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#10 : ドミニカ生活一番の失態。滞在わずか数日でiPhone紛失。

このnoteは、当時 文化人類学や地域研究を学ぶ大学3年生(21歳)だった私が、小さいころからの夢だった海外でのフィールドワークを行うため、野球が盛んなドミニカ共和国(以下、ドミニカ)に移住した合計約10か月の記憶を綴ったものです。


表題通りの出来事が起きた。
↓↓  約2週間後、日本の友人に報告するため、めちゃくちゃ落ち込んでるのに出来るだけ明るく装って投稿したインスタのストーリー。




海へのお誘い

 とある平日、ペンションのお手伝いさんであるジセールとその娘のフレーリーに「アスカ、この国に来てまだ海に行ってないの!?じゃあ次の週末に一緒に行こうよ」と言われ、急遽3人で海に行くことになった。最初は冗談だと思っていたが、「お昼ご飯も持って行ってビーチで食べよう!パスタとお米と…私たちが家で作って持っていくよ!」と2人はノリノリだった。

一方の私は、スペイン語が不自由でまだ彼女たちとうまくコミュニケーションが取れていないにもかかわらず、そうして海に誘ってくれることがとても嬉しかった。


当日(この時は浮足立ってた)

___________2018.6.2
 当日、ペンションで待ち合わせた私たちはいつもとは違う車線側の停留所でグアグアを待つ。初めてグアグアでの中距離移動だ。向かうは「ボカ・チカ」のビーチ。昼食持参で海に向かうというだけでとてもワクワクする。車内では、普段なかなか話すことができないフレーリーともたくさん言葉を交わした。

ビーチに着くと、目の前に広がる透明な海と白いビーチが一面を覆っている。ドミニカに来る外国人観光客のほとんどは、この美しい海が目当てだ。ただ、私は普段全くと言っていいほど海に興味がない(それより人びとの居住地にあるお店や建物、会話内容の方に関心をそそられる)。ただ、目を見張るような美しい海を目の前にすればそんな私も流石に写真が撮りたくなってiPhoneを構えてしまう。ざっとビーチを歩いたところで、私たちは荷物をまとめてヤシの木の木陰に置き、2人ずつ交代で海を泳いだ。


お弁当を広げてランチタイム(なくなります)

 お待ちかねの昼食タイムは木陰に三人輪になって腰を下ろし、ジセールが持ってきてくれたタッパーからパスタやお米をよそう(炭水化物だらけ)。ペンションで食べたことのあるいつものドミニカ風炊き込みご飯だが、雰囲気で思わず写真を撮る。雑談しながら食事をしている最中、果物が入った網カゴを肩や頭に抱えた明らかにジセールたちよりも色黒の女性が私たちの後ろを通った。私が彼女たちを見ているとジセールは、彼女たちがハイチ人であり、恐らくああやって物を売ることで生計を立てているのだろうと教えてくれた。


 おなかが一杯になってきた私は、その場から見える景色を撮るためいつものようにiPhoneを構えようとした。すると、「…あれ?…ない?」ポケットに入れていたはずのiPhoneが見当たらない。カバンの中も探したが、入っていない。あぐらを解いて立ち上がり、ジセールやフレーリーにも周辺を見てもらったが、やはりない。食事を始めたときには、確かにこの場所であぐらをかきながら皿に盛ったモロを撮ったのに(そのあとiPhoneはズボンのポケットに納めたはず)、いつの間にかiPhoneがなくなってしまっていた。


ひとりで焦っている私を横目に、ジセールは予想以上に落ち着いている様子だ(よくあることなのか!?)。食事中はポケットに入れていたことを伝えると、ジセールは「ポケットから落ちたところを誰かが盗って行ったのかも」と言い出した。「そんな…、地べたにあぐらをかいた状態でポケットから物が落ちたとしても身体のすぐ近くのはずだ、それを誰かが近づいてとったなら分かるだろうし、なによりジセールやフレーリーからは丸見えの状態じゃないか。」

正直、そんな訳ないと思ったが、現にないのだからどうしようもない。ジセールは続けて、果物売りのハイチ人がさっきのように背後を通る際に盗って行ったんじゃないかとも言っている。どちらにしても、私のiPhoneはどこにもない。高校生のときからの写真を引き継ぎ続けた、高校の部活時代、大学生になってから訪れた国々の写真、この日までにドミニカで撮った写真(当時約3年間付き合っていた彼氏との写真も)…計3万枚を超える写真と動画が、ものの一瞬にして消えてしまったのだ。


これが夢なのか現実なのかも整理できず、私はただただ落ち込んだ。そこからもう一度海に入る気力は1ミリもなかった。途方に暮れている私に対して、事情を知るジセールが「あっちの海の家で売っていた魚のフライが食べたい(アスカ買って)」と言ってきたときは正気か?と疑ったが、彼女たちはなかなか来れないビーチを楽しみたいのだし仕方ないか…と気持ちを落ち着かせた。

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問題のペスカド・フリート(魚のフライ)


反省

 ドミニカにおいて、屋外でスマホを出すことは危険だと周知していたはずなのに…。正直、私は気が緩んでいた。これまでスリ注意の国へ行ってもスられた経験はなかったし、今日はドミニカ人であるジセールとフレーリーがいるから大丈夫だろうだなんてどこかで調子に乗ってしまっていたのだ。

 この日以来、私は警察に届け出を出すことや新たなiPhoneの購入に膨大な時間とエネルギーを使わなくてはならなくなる(新たに買ったiPhoneは「64GBでこの値段だよ」と言われて購入→帰宅してから32GBであることが発覚して交換を頼んだが全く聞き入れてもらえず何度も店を訪れることに…ただただ私がアホでどんくさい)。


 iPhone(高校生時代からの写真)をなくしたことは、ドミニカ生活で一番の失態だった。今でも写真を失った傷は癒えていないが、「もっと危機感をもつべき」という教訓を身をもって学んだ出来事として無理やり解釈している…。

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帰宅してから日本の保険会社に電話して
対応を聞いた時のメモ







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