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うずらの話。

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猫を飼うことになった経緯です。
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#猫

幼い頃からずっと犬がいる暮らしを送って来た。
最初の犬は父親が当時働いていた職場に寄りついた野良犬で(まだ街中にも野良犬がいるような時代だった)可哀想だからと家に連れ帰って来た。二歳頃、雪の中で犬と遊ぶ写真があって、その記憶は自分の中にも残っている。

その子が亡くなるとすぐに新聞屋さんが犬を持って来た。(そういう時代だったのだ)雑種なのに長毛の、シェルティみたいな子だった。この子は私が成人する

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ノラミ(仮)

ノラミ(仮)

カルカンパワーで猫は頻繁に庭に姿を見せるようになった。そうなると、居場所を作ってあげたくなるもので、世間では猫は段ボール箱が好きだと言うからと思い、屋根のある自転車置き場に段ボール箱を置いてみた。季節は冬になり、寒さが増して来ていたこともあり、猫は段ボールハウスで寛ぐようになった。

夕方になると窓の下で「ニャア」と鳴いて知らせる。来た!と喜び、出て行ってご飯をあげる。がつがつご飯を食べる姿を

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チュール。

ちゅーるちゅーるちゃおちゅーる♪

そんな耳聞こえのいいフレーズを覚えてはいたが、それがいかなるものであるかは知らなかった。当時はまだ犬用のワンチュールなるものは発売されていなかったのだ。(ちなみにうちの犬にワンチュールは試していない。袋ごと食べてしまいそうで…)
カルカンを買いに行った際、何気なく見た棚でチュールが特売されていた。ほほう。これが噂のチュールとやらか。物は試し。うちのノラミも喜

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捕獲ファーストチャレンジ

捕獲ファーストチャレンジ

うちの辺りは毎冬、一度か二度は雪が降り、時にはうっすら積もったりすることもある。その日、天気予報では午後から降り始め、夜は吹雪くかもしれないと言っていて、ノラミが心配でならなかった。予報通りに暴風と共に雪が舞い始めたので、せめて段ボールハウスを使ってくれたらと思うのに、そういう日に限ってノラミは来ない。

(翌朝のベランダ。猫、寒くないのか…と心配しているかどうかは分からない犬)

この風雪の

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揺れ動く猫ビギナー

吹雪の中、ノラミに引っかかれた傷は、相手が野良猫でもあるので、悪化するかもしれないと怯えていたが、とりあえずさほどひどくならず…あとは残ったけれど…よくなった。しかし、私の心についた傷は癒えず、ノラミとの距離はぐんと開いてしまったように感じていた。

しかし、ノラミの方はそんなこちらの気持ちに気付いていないようで、またやって来てニャアと鳴く。無視することは出来ず、餌はあげていたが、可愛がるよう

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春は恋の季節

ノラミが現れる以前、うちの庭や付近で猫の姿を見かけたことはほとんどなかった。少し離れた公園でたまに見かける程度だったし、ノラミが来るようになってからも二ヶ月ほどの間は見なかったのだが、ある日を境に次々猫が現れるようになった。
灰色の猫、ノラミと同じキジトラ、白ぶち、ハチワレ…。どれもノラミよりもずっと大きく、太っていて、餌をねだりに来ることはない。ノラミがご飯を食べている間、私が傍にいるせいもある

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ノラミ確保!

ノラミを家に入れて保護する。それはつまりうちでノラミを飼うということだ。果たして犬と共存出来るのか?野良猫であるノラミは、ノミや伝染病を持ってやしないだろうか。犬に悪影響を与えたらどうしよう。

考え出したらきりがないのでその辺りの問題は棚上げし、ノラミがどうやったら家の中に入ってくれるかを必死に考えた。

考えた結果……やはりチュールで釣るしかないという結論に達した。(考える意味なし)

ノラミ

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二兎を追う者は。

我が家で黒柴を飼うことになったのも偶然だった。ずっと犬が飼いたいと思っていたが、漠然と頭にあったのは黒ラブだった。以前、友人Tが飼っていた黒ラブが本当にいい子で可愛くて、私もいつか飼ってみたいと思っていた。
しかし、ラブラドールは大きいし、現実的には無理だろうと思い、ならばバーニーズと同じようなトライカラーの黒柴かキャバリアかなとぼんやり考えていた。
特段探していたわけじゃないのだが、ある日、偶然

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うずら誕生

住まいがあるのが地方都市近郊部であるせいか、コンビニと歯医者と美容院と獣医は歩けば当たるほどある。歩いて行ける範囲にも獣医があるのだが当てにならない。
どれくらい当てにならないかというと、二代目バニを連れて行っていたのだが、大型犬が扱えず、皮膚病で耳がただれてしまった際、治療するのに全身麻酔をすると言い出したのだ。
でも、先生、耳の治療って一度じゃ終わりませんよね?
こりゃ駄目だと思い、友人Tがお

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初めての獣医

まだ七ヶ月。
まだ子猫。

驚愕の事実が判明したうずらを先生は丁寧に診察してくれた。その様子から猫好きだというのがとても分かり、更に家の庭に居着いた猫を保護し、飼おうとしている私を褒めてまでくれて、なんていうか、猫好きな人は全ての猫を愛してるというのだ。

さて、診察でうずらには寄生虫の類いもおらず、皮膚病などもなく、この月齢まで外で暮らしていた割には非常に綺麗な状態であると太鼓判を押された。伝染

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クマとうずら

クマは表情に乏しい男だ。にこにこしている五十がらみのおっさんの方がレアではあると思うが、若い頃から基本的にむっとした顔付きだった。私の方も負けていないので似たもの同士である。基本、感情にムラはなく、アイスを食うか、ケーキを食うかと聞いた時だけは嬉しそうな雰囲気を醸し出す。

そんなクマは動物に対しても淡泊だ。私が飼っていたバニさんにも可愛がるような素振りは見せなかったし、うちで黒柴を飼い始めてから

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大脱出。

一階の玄関付近で暮らしていたうずらはしばらくすると二階へ上がって来るようになった。階段を恐る恐る上がって来て、誰かいるか確認してはぴゅーと逃げて行くというのを繰り返していたが、次第に逃げなくなり、二階の方が居心地がよくて安心だと分かり始めたようだった。犬が既に七歳を過ぎ、落ち着いていたこともよかったのだと思う。子犬の頃はとにかくやんちゃで破壊行為もすごかったので、あの頃だったらとても共存出来なかっ

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手術終了

うずらは幸いなことに病気も異常も見つからず、健康体であったので、去勢手術も問題なく出来るだろうという先生の判断ではあったが、麻酔をして手術するのだから、当然リスクはある。
予約した手術の日。うずらを連れて動物病院へ行くと、承諾書を書くように求められ、先生からもリスクは承知して下さいという説明を受けた。

うちの犬は去勢手術をしていない。幼い頃、元気はあっても食べが悪く、吐き戻しも多くて不安だったの

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猫の可愛さ

うずらが庭にいた頃に姿を見せていた猫さんたちは、うずらを家に入れた後、ぱったり見かけなくなった。 一体、あの子たちは何処から来ていたのだろう。知らないだけでご近所では意外と猫さんを飼っているお宅があって、その子たちが様子を見に来ていたのかもしれない。皆、まるまるとしていて貫禄があって野良さんという感じでもなかったし。

そして、最大の疑問はうずらが何処からやって来たのか?ということだ。
母猫が産み

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