マガジンのカバー画像

観た作品の感想や批評。

2
運営しているクリエイター

記事一覧

武本拓也『山を見にきた』|一切の支配がない空間をうみだす身体

武本拓也『山を見にきた』|一切の支配がない空間をうみだす身体

武本拓也さんの上演『山を見にきた』をゲーテ・インスティトゥート東京で観てきた。複数回にわたって彼の上演は観てきているのだが、今日観たところで感じたいまの感覚を言葉にしておきたいと思った。できるだけ未見の方にも読める文章で、いつか彼の上演を目にしたいと思ってもらえるように。

前提として、これからも彼の上演には多くの言葉が与えられることだろう。批評的な難解な言葉が当てられるかもしれないし、素朴な言葉

もっとみる
ベルリン・シャウビューネ『暴力の歴史』(トーマス・オスターマイアー演出)感想

ベルリン・シャウビューネ『暴力の歴史』(トーマス・オスターマイアー演出)感想

東京芸術劇場プレイハウスにて、2019年10月25日観劇。

この暴力の歴史をどこまで遡ることができるだろう。

この世には「見える暴力」と、「見えない暴力」がある。「見える暴力」はわかりやすい発露の仕方をし、ときに加害者は法の下に裁かれる。
しかしその「見える暴力」を生みだす、社会構造としての「見えない暴力」、思想や差別感情による「見えない暴力」、あるいはまた歴史に由来する「見えない暴力」などが

もっとみる