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走れ!

走れ!
 
私の物語のエンディングに足りないのは唯一『結婚編』だと思っている。今時、このご時世に結婚にこだわるなんて時代錯誤だと思われるかもしれないが、
私は私のこの人生を、一人きりで生き伸びていく自信がない。
私の人生は一人で歩くにはちょっと平坦じゃなさすぎる気がする。あまりにトラップまみれでいつトラップに命を奪われるかわからない人生。
私のこの人生という名の道の、凹凸もトラップも全てをなくすことは出来ないから、せめてこの道を進むスリルを一緒に楽しめる人が欲しい。

別に結婚すれば自動的に幸せになれたりもしないし、終わりではないこともこの年になればさすがに、充分すぎるほど分かっている。
浮気されるかもしれないし、早々に死なれるかもしれないし、神社暮らし並みの生活を強いられるほど貧乏かもしれない。
それでも、私は私のこの茨の道すぎる人生を、
共に歩んでもいいと言ってくれるパートナーが法的な約束の下に欲しい。
二人で『この道ヤバすぎてウケるね』と笑いながら、時に困難を助け合いながら、歩いていきたいのだ。
もしもそうできたら、これまでの人生も報われるし、これからの人生だって怖くない。

別に、今でも私は幸せである。猫がいて、おりんがいて、仕事があって、食うには困らないし淋しいこともない。
別に親がクレイジーで兄に障害があって難病持ちでブラック企業に就職して前歯がなくなって起業に失敗してうつ病になったとしたって、
現在の私は充分幸せである。
色々なことを経験して、この歳になって、
自分が幸せかどうかは結局いつだって自分一人が決めることなのだと分かった。

多分これから一生私が結婚できなくて『独身編』が続いていくだけだったとしても、私は『ババア編』を楽しむだけで、いつだって私は概ね幸せなのだ。

それでも、と思う。

私はさらに幸せになりたいのだ。そのためには私には時間がない。
アラフォーの時点で婚活市場的には圧倒的に不利なのだ。事態は一刻一秒を争う。こうしている間にも人々は出会い、結婚してゆくのだ。私一人を置いて。
最初から運命の人なんていないと思っている。最初から私を一方的に幸せにしてくれる人に出会おうなんて図々しいことは思っていない。出会った人と、時を大切に紡いで二人で幸せな運命を作っていくのだと思っている。そのための努力ならいくらだってしようと思える。たとえ血反吐を吐いたっていい。

果たして私はこの先ギリギリの彼氏と結婚し幸せになれるだろうか。少しも分からない。今のところ微塵も予感はない。でも、私は必ず幸せにならなければいけないのだ。
他の誰でもない、私のために。
少しも立ち止まってはいられない。

「おはよう」

期待を込めて、
私は今日もギリギリの彼氏と恋の日々を紡ぐ。

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