マガジンのカバー画像

【解説】竹田青嗣『欲望論』

19
現在、英訳プロジェクトが進行中の本書。 世界で読まれるようになれば、おそらく哲学史における「事件」と言われることになるかと思います。 でも、天才は理解されるまでに時間がかかる… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

【解説】竹田青嗣『欲望論』(1)〜イントロダクション〜

はじめに 「苫野一徳オンラインゼミ」に掲載している「名著紹介・解説」コーナーより、竹田青…

ittokutomano
2年前
72

【解説】竹田青嗣『欲望論』(2)〜哲学2500年の根本問題「形而上学的独断論 VS 相対…

1.哲学と普遍戦争 それでは、本書の解説を進めていこう。  序文において、竹田は本書のモ…

ittokutomano
2年前
23

【解説】竹田青嗣『欲望論』(3)〜近代哲学は「本体」をどう考えたか

1.カントの「物自体」 近代になって、「本体」の観念はカントの「物自体」の概念によく表さ…

ittokutomano
2年前
14

【解説】竹田青嗣『欲望論』(4)〜ニーチェ、フッサールによって、ついに問題の解明…

1.ニーチェによる「本体論」の解体 こうして、ついにニーチェによる「本体論」の解体が哲学…

ittokutomano
2年前
18

【解説】竹田青嗣『欲望論』(5)〜フッサール現象学の原理

1.フッサール現象学の原理 形而上学的独断論と、相対主義。  これら双方の対立を完全に終…

ittokutomano
2年前
24

【解説】竹田青嗣『欲望論』(6)〜ハイデガーによる現象学の展開と、致命的な後退

1.ハイデガーの功績 前回論じたフッサール現象学を、この後、竹田はさらに鍛え上げていくこ…

ittokutomano
2年前
12

【解説】竹田青嗣『欲望論』(7)現代哲学は、結局ふたたび「独断論的形而上学 VS 相対主義」図式に舞い戻ってしまった

1.現代の相対主義 フッサールが終わらせたはずの形而上学的独断論と相対主義の対立は、弟子のハイデガーのカリスマ的な影響力によって、結局、その後の哲学において忘れ去られてしまうことになった。  その結果、いまもなお、ハイデガー的「本体論」と、それに寄生する「相対主義」との対立が、延々と続いてしまっているのだ。  以下では、まずその見取り図を。詳細は、また後で見ていくことにしたいと思う。  まずは、論理実証主義による形而上学的独断論批判を見ていこう。  これはいわゆる「観

【解説】竹田青嗣『欲望論』(9)〜ポストモダン思想の根本問題

1.脱構築 現代哲学において、あいも変わらず続けられている「形而上学的独断論 VS 相対主義…

ittokutomano
2年前
12

【解説】竹田青嗣『欲望論』(8)〜言語論的転回の「錯覚」

1.現代の言語哲学 前回は、現代哲学においても、結局変わることなく繰り返されている「形而…

ittokutomano
2年前
12

【解説】竹田青嗣『欲望論』(10)〜言語ゲームと現象学

1.言語哲学の問題 前々回は、竹田による現代言語哲学批判を見た。  少しだけおさらいして…

ittokutomano
2年前
10

【解説】竹田青嗣『欲望論』(11)〜欲望論の哲学とは何か?

1.現前意識 ここでようやく、フッサール現象学をさらに深化した、竹田青嗣の欲望論哲学の原…

ittokutomano
2年前
24

【解説】竹田青嗣『欲望論』(12)〜時間とは何か?

1.本質観取 これまで私たちは、意味や価値の本質、すなわち、「〜とは何か」という問いに対…

ittokutomano
2年前
10

【解説】竹田青嗣『欲望論』(13)〜「他我」および「身体」の本質

1.他我の本質 次に竹田は他我の本質観取へと進む。  時間と同様、これについてもフッサー…

ittokutomano
2年前
10

【解説】竹田青嗣『欲望論』(14)〜「身体」の本質観取①

1.「快−不快」「エロス的予期−不安」 ここからは、『欲望論』第2巻の内容を紹介・解説していこう。  第1巻では、意味や価値の本質を解明するための現象学ー欲望論的方法が明らかにされたが、第2巻では、それを実際に展開し、「身体」「善悪」「美」「芸術」などの本質観取が行われる。  今回は、まず「身体」について。  これは、第1巻の最後(前回)ですでに取り組まれていたテーマである。竹田が取り出した「身体」の3つの本質契機を、改めて確認しておこう。 (1)私にとって、身体は「