春は恋の季節

ノラミが現れる以前、うちの庭や付近で猫の姿を見かけたことはほとんどなかった。少し離れた公園でたまに見かける程度だったし、ノラミが来るようになってからも二ヶ月ほどの間は見なかったのだが、ある日を境に次々猫が現れるようになった。
灰色の猫、ノラミと同じキジトラ、白ぶち、ハチワレ…。どれもノラミよりもずっと大きく、太っていて、餌をねだりに来ることはない。ノラミがご飯を食べている間、私が傍にいるせいもあるかもしれないが、遠くで様子を窺っている。猫たちがお腹を空かせている様子もない。(ノラミ以外は皆、とてもふくよかだった)
そして、ノラミがご飯を食べ終え、何処かへ行ってしまうとその後を尾けるようにして、離れていく。ノラミは野良猫団の一員になって、餌をとってくるように言いつけられているのだろうか。でも、自分だけが食べちゃって、後で叱られてるんだろうか。猫たちはうちを餌場(縄張り)にするつもりがあって隙を見ているのだろうか。

色々想像している内に春が近づき、風がとても強く吹き始めた。春の初めは暴風のような風が吹いたりする。ある日、ご飯を上げている時、ノラミが目をしょぼしょぼさせているのに気がついた。よく見れば目やにが出ていて、片目を半分閉じている。
どうも風で飛んで来た砂とかゴミで目を傷つけてしまったらしい。日に日に悪化していくようで心配だったが、ノラミを撫でることも出来ないでいた私に目薬をさせるはずもない。犬なら…。ノラミが犬なら何とか出来るのに。
片目がない猫さんとかはこういう風に傷が悪化してしまうのか。今治療しないとまずいだろうか。

(あーそうっすねーとばかりに猫がいる庭にも慣れてきた犬)

もう「だろうか」ばかりで、迷っていてばかりだった。そうこうしている内に、目の方は何とかよくなったみたいだったが、今度は一緒に来ていた猫がノラミを追いかけるようになった。ノラミは必死で逃げる。熾烈なデッドヒートが家の周囲で繰り広げられ、ノラミは大きな猫たちが入れない倉庫の下や軒下に逃げ込み、か細い鳴き声を上げる。私は追いかける猫たちを叱っていたが、猫が聞くわけもない。
どうしてあいつらはノラミを追いかけるようになったんだろう。ノラミが上納金を渡してないから?私がノラミにチュールの一本でも持たせるべきだろうか。
おかんな気分で心配していたが、ある日、はっとその事実に気がついた。(開眼)

そうだ。季節は春。繁殖の時期だ…!

あの猫たちは女の子であるノラミを狙っていたのだと気付いた時、私の母性が目覚めた。
あかん。うちのノラミを何処の馬の骨とも(猫だけど)分からないオスどもに好きにされてたまるものか!
そして、私はノラミを家に入れる決意をした。

しかし、どうやって?(汗)

#ねこ
#猫
#日記 #エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?