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レポート | 2024年4月2週目のいとち | 皆勤賞の私が見つけた理想の医師像

みなさんこんにちは!4月からいとちプロジェクトで活動しているインターン生の髙橋果歩です。

今回は第3週目のいとちワークで行ったさくらんぼ保育園での実習から、地域(患者)が望む理想の医師像についてを綴っていきたいと思います。

そもそも「いとちワーク」とは、毎週火曜日の14時から行われる、地域医療を学ぶ研修プログラムです。かしま病院では、病院実習のプログラムを「地域」にまで広げています。そのため、いとちワークの時間では、医師ではなく、地域の方々が講師を務めています。

▼第1回目のいとちワークの様子は、こちらからご覧ください!


毎月恒例のさくらんぼ保育園へ

私にとって2回目の参加となった4月16日のいとちワークは、病院から一歩外へ踏み出し、さくらんぼ保育園の子どもたちと1時間一緒に遊ぶという内容でした。さくらんぼ保育園でのワークは毎月第3週目に行われており、恒例イベントになっているようです。今回は、地域住民2人、医学生2人、かしま病院の医療事務スタッフ2人と私の、計6名が参加しました。

さくらんぼ保育園は、かしま病院から徒歩5分の場所にある、社会福祉法人さくらんぼ会が運営する保育園です。さくらんぼ保育園に我が子を通わせているお母さんによると、「子どもたちにキャラクターものを持たせない」という文化があるのだそう。たしかに、保育園に到着して、園内にいる子どもたちを見渡してみると、彼らの興味は、人や植物、生き物に向いており、アクティブな子どもたちが多いように感じました。

さくらんぼ保育園には、犬だっています
子どもたちと一緒にアリの巣を眺めていました

はじめて園内に足を踏み入れた私にも、物怖じせずに挨拶や自己紹介をしてくれます。現在21歳で、まだまだ若いと思っていた私ですら、1時間一緒に遊んだだけで、ほとんどのエネルギーを使い果たしてしまいました。(彼らと日々向き合っている保育士さんや親御さんを改めて尊敬します…)

これが、さくらんぼ保育園の子どもたちのパワフルさか…。わずかな滞在で、子どもたちがいかに健康で、いかに医療とは遠い存在であるかを考えさせられました。

健康優良児のパワフルさには敵いません


健康優良児にとってはアウトサイダー?

ここからは、さくらんぼ保育園での実習を終えて私が考えたことを綴っていこうと思います。今回の実習では、以下の2つが事前課題として与えられていました。

・医療から最も遠い「健康優良児」にとって「医療」とはなんなのか考えてみよう
・「患者」的な存在から最も遠く離れた人から光を逆照射して「医療」を考えてみよう

この問いを与えられた時、「さくらんぼ保育園の子どもたちは、本当に医療から最も遠い存在といえるのか」という考えが浮かびました。そもそもの前提に、あまり納得できていなかったのだと思います。しかし、園内に入って、私の疑問が見当違いだったことがわかりました。

子どもたちから大人気の医学生

子どもたちと遊んでいると、多くの子が医学生2人を指差して、「どうしてここにお医者さんが来たの?」と何度も聞いてきたのです…。私は「お医者さんもみんなと一緒に遊びたかったんだって」と答えましたが、やはり子どもたちにとって、医師(たとえ医学生であっても)は、病院の中で出会う存在なのかもしれません。病院にしかいないはずの医師が、自分たちが通う保育園に来ること自体、彼らにとっては珍しいことなのだと感じました。

思い返せば、幼い頃の私も、医師は自分にとって遠い存在だと感じ、距離を置いていました。診察の時は、緊張からか毎回猫を被っていて、症状に対して正確な受け答えができていませんでした。その時のにがい思い出があるからか、正直今も病院は得意ではありません。

大学生の私ですら、医師に怖気付いてしまうのです。保育園にいる子どもたちは、なおさら距離を感じているはず。少なくとも、診察室の中で、友達と一緒に遊んでいるときのようなありのままの姿を出せる子どもは、いないと思います。


皆勤賞の大学生が見つけた理想の医師像

しかし、医師と子どもたちの距離(関係性)は、今のままでいいのでしょうか。ここで、北海道家庭医療学センターが、小学生95名を対象に行った「診られる力を育てるプロジェクト」の調査を紹介します。この調査では、小学生の子どもたちに、安心できるお医者さんのイメージに近いものを 、11 の項目の中から3つ選択してもらいました。

調査結果では、「説明がわかりやすい」「優しい話し方」「丁寧な診療」の3つが、上位にあがりました。子どもたちは医師に、「相手(患者)の立場に立ち、寄り添う力」を求めているともいえるかもしれません。たとえ白衣を着ていたとしても、保育園で一緒に遊んだ体験があれば、病院の中でも「いつも一緒に遊んでくれるお兄さん、お姉さんだ!」と思うはずです。

走り回ってお疲れ気味の医学生

医師と子どもたちの理想の関係を考えていた私は、ふと小学生のときにお世話になった養護教諭の先生を思い出していました。先生は、保健室以外の場所でも、気さくにおしゃべりをしてくれました。

そのため医師の前では変に強がってしまう私も、先生の前では素を出すことができていました。ささいなことを相談できる関係が築けていた結果、疲労骨折を未然に防ぎ、インフルエンザに罹っていることを早期に気づくことができたのです。

養護教諭と医師では、担当する業務や範囲が異なるため、同じような関係性を築くのは容易ではないと思いますが、今よりも子どもたちにとって身近な存在になれるはずです。


今の私にできること

この度の実習を振り返り、医師と患者にある「診る・診られる関係」を抜け出すためには、お互いの“歩み寄り”が大切だと考えました。

今回の場合は、医学生が「医療」実習から抜け出し、「地域」に足を踏みだしてくれました。その一歩があってこそ、保育園の子どもたちの飾らないありのまま姿を、引き出せたのだと思います。

さあ次は、私たち患者側が、一歩歩み寄る番です。

この実習を受け、いとちプロジェクトのインターン生2人は、「ラジオ体操」を始めてみました。診察以外の時間でも、医療と地域がまざる場所をつくれないか、という想いで生まれた取り組みです。

火曜日と金曜日の朝8時から、かしまホームの玄関前で、元気よく体を動かしています。医学生や地域の人と顔の見える関係を築くべく、ゆるりと気ままに行っているので、気が向いた時にでもぜひ! あなたの参加を、心よりお待ちしております。

以上のように、自分たちができる範囲で、アクションを起こすこと。そしてその小さな積み重ねを、コツコツと継続すること。このお互いの“歩み寄り”が、医師と患者を繋ぐ「する、されるの関係」を解きほぐすのではないでしょうか。

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