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詩集 「まるい地面のプレイグラウンド」

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日々の歩みの中で、大切にしたいと感じた気持ちや思いを詩集として書き綴っていきたいと思います。
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#短編

「知りたい」

「知りたい」

世の中には 分かち合えないことがたくさんある

だから僕は 知りたい

あなたが どんな経験をしたのか

あなたが どんな感情を抱いたのか

あなたが どんな学びを得て 何を思ったのか

あなたが 何を好きで 何を嫌っているのか

あなたが 何を目指し 何を大切にしているのか

僕たちはみんな 違うから

きっと 共感できることばかりではない

もしかしたら 反感を持つこともあるだろう

そもそも

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「愛しき太陽」

「愛しき太陽」

きっと 吐いた息は白い
手足はかじかんで とうに感覚がない

全てが暗闇に飲み込まれた森の中
吹きすさぶ風音と自分の呼吸しか聞こえない

一秒が永遠のように感じる

本当に夜は明けるのか

期待は ことごとく風に飛ばされていく

もうダメかもしれない

憤りを通り越し
無力感に支配され
微かな祈りに命を預けてしまおうというところで
すーっと風が引いた

闇の奥に気配を感じ 眼を凝らす

誰かが歓

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「雨の日」

「雨の日」

今日は雨かぁ
少し残念な気持ちがよぎる

それと同時に
どこからともなく不思議な安らぎが広がっていく

どこか心の奥のほうの
しっとりとした場所で

いつもは陽の当たらない柔らかい部分で
ひっそりとしている何かが
ドアを開けて深呼吸をしているような

その優しい何かが 雨と混ざりあって喜んでいるような

傘に当たる雨音を聞きながら

少し湿ってきた爪先の不快感を感じながら

微かにほほえんでしまう

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