寄せる。


 一方のデイビッドたちは、練習が終わって午後になるとテンションがぐんぐん高くなる。スマホでゲームをしたり、ベランダに出て大音量で音楽を聴いたり、道端に若い女性が歩いているのが見えると4階のベランダから大声でナンパしたり…。気ままに過ごす午後の時間は、私にとって彼らとコミュニケーションをとるチャンスタイムだった。

特に、ペンションから徒歩30秒ぐらいのところにあるコルマドへ彼らと一緒にお菓子を買いに行ったり、その場で店主夫妻と何でもないことを話したりする時間は驚くほど心地よく、心休まる時間だった。






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