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彫刻家のインプットは人間観察

先日彫刻家の方にお話しを聞かせてもらいました。

その時にびっくりしたのは、

彫刻の作り方は「まずはデザインの絵を描いて、寸法を決めてから作品にとりかかる」

ということでした。

当たり前ですけど、下絵となるものは必要なんですね。彫刻家は絵が描けないと思われそうですが、まずは構想から下絵作りまでちゃんとやる。つまり、描く力がないと彫刻はできないんだそうです。

人体の彫刻を作るとしたら、下絵から材料(木材やテラコッタ、石膏など)へトレースします。その作業、めちゃくちゃ大変そうだなと思いました。

絵だったら違和感なく3次元に見せればいいのですが、彫刻は実在する3次元作品ですから、作品自体が自立するようにできていないと違和感がありますからね。

なんだか、人造人間を作っているような感じですよね。でも、それこそが「絵画ではなく彫刻作品を作る魅力」です。

つまり、絵を見ているような奥行きを脳の中で作るものではなく、彫刻は生身。実在します。私たちも一緒に写真が撮れる、ってことが面白いのです。

「デザイン力」+「彫刻で実態を作る」という作業は、時間があればいくらでも没入できる作業だそう。

彫る作業って確かに、没頭できそう。彫刻で広告美術ってなかなかないから、やはり商業的な行為とはかけ離れているんでしょうね。尊い行為です。

彫刻家の方数名と一緒に食事させてもらったんですが、彫刻家の方はお酒が強くて饒舌な人が多いと思いました。饒舌なのは作品のコンセプトを常に常に言語化するためで、お酒が強いのは理由はわからないんですけど、体力勝負な作業なのでガタイがよくて、陽気な人が多いって印象です。

作品のコンセプトを作るためのインプットは、何よりも「人間観察」だそうです。人がどんな表情、動きをしているのか。

作家もそうですが、美術家もやっぱり見ているのは人なんですね。面白いな。


秋田公立美術大学・皆川嘉博 さんのこの作品展。

主催の藤屋画廊の代表の濱田さんが「今回はフルスイングしました」とおっしゃている渾身の作品展です。銀座の藤屋画廊で6月23日まで。よかったら見に行ってみてください。


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