【解説】竹田青嗣『欲望論』(19)〜芸術とは何か?
1.芸術の現象学 独断論にも相対主義にも陥らず、私たちは芸術の本質をどう洞察することができるだろうか?
竹田はまず次のように言う。
多くの若者は、ある時期にさしかかって特定の音楽家、歌手、作家、詩人、画家などになぜか強く引かれ、その作品のみならず、その芸術家、アーティストに強く憧れるという体験をもつ。この独自の表現的結晶作用の体験は、美的体験と同じくその由来を誰も現前意識の直接性としてたどることができず、まさしくその理由で未知性、稀少性、不思議さと背後世界性を直観させ